シャーク・テイル

『シュレック2』に続くドリームワークス最新作
豪華声優陣の好演と彼らそっくりのキャラが見逃せない
パロディ満載のコミカルなギャングスタ・アニメ

  • 2005/01/07
  • イベント
  • シネマ
シャーク・テイル

アニメ映画史上No.1の興行収入をマークした『シュレック2』に続き、ドリームワークス アニメーションが放つ最新作。ギャング映画をモチーフに、海中都市でカラフルな魚たちがドラマを展開するポップなアニメ。声優にウィル・スミスやロバート・デ・ニーロをはじめ、錚々たる面々が多数参加した話題作である。

オスカーはアップタウンのトップになりたい、という無謀な野望を抱く小さな魚。エンジェルフィッシュのアンジーや仲間たちとともに、ダウンタウンで暮らしている。ある日オスカーはサメに食べられそうになるが、サメは運悪く落ちてきた錨に刺さって死亡。が、事故直後の現場を目撃したクラゲブラザースは、オスカーがサメを退治した、と勘違い。“シャーク・キラーのオスカー”とメディアにもてはやされ、あっという間にマスコミの寵児に。これ幸いと、念願のセレブの地位を手に入れたオスカーだったが……。

シャーク・テイル

ノリとしてはやはり、『シュレック』によく似ている。同じくジェフリー・カッツェンバーグが製作、ヴィッキー・ジェンソンが監督を務めているためだろう。腰に響くダンス系サウンドに、歯切れのいい展開、魅力的なキャラクターたちが愛らしい。しかし『シュレック』と比べると、登場人物の感情やエピソードなどに今ひとつ深みが足りないような……。家族愛、ラブロマンス、はみだし者の自立、空虚な成功などではない本当の幸せなどなど、お涙頂戴のポイントはおさえてあるものの、少々事務的すぎるのか、心にはいまひとつ響かない。本作の脚本は『アイス・エイジ』を手がけた人物も関わっているそうだが、『アイス〜』を観たときにも似たような印象を受けたことを思い出した。本作は共感を求めるより、あくまでもエンタメとして楽しむほうが正解なのかもしれない。

シャーク・テイル

本作ではなんといっても、絢爛豪華な声優陣の面々と、彼らそっくりの顔と雰囲気を醸す魚キャラがかなりツボ。離れ目が憎めないウィル・スミス、サメのゴッドファーザーを演じるロバート・デ・ニーロ、しもぶくれが可愛いレニー・ゼルウィガー、ぶ厚い唇の妖艶な悪女(魚?)役のアンジェリーナ・ジョリー、太い眉毛がそっくりなハリセンボンにマーティン・スコセッシ、ベジタリアンのサメにジャック・ブラック、さらにはミュージシャンや名物キャスターなども参加。またファミリー向けアニメにしては珍しく、ヒップホップやR&B、ソウルを中心に構成されたサウンドがカッコいい! なかでも注目は人気アーティストによる往年の名曲のカバー。ウィル・スミスをフィーチャリングしてメアリー・J.ブライジが歌う「Got To Be Real」、クリスティーナ・アギレラとミッシー・エリオットによる「Car Wash」、ジギー・マーリーとショーン・ポールによるボブ・マーリーの「Three Little Birds」といったサントラが、突き抜けるようなストリート感覚と勢いを演出。街はNYのイメージで、GAPやコカ・コーラの広告などが魚版で登場。現代アメリカのポップカルチャーのパロディがこれでもか! と詰まった仕上がりが面白い。

年始はまず明るくハジけた作品を……と探してみると、2月公開は時期的に中途半端なこともあり、なかなか見つからない。そこでひと足はやく、春休み映画をご紹介することに。今年も皆さんがたくさんの良い映画に出会い、さまざまな感動を楽しめるよう祈りつつ、ウキウキ気分いっぱいの春の作品紹介をここにお届けする。

作品データ

シャーク・テイル
公開 2005年 春休み公開
丸の内ルーブルほか全国拡大ロードショー
制作年/制作国 2004年 アメリカ
上映時間 1:30
配給 アスミック・エース
監督 ヴィッキー・ジェンソン
ビボ・バージェロン
ロブ・レターマン
製作総指揮 ジェフリー・カッツェンバーグ
脚本 マイケル・J・ウィルソン
ロブ・レターマン
出演 ウィル・スミス
ロバート・デ・ニーロ
レニー・ゼルウィガー
ジャック・ブラック
アンジェリーナ・ジョリー
マーティン・スコセッシ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
XInstagram

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。