ブラピV.S.アンジー、プライドを賭けた壮絶バトル
切れ味のいいアクションや夫婦愛の行方など
さまざまな要素で魅せるエンタテインメント作
セクシーな2大ハリウッドスター、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが初共演。『ボーン・アイデンティティー』のダグ・リーマンが監督し、今夏の全米公開で大ヒットを記録したアクション大作が満を持して日本公開。期待通りのド派手な銃撃戦にカーチェイス、そこに夫婦のロマンスや組織の陰謀がからみ、ラブコメ的かつサスペンスフルな仕上がりに。男性でも女性でも楽しめる、わかりやすいアクション・エンタテインメントである。
郊外の瀟洒な一軒家に暮らすスミス夫妻は、建築業者のジョンとプログラマーのジェーンというごくありふれたアッパーな夫妻。結婚5〜6年目にして倦怠気味の彼らには、互いに知ることのない重大な秘密があった。それは、実は互いが業界屈指の殺し屋である、ということ。あるとき暗殺指令に赴くと、同じターゲットを巡って夫妻は鉢合わせをしてしまう。
頭を使わずにカラッと楽しむ、いかにもハリウッドな娯楽作。設定や背景のリアリティはあまりないが、本作ではそんなことより、ハゲしすぎる夫婦ゲンカの顛末が見どころ。本職がバレないよう必要以上に良き夫、良き妻として振舞い、互いに本来の姿を隠していたために迎えた倦怠期。思い切り衝突し、すべてをさらけ出したとき、夫婦はどのような展開を迎えるか。そうした心情が意外と丁寧に描かれている。
なにより、人物のキャラクターが徹底して確立されているところがいい。不敵なプランと直感的な判断力で標的を仕留めるフレキシブルなジョンと、ハイテクを駆使して任務を着実に遂行する完璧主義のジェーンは、仕事ぶりも性格も正反対。戦い方や武器選び、武器の収納にいたるまで、それぞれの美学が表されているところが面白い。そうした個性や心理がしっかりと描かれているところは、ダグ・リーマン監督の力量だろう。
どんな修羅場でも「スウィートハート」「ハニー」と互いを呼び合い、緊張と脱力の応酬でいちいち笑わせてくれるバトルシーンの数々。 “トゥームレイダー”シリーズに次いで、ジョリーは本作でも華麗なスタントを披露。なかでも高層ビルの窓から一気に降下するシーンはお見事! の一言。ブラピV.S.ジョリーでひたすら殴り合うシーンなどは傑作だ。ブラピもジョリーもアクション映画の経験はあるものの、撮影に際してスター同士でペアを組んでアクションの訓練を積んだことはとても新鮮だったとか。「おかしな状況だったけど、お互いに信用することを学んだわ」とジョリー。この共演をきっかけにブラピとジョリーは急接近し、ブラピの離婚の要因には彼女との不倫疑惑もあった、という噂の2人。バツ1のブラピとバツ2のジョリーは未だ熱愛を認めないままのようだが、子供好きのブラピは休暇をジョリーや彼女の2人の養子とともに家族のように過ごしているとか。子供のまま大人になったような天真爛漫なブラピと、肝のすわった野性的な知性や母性をもつジョリーは、けっこう似合いのカップルなのでは。プライベートでの2人の今後も楽しみだ。
殴りあううちに絆を深めていく、まるで男同士のようなハードボイルドな夫婦の姿。アクション大作にしては珍しく、カップルにもおすすめしたいシンプルな娯楽作品である。
公開 | 2005年12月3日公開 日比谷スカラ座ほか全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2005年 アメリカ |
上映時間 | 2:03 |
配給 | 東宝東和 |
監督 | ダグ・リーマン |
脚本 | サイモン・キンバーグ |
原作 | ジョン・アーヴィング |
音楽 | ジョン・パウエル |
出演 | ブラッド・ピット アンジェリーナ・ジョリー ヴィンス・ヴォーン ケリー・ワシントン アダム・ブロンディ |
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