ハリーポッターとアズカバンの囚人

ハリーたちも思春期を迎えて大人っぽく
メキシコ出身の監督キュアロンにより、
ダークな迫力や勢い、ドラマ性を増した第3弾

  • 2004/06/07
  • イベント
  • シネマ
ハリーポッターとアズカバンの囚人© 2004 Warner Bros. Ent. Harry Potter Publishing RightscJ.K.R.

ハリーや仲間たちが思春期を迎えたシリーズ第3弾は、1・2作目よりもパワーアップ! 前作までの監督クリス・コロンバスは製作に回り、本作では『リトル・プリンセス(小公女)』『天国の口、終わりの楽園。』などを手がけたメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロンが監督に。おどろおどろしいダークな要素がより強く、パワフルでスリリング、勢いのある作品となっている。

13歳となったハリーは、ホグワーツ魔法魔術学校に戻るとき、アズカバン監獄から脱獄した囚人、シリウス・ブラックのことを知る。ブラックは“例のあの人”と関わりがあり、ハリーを狙っているという。ブラックを捕えるため、ホグワーツ上空にはアズカバンの番人であるおぞましい吸魂鬼ディメンターたちが浮遊。ハリーは彼の両親と友人だった新任教師のルーピンやいつもの仲間たちとともに、それなりに楽しく学校生活を送りながらも、徐々に色濃くなっていく不穏な空気を感じ取っていた。

ハリーポッターとアズカバンの囚人

思春期の少年少女たちを描くことに定評のあるキュアロン監督によって、ホグワーツを舞台にしたお伽噺ワールドにドラマ性をプラス。勢いあまって詰め込みすぎなのか、大事なシーンで台詞に集中しにくく、わかりづらいところもあったが、全体的には魅力的に仕上がっていた。鷲と馬の混血種であるヒッポグリフなどの魅力的な新キャラたちや、新たな魔術の訓練、クィディッチシーンなど、お約束どおりの内容も楽しい。本作での新事実は、ハリーの両親が死んだ理由が明らかになる点だ。

ハリーポッターとアズカバンの囚人

ハリー役はおなじみ、15歳のバーステイを目前にぐんぐん成長中のダニエル・ラドクリフ。一時は「本作を最後に降板する」という思いが彼にあり、周囲もその意思を尊重しようとしていたようだが、状況は一変。イギリスで行われた本作のプレミア試写で、ラドクリフ本人が「これからも演じてみたい」とコメント。ほかの主要キャストも意欲満々のため、ホグワーツの仲間たちが、シリーズ作すべてを演じ切る可能性がでてきた。原作に準じて、映画化が予定されているのは全7作。ハリポタファンには嬉しいニュースだろう。

ハリーポッターとアズカバンの囚人

個人的に1・2作目では、劇場予告編の短い映像の方が好みで、本編は「少し子供だましかな」と思ったりもした。が、それでもやっぱりハリー・ポッターの新作が観られるとなると、嬉しくて、いつもより早めに試写待ちの列に並んでしまったりもする。やっぱりハリポタには、ドキドキさせる“何か”があるのだ。あのテーマ音楽に、クラシックでトリッキーなホグワーツ魔法魔術学校、不気味だったり神秘的だったりするキャラクターの数々……何が起こるかわからない、何が起こっても不思議じゃない、スケールの大きなお伽噺の世界。それを観たいと思う気持ちに、意味や理由なんて必要なし。子供たちだけに、その楽しさを独占させるなんてもったいない。いざ、我々も観に行きましょう。

作品データ

ハリーポッターとアズカバンの囚人
公開 2004年6月26日公開
丸の内ピカデリー2ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2004年 アメリカ
上映時間 2:15
配給 ワーナー・ブラザース映画
監督 アルフォンソ・キュアロン
原作 J.K.ローリング
出演 ダニエル・ラドクリフ
ルパート・グリント
エマ・ワトソン
ゲイリー・オールドマン
デイビッド・シューリス
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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