ボーン・スプレマシー

逃げる生活から、過去の清算と復讐の旅へ
記憶喪失のエージェント、ボーンの至高の動向
迫力のアクションで見せるヒット作の続編

  • 2004/12/17
  • イベント
  • シネマ
ボーン・スプレマシー

ヒット作『ボーン・アイデンティティ』から2年、期待の続編が完成。記憶を失い、執拗な追っ手から逃れつつも自らの身元を突き止めた元CIAエージェント、ジェイソン・ボーンのその後を描く。スリリングなアクションやカーチェイス、陰謀や策略が渦巻くドラマで惹きつける、前作同様のストイックなドラマである。

あれから2年、ボーンの記憶はまだ完全には戻らず、極秘任務を冷徹に遂行していた頃のシーンを悪夢のように断片的に思い出すのみ。彼は世間から姿をくらまし、恋人マリーとインドで穏やかに暮らしていたが、追っ手に見つかってしまう。そのころベルリンで起こったCIAエージェントと情報屋の殺人現場には、何者かによってボーンの指紋が残されていた――。

ボーン・スプレマシー

逃げる生活から、自分の過去の清算と復讐を遂げるべく、数ヵ国を渡る旅へ。謎は幾重にも連なり、サスペンス性がより深く。謎解きの際、前作で登場した名前がいくつかでてくるので、よりスムーズにドラマを楽しむには前作をおさらいしておくといいだろう。

主演はこのシリーズでアクション俳優としての評価を得たマット・デイモン。前回は鍛えぬいたボディで格闘技の技をしっかり見せてくれたが、本作の接近戦ではカメラワークでごまかしている節も少々。とはいえSWATの専門家と一緒に射撃の練習を徹底したり、川に沈むジープからの脱出をこなしたり、デイモンは熱心に訓練を積んで撮影に挑んだとのこと。ドキュメンタリー風のざらりとしたカメラワークでハイレベルなアクションが次々と展開する映像は、体感的にかなり迫力の仕上がりだ。

ロバート・ラドラムのベストセラー小説を映画化したこのシリーズ。小説では、『暗殺者(原題:The Bourne Identity)』『殺戮のオデッセイ(原題:The Bourne Supremacy)』『最後の暗殺者(原題:The Bourne Ultimatum)』の三部作とのこと。映画には原作が大胆にアレンジされているそうなので展開は読めないが、遂に完結する(?)第3弾も大いに楽しみだ。

ボーン・スプレマシー

実生活ではハーバード大に在籍しながら舞台経験を積み、ベン・アフレックと共同で脚本を執筆した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』にて1997年アカデミー脚本賞を受賞したことなどが知られているデイモン。ハリウッドの人気俳優であることは周知の事実だが、彼にはどこか地味なイメージが漂う。でもそれもヘタに“スター!”になるよりも息の長い、いい位置を保っていけることなのかも。また、『オーシャンズ12』(2005年1月22日公開)ではうってかわって、新米の気弱な泥棒ライナス役を好演。日本公開は本作とほぼ同時期となるため、ひとりの俳優が正反対のキャラクターを演じる姿をみくらべることができる。これはファンならずとも、ちょっと面白いだろう。

本作や『オーシャンズ12』、『トゥームレイダー』などなど、近ごろパート2の当たり作が続くハリウッド。ネタ切れを囁かれ続けてはいるが、個人的には面白ければ何でもOK! と思ったりして。続編ものはどこまでひっぱっていけるのか、これはこれで見物である。

作品データ

ボーン・スプレマシー
公開 2005年2月上旬公開予定
日劇1ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2004年 アメリカ
上映時間 1:48
配給 UIP映画
監督 ポール・グリーングラス
原作 ロバート・ラドラム
出演 マット・デイモン
フランカ・ポテンテ
ブライアン・コックス
ジョアン・アレン
ジュリア・スタイルズ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
XInstagram

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。