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思いがけず自分の死を予見した記憶障害の男が
運命の女性とともに変え難い未来に挑戦する
ブロディ×ナイトレイ初共演によるSFドラマ

  • 2006/04/28
  • イベント
  • シネマ
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オスカー俳優エイドリアン・ブロディと人気の若手女優キーラ・ナイトレイ出演、ジョージ・クルーニー&スティーヴン・ソダーバーグ製作。ある出来事をきっかけに、記憶障害をもつ男は自分の死が4日後であることを知る。SF、ヒューマン、サスペンス、スリラー、ラブ・ロマンスが上手くブレンドされたスタイリッシュなドラマである。

1992年、湾岸戦争で負った重傷の後遺症で記憶障害となったジャックは、事件に巻き込まれて精神病院送りとなる。そこで彼は拘束衣(ジャケット)で縛られて死体安置用の引き出しに監禁、という異様な実験的治療を受ける羽目に。その“治療”中、身体も精神も逼迫し、緊張が極限のピークに達した瞬間、彼はそこではないどこかに佇んでいた。

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人は死を意識したとき、初めて生に本気で向き合うことができる。どんな人生であっても酒や薬に逃げてはいけない。死ぬ気でやれば、誰もが自分の運命すら変えることができる。危険で残酷な匂いのする映像で挑発し、関心を惹き付けておきながら、ストレートなメッセージを投げかけるところがあざやか。本作なら、若い世代にも真っ当なテーマが説教臭くなく伝わるかも……と期待してしまう仕上がりだ。

物語としては、タイムトラベルやパラレルワールドなど、意外とSFの要素が満載。さまざまなドラマのエッセンスがキレのいい展開に盛り込まれ、飽きさせない。実験映画やミュージック・ビデオのクリエイターとしてイギリスで活躍するジョン・メイブリー監督のセンスが生かされているようだ。また傷ついた者同士が呼び合い、強く結びつくというジャックとジャッキー(ナイトレイ)の関係は必然で純粋。説得力がある。

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主演のエイドリアン・ブロディは、オスカー受賞作『戦場のピアニスト』や『キング・コング』の脚本家役とはまた違う趣。巧い役者は何をしても巧い、というだけでなく、なんだかとっても目が色っぽいのだ。2004年の撮影当時、ブロディとナイトレイはプライベートで少し噂になったとのこと(今は人気者のナイトレイには別の噂がたくさん)。ブロディの全身にみなぎる情熱的なオーラは、ナイトレイに対して役柄のジャックとしてだけでなく、素の自分を一心にアピールしていたから。そしてそれが演技にもいい具合に反映されていた……のかもしれない(笑)。ちなみに撮影時はまだ007の6代目ボンドに抜擢されていなかったダニエル・クレイグが、精神病患者ルーディー役でさりげなく出演している。

緊張の後の弛緩。希望をはっきりと打ち出す作品はいつ観ても気持ちがいい。浮遊する謎と戯れて、予想外の展開にノッてみるのも一興だ。

作品データ

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公開 2005年5月20日公開
東劇ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2005年 アメリカ、ドイツ
上映時間 1:43
配給 松竹
監督 ジョン・メイブリー
製作 ピーター・グーバー
スティーヴン・ソダーバーグ
ジョージ・クルーニー
出演 エイドリアン・ブロディ
キーラ・ナイトレイ
ジェニファー・ジェイソン・リー
クリス・クリストファーソン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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