最高のチャンスは最悪の顔をしてやってくる。
自分の居場所を求めて悪戦苦闘する姉妹を軸に
現代の人々のつながりを描いたヒューマン・ドラマ
何もかも見失ったと思うほど孤独なとき、それこそが新しい何かの始まりとなる。主演にキュートなキャメロン・ディアスと演技派のトニ・コレット、共演に長いキャリアを誇るシャーリー・マクレーンを迎えて描く女たちの人生ドラマ。ジェニファー・ウェイナーによる同名のベストセラー小説の映画化である。スタッフには『L.A.コンフィデンシャル』『8Mile』のカーティス・ハンソン監督、脚本に『エリン・ブロコビッチ』のスザンナ・グラント、製作にリドリー・スコットと錚々たるメンバーが参加。30歳前後の揺れ動く時期を迎えた姉妹を軸に、家族の在り方やコンプレックスの克服などを描いていくヒューマン・ドラマである。
少し太めで華はないがフィラデルフィアの大手弁護士事務所に勤める弁護士のローズと、キュートでスタイル抜群だがいいかげんで学歴も資格もなく無職のマギー。まるで正反対の2人は幼い頃に母を亡くし、固い絆で結ばれた仲のよい姉妹。放蕩が原因で継母に実家を追い出されたマギーはローズの部屋に転がり込むが、真っ当に自立しようとしないマギーにローズはイライラ。とうとうあることを引き金に2人は大ゲンカとなり、マギーは姿を消してしまう。
大人の女性たちの共感を確実に誘う仕上がり。ルックスやキャリアにまつわるコンプレックス、家族間の確執……個人的になにより一番グッときたのは、“自分の核を決めなくては”という30歳前後の未婚女性特有の焦りや迷走。原作者のジェニファー・ウェイナーは、プリンストン大学を主席で卒業後、自身と同世代の“ジェネレーションX”にまつわるコラムを執筆し、記者を経て結婚後も作家活動を続けている女性。彼女は生ける“ブリジット・ジョーンズ”のようであり、物語の概要にもそれに近いニュアンスはある。だが本作では、視点やディテールがより人間的に掘り下げられている。
良い人々や環境との出会いにより、コンプレックスを受け入れて乗り越え、潜在的な能力や美点が引き出されていく。誰の人生にも訪れる、ある種運命的な“転機”。最悪の状況が最適な境遇へと鮮やかに変わっていく一連の流れが美しい。ディアスの演じる奔放な妹にうんざりし、コレットの演じる姉の不器用さにヤキモキし、マクレーンの演じる祖母の厳しくもやさしい佇まいにホッとする。またメインキャストのみならず、徹底した皮肉屋であるローズの友達や、ブラックユーモアたっぷりの絶妙なコメントをする祖母の仲間など、周囲の女性たちの味な存在感も際立っている。
そしてモードなファッションも見どころのひとつ。衣裳デザイナーは“キューティ・ブロンド”シリーズで知られるソフィー・デラコフが担当。センスのいいコーディネイトのなかでも、テーマとなっている靴たちは洗練されたものばかり。ジミー・チュウやマノロ・ブラニク、シャネルやラクロワといった一流のデザインが次々と登場し、楽しませてくれる。
家族、仕事、そして愛。葛藤したりつまずいたりしながらも、自分の居場所を育んでいく女性たちの姿を描いた本作。迷える大人の女性たちにエールを送る、ギフトのような作品である。
公開 | 2005年11月12日公開 有楽座ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2005年 アメリカ |
上映時間 | 2:11 |
配給 | 20世紀フォックス映画 |
監督・製作 | カーティス・ハンソン |
製作 | リドリー・スコットほか |
脚本 | スザンナ・グラント |
原作 | ジェニファー・ウェイナー |
出演 | キャメロン・ディアス トニ・コレット シャーリー・マクレーン マーク・フォイアスタイン |
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