1体の次世代ロボットがカギを握る事件の行方は?
未来に向けて、人が大切にしていくべきことを
ドラマティックに描いたSFエンタテインメント!
ロボットのいる生活は、もう遠い未来の物語ではない――!? 現実社会でも多くの工学者たちに信奉されているというロボット3原則の生みの親、生化学者にして作家のアイザック・アシモフが1950年に発表した『われはロボット(原題:I, ROBOT)』と、SFサスペンスの脚本が出会い、一大エンタテインメントが誕生。ウィル・スミス主演のSFといっても、ギャグ満載でノリよく軽快に悪を倒す『メン・イン・ブラック』とはまた趣が違い、シリアスでドラマティック。未来社会とロボットを主題に、人間ドラマやサスペンスの部分を練り上げたザ・ハリウッド・ムービーである。
2035年のシカゴ。ロボット工学は飛躍的に発展し、家事や雑務をこなす家庭用ロボットは一気に普及しはじめていた。さらなる新世代ロボットNS-5の発表を目前に控えた時、その製作者である工学博士ラニングが謎の死を遂げる。博士と旧知の仲であり、ロボットに常々不信感を抱いていた刑事スプーナーは、博士の部屋に隠れていたNS-5ロボットのサニーに嫌疑をかける。が、ラニングの勤めていた巨大企業のCEOやロボット心理学者のカルヴィンは、ロボット3原則に基づいて行動する彼らが人を傷つけることはあり得ない、と主張。サニーの構造を詳細に調べることになる。
本作では、この次世代ロボット、サニーにとても惹きつけられたことに驚いた。その理由は、VFXやCGなどの最新技術のみならず、俳優を代役にたてた撮影方法にあったようだ。こうしたSF作の撮影では、俳優たちはブルースクリーンの前でテニスボール相手に演技することが主流。しかし本作の撮影現場では、ロボットのサニー役をコメディアンで舞台俳優のアラン・テュディックが演じ、それをデジタル処理でロボットの映像に置き換えたとのこと。こうした撮影には相当な手間やテクニックを要するものの、そうすることで主演俳優たちからより深みのある演技を引き出し、テュディックの豊かな情感をサニーの表情として画面に映し入れることができたのだそう。そのためか観ていると、サニーや周囲の人々との関係にとても共感できる。テュディック本人はロボット的な動作や話し方や形態模写、キックボクシングなどのトレーニングを積み、撮影に参加。映像に彼の顔や身体は一切登場しないが、サニーの声を担当し、主要キャストとしてクレジットに記載されている。
また、最新鋭の交通システムや新旧混合の生活様式といった未来社会の様子、ヴィンテージの靴(といっても2004年のオールスター)や旧式のオーディオを愛し、ハイテクに背を向ける昔気質の刑事など、ディティールへのこだわりによって独特の世界観が確立されている。
主演のウィル・スミスは本作でも期待通り、ちょっとしたジョークやユーモラスな言い回しが小気味よく、好青年ぶりを発揮。シャワーシーンでマッチョな半裸を披露したりもしているが、イヤらしくならないのは健全な人柄のにじみでている彼だからこそだろう。
「最新テクノロジーの進歩が支える世の中で、大切に守っていくべきこととは? 本作ではロボットをテーマにしながら、絶対に失ってはならない人間性の大切さと、きたる近未来への心得がわかりやすく描かれている。子供から大人まで誰もが気軽に楽しめる、良質な娯楽作品である。
公開 | 2004年9月18日公開 日劇1ほか全国拡大ロードショー |
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制作年/制作国 | 2004年 アメリカ |
上映時間 | 2:00 |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
監督 | アレックス・プロヤス |
製作 | ジェフ・ヴィンター アキヴァ・ゴールズマン |
原典 | アイザック・アシモフ『われはロボット』 |
出演 | ウィル・スミス ブリジット・モイナハン アラン・テュディック |
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