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激烈な暴力と金銭欲と肉欲をして、 大正末期の大阪を生きた在日朝鮮人の半生 壮絶なベストセラー小説を見事に映画化! ただただ圧倒される、悪夢のような暴力沙汰と、生々しい肉欲の世界。映画監督・世界のキタノがいち俳優のビートたけしとして、14年ぶりに主演を果たした話題作。1998年に第11回山本周五郎賞を受賞した梁石日(ヤン・ソギル)氏の自伝的小説を、在日朝鮮人2世である崔洋一(サイ・ヨウイチ)監督が映画化。梁石日氏の原作×崔洋一監督のタッグは、53もの映画賞を受賞した1993年の映画『月はどっちに出ている』に続いて2作目。構想や取材に6年、脚本を20数回も書き直してようやく完成したという、結晶のような作品である。 1920年代の大正末期、韓国の済州島から大阪へ渡ってきた金俊平(たけし)は、蒲鉾工場を立ち上げて大金持ちとなる。が、酒を呑んでは暴力をふるい、妻の英姫(鈴木京香)や子供たちはいつも怯えて暮らしていた。俊平の身勝手さゆえ、よその人妻と通じてできた息子、脳腫瘍を患った美しい愛人、4人の子供を産んだ2人目の愛人などの存在や、激しさを増す暴力は家族を苦しめ、彼らの暮らしは破綻していく。
「これまでで一番激しく、一生懸命やった。この作品は俺の記念碑的なものになる」と語ったのは、俊平役を演じたビートたけし。撮影中はワークアウトを続けて身体を作り、暴力と抗いがたい悪魔的な魅力で周囲を圧倒する俊平を怪演。見事なハマり役だった。愛人の世話はマメにする、巨万の富を得ても食事は市場の野菜くず、と自らの主義に従って常識や世間体に囚われない姿は、なぜか憎みきれない。 |
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近ごろ映画では本作や『モーターサイクル・ダイアリーズ』、TVでは『人間の証明』など、革命や全共闘運動といった1950〜60年代の混沌とした時代をリアルに感じさせる、良質な作品が多い。漠然とアウトラインだけ知っていた事実が、当時の風潮や人々の姿と相まってくっきりと伝わってくるのは、とても新鮮だ。自分のルーツである親や祖父母が体験した青春をドラマとして楽しみつつ、時代の姿を知る。引き続き、そうした作品に注目してみようと思う。 |
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2004年9月更新 |
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2004年11月6日公開 丸の内プラゼールほか 全国ロードショー |
■日本映画 ■上映時間2:24 ■松竹、ザナドゥー配給 ■監督/崔洋一 ■脚本/崔洋一、鄭義信 ■原作/梁石日『血と骨』 ■出演/ビートたけし 鈴木京香 新井浩文 田畑智子 松重豊 北村一輝 國村隼 |
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