名パティシエのママが仕込む末娘の恋とは?
洗練のスウィーツに流行のファッション。
甘い幸福がふわっと香るロマンティック・コメディ
1970年に映画デビューをしてから61歳の現在まで、センスのいい知的な女性としてハリウッドで支持され続けているダイアン・キートンの最新作。3人の娘たちと友達のように仲の良い母親が、末娘の結婚相手を見つけようと奮闘するロマンティック・コメディ。おいしそうなケーキやデザート、流行のファッションなど、女性の好きなもので惹きつける、とてもわかりやすいハッピー・ムービーである。
LAでスウィーツショップを経営するパティシエのダフネは、夫と死別してから3人の娘を育てあげ、娘たちが大人になっても買物やエステに一緒に行くほど仲良し。長女と次女は結婚して幸せに暮らしているが、ケータリングのシェフをしている末娘のミリーだけは、ダメ男につまずいてばかりで独身のまま。見かねたダフネはミリーに内緒で花婿候補募集のWEB広告を出し、面談を実行する。
仕事はデキても恋に不器用なシェフのミリー、パティシエとして働きながら静かに一人暮らしをする母親ダフネ、そして幸せな結婚生活を送る長女と次女。自分なりの世界がありながらも満たされない母娘、幸福な人生をシンプルに暮らす明るい妻たち、現代女性たちの共感や憧れを誘う要素をしっかりと網羅。物語では、育ちのいい建築家とハートのあるミュージシャン、忽然と現れた2人の恋人候補にミリーが舞い上がるところも、思いがけずダフネに恋が訪れるところも微笑ましい。
キートンは期待通り、過保護で口うるさい母親でありながらも憎めない、かわいらしい大人の女性を好演。ムーアは実年齢では23歳と若いものの、結婚を意識する20代後半の女性をナチュラルに演じている。
食いしん坊の筆者にとって一番印象的だったのは、ダフネが作るモダンなウェディング・ケーキやミリーが作る可憐なバースデイ・ケーキ。「どれもとてもおいしそうで、デザインもキュート! これはただものじゃない」と思っていたら、それもそのはず、劇中のスウィーツを手がけたのはLAセレブ御用達のオーダーメイド・デザートの会社Cake Divas。黒と白のドット模様や、ヴィヴィッドなイエローベースに鮮やかな花柄など、ケーキとはとても思えないほど斬新でモードなデザインでありながら、おいしそうなところが本当にスゴイ。映画を観ながら「あれ食べたい…!」と真剣に思い、製作側の思うツボにまんまとハマってしまった。
女優たちのファッションも見どころのひとつ。本作は映画やTVドラマで使用した商品を紹介するサービス「スタースタイル」と提携した初のメジャー作品とのこと。身近なブランドであるトッカやジョヴァンニなどの旬のアイテムをキートンやムーアら女優たちが着こなしていることも話題になっている。
文章で羅列するとあまりにも商業的な作品に思えるかもしれないが、すぐに取り入れたくなるようなファッションやおいしそうなケーキたちを次々と目の前に出されると、そうした理性的な考えなど軽く吹き飛んでしまう。そして楽しい気分がふわっと広がっていく。こういう作品には抵抗せず、単純に楽しんでしまうことが一番。ディナーの最後、美しく盛られたデザートを味わうかのように。
公開 | 2007年9月1日公開 シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー |
---|---|
制作年/制作国 | 2007年 アメリカ |
上映時間 | 1:42 |
配給 | 東北新社 |
監督 | マイケル・レーマン |
脚本 | カレン・リー・ホプキンス ジェシー・ネルソン |
出演 | ダイアン・キートン マンディ・ムーア ガブリエル・マクト スティーブン・コリンズ ローレン・グレアム パイパー・ペラーボ |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。