NYで超一流の腕を誇る鉄壁の女性シェフが
思いがけない恋や姪との生活で変わっていく
ホッと心なごむ美味しいラブ・ストーリー
実写やアニメなどシェフが主人公の話題作が続く中、またまた新作が登場。完璧主義でワーカホリックの女性シェフが、人生の思いがけない局面を迎えて魅力的に変化していく様を描く。出演はオスカー女優のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、人気子役のアビゲイル・ブレスリン、監督は『シャイン』のスコット・ヒックス。心温まるシンプルなラブ・ストーリーである。
連日予約で満席のマンハッタンの高級レストラン「22ブリーカー」では、料理長のケイトが今日も戦場のような厨房を仕切っている。自他ともに認める超一流のシェフであるケイトは、プライベートな人付き合いが大の苦手。恋人もなく、マイペースに一人暮らしをしてきたが、姉が事故死し、9歳の姪ゾーイを引き取って一緒に暮らすことに。そんな折、「22ブリーカー」の厨房にケイトとは正反対の陽気なシェフ、ニックが副料理長として採用され、ケイトはオーナーに猛然と抗議する。
自分だけの規則正しい生活ペースをゾーイに、確固たる信念に基づいた仕事のスタイルをニックに乱されるケイト。これまで築いてきた“自分らしさ”を侵されることへの困惑と苛立ち。仕事に生きる自立した独身女性なら、国籍問わず「あるある」と頷いてしまうようなエピソードが物語として描かれている。ヒックス監督は語る。「重要なのは、難問や逆境を克服していく中で、愛や目的、そして人生に対する新たな発見という“ギフト”をどのように受け止めるかなんだ」。
ちなみにイタリアかぶれのニックが厨房でオペラを流し、歌いながら料理するシーンでは、歌劇『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」を印象的に使用。奇しくも2007年9月6日に亡くなったばかりのパバロッティによる表情豊かなテノールがフィーチャーされている。割れアゴにヒゲの剃り跡が青く残る、スキだらけの顔に親しみがわくエッカートは情の深いやさしいニック役を、愛らしいブレスリンは母を亡くしたばかりのデリケートな少女ゾーイをそれぞれに好演している。
ブイヨンで煮込んだスズキやうずらの白トリュフソース添えなど、おいしそうな本格フランス料理の数々が紹介される本作。ドキュメンタリー作品でも知られ、リアリティにこだわるヒックス監督は、俳優たちに厨房での正確な動きを要求。ゼタ=ジョーンズは料理長として、エッカートは副料理長としての動きを有名シェフのマイケル・ホワイトから習得したのだそう。またゼタ=ジョーンズは、NYに実在する人気レストラン「フィアマ・オステリア」の多忙なディナー・タイムで、ウェイトレスとして自らサーブを手伝ったそうで、「緊張したけどためになった」と語っている。
実は本作を撮影する前までは、卵料理さえまともに作れないほど料理をまったくしなかったというゼタ=ジョーンズ。「感謝祭のディナーの準備がとても楽しみ。我が家はもう、料理本でいっぱいよ」と語り、本作の撮影をきっかけに料理の楽しさに目覚めたというから面白い。主人公のケイトさながら、その役を演じた主演女優にも“新たな発見”という名の小さなギフトをもたらした本作。人恋しくなってくる初秋にぴったりの、ストレートでほのぼのとしたラブ・ストーリーである。
公開 | 2007年9月29日公開 丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2007年 アメリカ |
上映時間 | 1:44 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
監督 | スコット・ヒックス |
脚本 | キャロル・フュクス |
原作 | サンドラ・ネッテルベック |
出演 | キャサリン・ゼタ=ジョーンズ アーロン・エッカート アビゲイル・ブレスリン パトリシア・クラークソン ボブ・バラバン |
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