プロヴァンスの贈りもの

プロヴァンスの魅力が詰まったベストセラーを
スコット監督×ラッセル・クロウ主演で映画化。
野心的な男が満たされて変わってゆく極上の物語

  • 2007/07/20
  • イベント
  • シネマ
プロヴァンスの贈りもの

28ヶ国語に翻訳されて500万部以上の売り上げで世界的なベストセラーとなり、3年連続でニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにマーク、ブリティッシュ・ブック・アワードの紀行文学賞を受賞。ピーター・メイルが1990年に発表し、世界中の大人たちの胸をときめかせた小説『南仏プロヴァンスの12ヶ月』を映画化。監督は名匠リドリー・スコット、出演はオスカー俳優ラッセル・クロウ、フランス映画界で人気の女優マリオン・コティヤール、ベテランのイギリス人俳優アルバート・フィニー。ロンドンで若くして成功している野心家の男が、プロヴァンスでの出会いや思い出によって新たな価値観にめざめてゆく。ロマンスあり、家族愛あり、ちょっとしたサスペンスあり、さわやかでシンプルかつ洗練された物語である。

ロンドンの金融界を豪腕トレーダーとして闊歩するマックスのもと、叔父ヘンリーの訃報が届く。そこには叔父が所有していた南仏プロヴァンスのシャトーをマックスが相続する、という旨が記されていた。少年時代に叔父を慕い、休みはいつもそのシャトーで過ごしていたマックスだが、今の自分は昔と違うと自覚する彼は瞬時に損得勘定をして売却を即断。手続きのためにプロヴァンスへと渡る。

プロヴァンスの贈りもの

無機質なブルートーンのロンドンの金融界から、みずみずしい色彩があふれるプロヴァンスのシャトーへ。マックスはヘンリーおじさんとの思い出に触れるうちに、常に冷徹に利益を最優先するはずの自分が、かすかにゆらいでいることを感じる。一流の味を知る通人が高値で買うというブティック・ワイン、フランスの郷土料理、緑豊かな自然や石造りのシャトーの質感、そして恋。五感を響かせるいくつもの要素が多層に美しく紡がれ、仕事に疲れた都市の人間たちを強力に惹き付ける。

地元の人気店の若き女主人ファニーとの出会いや会話はウィットに富み、やり手不動産業者チャーリーや敏腕秘書ジョゼ、建物とぶどう園を管理する昔馴染みの中年夫婦との掛け合いは非常にテンポよくコミカル。マックスの俺様でも憎めないキャラをクロウが軽妙に好演している。また、プロヴァンスでカフェレストランの経営に成功しナチュラルに生きるファニーは、現代女性が夢見る典型的な一例。THEフランス美人を生き生きと演じるコティヤールの雰囲気も好い。

プロヴァンスの贈りもの

プロヴァンスのリュブロン地区に定住している原作者のメイルと、同地に別荘とぶどう園を15年間所有しているスコット監督は、’70年代にロンドンの広告業界で仕事をしていた頃から30年来の友人とのこと。そもそもこの企画は、’96年に監督がタイムズ紙で見つけたブティックワインの記事をメイルに伝えて「君が本を書いたら、私はその映画化権を購入するよ」と話したことからスタート。英国人でありながら南仏の土地や人や食べ物、そしてワインを心から愛する 2人の憧憬がリアルにつまっているからこそ、本物のプロヴァンスの魅力がぎっしりと詰まった仕上がりになっているのだろう。

ヘンリーおじさんの愛した名曲、手間と時間をかけて理想どおりに熟成させたワイン、人生から体得した独自の哲学、ラストの手紙に込められた真心と受け取り手の理解まで、そのすべてが粋。古きよき名画へのオマージュをそこかしこにちりばめた隠し味も効いている。実際にリュブロン地区のシャトーで収穫時期に撮影されたぶどう園の豊かな実りの映像も含め、幸福感で心をたっぷりと満たしてくれる芳醇な作品である。

作品データ

プロヴァンスの贈りもの
公開 2007年8月4日公開
新宿ガーデンシネマほか全国ロードショー
制作年/制作国 2006年 アメリカ
上映時間 1:58
配給 角川映画
監督・製作 リドリー・スコット
原作 ピーター・メイル
脚本 マーク・クライン
監修 田崎真也
出演 ラッセル・クロウ
マリオン・コティヤール
アルバート・フィニー
フレディ・ハイモア
アビー・コーニッシュ
トム・ホランダー
ディディエ・ブルドン
イザベル・カンディエ
ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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