ロング・エンゲージメント

オドレイ・トトゥ×ジュネ監督のコンビ再び!
婚約者の生存を信じる女性が決死の捜索を敢行
昔ながらの真っ当でエレガントなミステリー

  • 2005/02/18
  • イベント
  • シネマ
ロング・エンゲージメント© 2004 Warner Bros. All Rights Reserved

世界中で大ヒットし、とりわけ日本で一大ムーブメントを巻き起こした『アメリ』から3年。監督ジャン=ピエール・ジュネ、主演オドレイ・トトゥによる作品が再びスクリーンに! さらに脚本のギョーム・ローランをはじめ、撮影監督や美術、視覚効果や特殊効果など、スタッフも『アメリ』のメンバーが再結集。フランスの映画史上、破格といわれる製作費とスケールで綴るエレガントなミステリー作品である。

第一次世界大戦下のフランス。戦場から逃れようとした罪で死刑を宣告された5人の兵士がいた。彼らの顛末や行方は終戦後も家族や仲間たちに知らされることはなく、5人の生存の見通しは絶望的。しかし若い青年兵士マネクの婚約者マチルドは、「彼になにかあれば、私にはわかるはず」と彼の生存を信じることに。自らの直感と強い意志を支えに、マチルドはマネクの捜索を開始する。

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5人の兵士たちの遺品を引き取り、プロの探偵を雇い、ひたむきにマネクの足どりを捜索するマチルド。錯綜する情報、点在する手がかり、生き証人たちの記憶や戦時下の散乱した状況を彼女は必死でたどってゆく。そこには一言で語ることなどとてもできない、人々の封印された過去や入り組んだ愛憎が絡み合っていた。

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マネクは生きているのか? 5人の兵士たちの行方は? ちりぢりになったジグゾーパズルのパーツをかき集めて、あれかこれかと悩みつつ完成させていく。昔ながらのスタイルとテンポで展開していく真っ当なミステリーだ。1910年代のフランスを再現した、クラシックなファッションや街並にはとても風情がある。連絡ツールも当然、携帯やメールやファクスはなく、電報や新聞広告、旧式の電話や手紙が登場。現在の環境では考えられないようなタイムラグやすれ違い、時間やタイミングとの付き合い方が描かれ、かえって新鮮である。またキャストでは、マネクを演じるフランスの若手俳優ギャスパー・ウリエルや、ジョディ・フォスターが脇役として出演しているのも見逃せない。

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愛を軸にミステリーを描き、戦争にまつわる話を人情的な視点から捉えた作品。『アメリ』のように全編スウィートでハッピィとはいかないが、謎解きの合間には期待通りのファンタジックなエピソードや映像が差し込まれ、観客の心を和ませてくれる。真っ青な海を見晴らす灯台などの素朴で美しい風景、幼い頃から愛を育んだマチルドとマネクの幸せな日々や、「マネク(M)はマチルド(M)と結婚する(M)」という印象的なメッセージなどが、物語に甘いエッセンスを加えている。
 原作は『シンデレラの罠』『殺意の夏』などで知られるミステリー作家兼脚本家のセバスチャン・シャプリゾが1991年に発表した全仏ベストセラー小説『長い日曜日』。「恐ろしく洗練された、まるで精密機械のようなミステリー」と小説に惚れこんだジュネ監督は、発表当時から映画化を切望し、本作で遂にその夢を実現。『アメリ』で確かな実績を積んだジュネ監督は映画化権を保持するワーナー・ブラザース映画に製作を申し入れ、スタジオ側が好条件で製作に合意。ハリウッド規模のフランス映画が完成したという。監督は本作について「なんの制約も受けず、一切の妥協はなかった。心から満足している」と語っている。

結末そのものよりもプロセスが大いに見どころの本作。謎解きの経緯とノスタルジックな風情を存分に味わってみてはいかがだろう。

作品データ

ロング・エンゲージメント
公開 2005年3月12日公開
丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
制作年/制作国 2004年 フランス
上映時間 2:13
配給 ワーナー・ブラザース映画
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
原作 セバスチャン・ジャプリゾ
脚本 ギョーム・ローラン
出演 オドレイ・トトゥ
ギャスパー・ウリエル
ドミニク・ピノン
クロヴィス・コルニャック
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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