タランティーノ印のバイオレンス映画vol.2
舞台は最後の対決の地、メキシコへ!
vol.3は15年後に向けて、企画中?
'03年10月に日本でも公開され、賛否両論の話題を呼んだ『キル・ビル』の続編がいよいよ登場。惨殺されるも、九死に一生を得た“ザ・ブライド”の復讐劇に幕が下りる。「KILL is LOVE」というキーワード、「ザ・ラブ・ストーリー」という副題の意味することとは――? 映画おたくのクエンティン・タランティーノ監督による、こだわりまくり、遊びまくりの、オレ的映画道を鑑賞するための作品である。
彼女はなぜ、一流の殺し屋としての技術を極め、熱心に仕事に打ち込んでいたのか。ビルはなぜ、彼女とそのお腹にいた自分の子供を殺そうとしたのか。派手なバイオレンス一色だった前作と比べると、本作にはドラマの要素が30%くらいは入っている。そのキーワードは確かに“愛”。それがどんなに身勝手で、不毛なものであったとしても。
今回のアクションで一番グッときたのは、ユマ・サーマンとダリル・ハンナ、金髪脚長美女同士のキックの相打ち。スラーッと伸びた細く長い脚が、絶妙のタイミングで打ち合うシーンは、かなり華麗だった。武術指導は前作に引き続き、『マトリックス』シリーズなどで有名なユエン・ウーピン。そして音楽は、『スパイキッズ』のシリーズや『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』など自分の監督作でも音楽を手がける、ロバート・ロドリゲスが担当。ウェスタンな世界を盛り上げている。
『キル・ビル』について、「自分が観たい映画を作り、ついでに公開してるだけ」と語ったタランティーノ。撮影日数は、『レザボア・ドッグス』が5週、『パルプ・フィクション』が10週だったところ、『キル・ビル』の2作は、47週をかけて作ったという。実際に沖縄や北京、メキシコなどを訪れ、過酷な環境下のロケなども敢行して製作されたこのシリーズは、先鋭と野暮ったさ、一流と亜流との紙一重のところ、自らが大好きな世界でどこまでも遊びまくったタランティーノの究極の贅沢。悪いジョークが大好きな人、元ネタの映画との比較を楽しめる人は、タランティーノと同じ気分で盛り上がれる仕上がりなのだろう。
Vol.3を製作するとしたら15年後に、とのこと。なぜなら、ザ・ブライドことキドーが最初に殺した女の残した小さな娘が成長して、母の仇を打つために殺し屋となり、キドーをつけ狙う、という構想があるからだとか。子役の成長を、実際に待つというのだ。どこまで冗談で、どこまで本気なのか。まずはタランティーノのお誘いに、乗ってみることにしますか?
公開 | 2004年4月24日公開 丸の内ピカデリーほか全国松竹・東急系にてロードショー |
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制作年/制作国 | 2004年 アメリカ |
上映時間 | 2:16 |
配給 | ギャガ・ヒューマックス共同 |
監督・脚本 | クエンティン・タランティーノ |
製作総指揮 | ローレンス・ベンダー |
武術指導 | ユエン・ウーピン |
出演 | ユマ・サーマン デヴィッド・キャラダイン ダリル・ハンナー |
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