『キューティ・ブロンド』でスター俳優の
仲間入りを果たしたリースの期待作。
アメリカでは大ヒットしたけれど……?
全米で超大ヒットを記録したキュートなラブ・コメディ。個人的に主演のリース・ウィザースプーンが好きなこともあり、かなり期待していたのだが、これがどうもそうでもない。試写を観た知人たちに聞いても、あまりいい感想はでてこない。アメリカと日本とのリアクションの温度差。これは一体なぜだろうか。
思い当たる原因はこの2つ。アメリカ人と日本人とでは笑いのツボが違う、アメリカ人にとっては作品タイトル(原題『Sweet Home Alabama』)だけで感覚的に想像させるものがある、ということだ。
物語は……NYでデザイナーとして活躍する主人公メラニーは、実はアラバマの片田舎出身。NY市長の息子である恋人からプロポーズされた彼女は彼と結婚すべく、故郷に戻り、長く別居していた夫にあの手この手で離婚を迫るが……という内容。田舎ならではのユニークな慣習や仲間意識、うっとうしいようでもあたたかみのある雰囲気がよく描かれている。
アメリカ人の笑いのツボには、人種やお土地柄による違い、という少々差別的なものがひとつあると聞く。Stand Up Comedyのネタにもそういうものが多い、とも。だから“田舎に暮らす夫” VS. “都会派の彼氏”、“地方コミュニティの掟” VS. “都会のルール”、という「南部 VS. 東部」の構図が大いにウケたのだろう。また字幕からはわからないが、言葉の訛りのあるなしをヒロインが使い分けている点も面白いらしい。
そして原題『スウィート・ホーム・アラバマ』は、ロックの雄レイナード・スキナードが1974年に発表した名曲のタイトル。この曲は当時、人種問題が根強く残る南部を批判したニール・ヤングの曲『サザン・マン』に対するアンサーソングで、歌詞は「ニールの歌を聴いた。あんたなんか関係ない。アラバマはいい土地だ」という内容。“南部の聖歌”ともいわれるくらい有名な曲なのだそうだ。
本作は作品力として考えると、設定の甘さや行動にいたる動機の弱さが気になる。だからこうした背景を知らないまま私たち日本人がサラッと観ただけでは、それほど楽しめないことも仕方のないことだろう。
ジューン・ブライドの季節のせいか、この5〜6月は本作のほか、サンドラ・ブロック主演『トゥー・ウィークス・ノーティス』、ジェニファー・ロペス主演『メイド・イン・マンハッタン』と、ハッピーなラブコメ作が充実。3作ともさほど特徴がある作品ではないが、時間があるときに観る分には悪くない。インスタントなハッピーを求めるときにどうぞ(女性限定)。
公開 | 2003年6月中旬公開 日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー |
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制作年/制作国 | 2002年 アメリカ |
上映時間 | 1:49 |
配給 | ブエナビスタ |
監督 | アンディ・テナント |
出演 | リース・ウィザースプーン ジョシュ・ルーカス パトリック・デンプシー キャンディス・バーゲン フレッド・ウォード |
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