プルーフ・オブ・マイ・ライフ

話題の戯曲を充実の面々で映画化
グウィネスが久しぶりに高評を得た
サスペンスフルなヒューマン・ドラマ

  • 2005/12/09
  • イベント
  • シネマ
プルーフ・オブ・マイ・ライフ© 2004 Miramax Film Corp. All Rights Reserved

ピュリッツァー賞やトニー賞などを受賞し、ブロードウェイやロンドン、日本などで上演された話題の舞台『プルーフ/証明』を映画化。アカデミー賞を7部門受賞した映画『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督×グウィネス・パルトロウ主演による作品である。脚本は戯曲『プルーフ/証明』の原作者である劇作家デイヴィッド・オーバーン、共演は人気若手俳優のジェイク・ギレンホール。アカデミー賞の有力候補のひとつといわれている、サスペンスフルな人間ドラマである。

天才数学者の父が精神を病んでから他界するまで、ひとりで看病をし続けた娘のキャサリン。父を亡くして失意に打ちひしがれていた彼女は、父の教え子だったハルのやさしさに触れ、少しずつ立ち直っていく。すべてがうまくいくかのように思えたそのとき、ある1冊のノートに関わる疑惑をきっかけにキャサリンとハルは対立。キャサリンは再び心を固く閉ざしてしまう。

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

真実は? 正しいこととは? 正気と狂気のはざまで数学の研究をし続けた父、自分の人生を諦めて父の面倒を見続けた数年間から抜け出せないキャサリン、“普通の生活”をキャサリンに強いる姉、数学者の卵として研究への野心と興味をかくさないハル。誰が悪いわけでもない。ハルも姉も、少しずるかったり自己保身があったりするにせよ、各々に自分の信念をもち、ベストな道を模索している。そんななか父譲りの頭脳と精神をもつキャサリンは、“いつ精神を病んでもおかしくない”という周囲や自身のプレッシャーに追い詰められていく。

そもそも戯曲『プルーフ/証明』は、2000年にマンハッタン・シアター・クラブで初上演されて以来、数々の賞を受賞し、ロングランで上演された話題作。2002年には本作の監督であるマッデンが演出を手がけ、主演にグウィネス・パルトロウを起用。この舞台が高評を得て、映画化でもこのコンビが実現したのだそう。舞台で認められたパルトロウはこの映画でも、“これまでの出演作品中最高の演技”と評価されている。撮影前の2002年10月に実生活で父を亡くしたパルトロウは、「深い悲しみを通して、キャサリンという女性をより理解することができた」と語っている。

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

父を演じたアンソニー・ホプキンスは、静かな狂気をたたえた天才数学者にぴったり。期待通りの存在感と確かな演技で魅せてくれる。キャサリンのために懸命に心をくだく青年ハルを演じたジェイク・ギレンホールは、話題作に次々と出演しているハリウッドの若手注目株。ほどよく野性味のあるセクシーさが女性にウケて、フツーのお兄ちゃん的な親しみやすさが幅広い層の共感をよぶのだろう。これからますます人気があがっていきそうだ。

現実と回想、幻想などが交錯し、愛や信頼のありかを見失い、再びそれを見出すまで。サスペンスの展開が色濃いヒューマン・ドラマである本作。休み明けから間もない1月半ば、サスペンスフルに“再生”を描く本作で、心身に一喝と感動を与えてみてはいかがだろう。

作品データ

プルーフ・オブ・マイ・ライフ
公開 2005年1月14日公開
みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
制作年/制作国 2005年 アメリカ
上映時間 1:47
配給 東宝
監督 ジョン・マッデン
原作・脚本 デイヴィット・オーバーン
共同脚本 レベッカ・ミラー
出演 グウィネス・パルトロウ
アンソニー・ホプキンス
ジェイク・ギレンホール
ホープ・デイヴィス
ゲイリー・ハウストン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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