プライスレス 素敵な恋の見つけ方

清純な「アメリ」が小悪魔に変身!?
平凡な男が玉の輿狙いの美女に恋をしたら…
ウィットを効かせたロマンティック・コメディ。

  • 2007/12/28
  • イベント
  • シネマ
プライスレス 素敵な恋の見つけ方©2006 LFP LES FILMS PELLEAS - FRANCE 2 CINEMA -FRANCE 3 CINEMA - TOVO FILMS - KS2 PRODUCTIONS

無償の愛より無制限のクレジットカード。目指せリッチな玉の輿。『アメリ』のオドレイ・トトゥがやり手の美女を演じる洗練のラブ・コメディ。共演はフランスで絶大な人気を誇るコメディアンのガド・エルマレ、監督・共同脚本はコメディの名手としてフランスで活躍するピエール・サルヴァドーリ。'06年のフランス公開時に観客動員数200万超のヒットを記録したキュートなラブ・ストーリーである。

高級ホテルで働く平凡なウェイターのジャンは、彼を億万長者と勘違いしたイレーヌに誘惑されて一夜を共に。が、彼がただのウェイターと知るとイレーヌはあっさりと姿を消し、リッチな恋人探しに没頭。ジャンは彼女を忘れられずに追いかけるが、貯金すべてを貢がされた挙句、またもや彼女は去ってしまう。それでも諦めきれずにいたところ、未亡人の有閑マダムに窮地を救われたジャンは思いがけずジゴロ生活をすることに。

オドレイ・トトゥ

内容はまったく異なるものの、『おいしい男の作り方』という一条ゆかりさんのコミックのタイトルがキーワードとして浮かんでくる展開。ジャンはマダムと過ごし、イレーヌからジゴロとしてのテクニックを伝授されるうちに、イレーヌだけを思う一途な心はそのままに、身なりや立ち居振る舞い、女性に対するケアや心遣いがどんどん磨かれていく。上等なスーツにクールなスクーターで現れたジャンに、イレーヌが一瞬見惚れて気を持ち直すなど、かわいいシーンが満載だ。

イレーヌがまとうプラダやグッチ、イヴ・サン・ローランやセリーヌ、クリスチャン・ルブタンなど一流メゾンの服や靴やバッグ、ジャンがマダムから贈られるジャガー・ルクルトの時計マスター・コンプレッサー・メモヴォックス(3万ユーロ≒約500万円)、全身エルメスのマダムなど、ゴージャスなファッションは見どころのひとつ。本国フランスでは'06年12月公開の作品であるため最新トレンドをチェックというわけにはいかないし、個々のアイテムが一般的とは言い難いが、シャネルやアザロのドレス+パンプスやサンダルというトトゥの着こなしはコーディネイトの参考になる。'08年3月の公開にあわせて、ファッション誌でアイテム紹介の記事が期待できそうだ。

ガド・エルマレ、オドレイ・トトゥ

ジャン役は、日本では知名度がさほど高くないものの、自ら書き下ろした一人芝居や映画に出演するなどフランスでは文化省から芸術文化勲章を授与された('06年)ほどその実力が認知されているというエルマレ。その役柄から派手さはあまりないものの、愛ゆえの献身にほんの少しの皮肉を含むウィットの効いた演技で魅せてくれる。一方、日本でもアイドル的な人気のあるトトゥは、金銭欲と物欲を満たすために裕福な男を渡り歩く、これまでにないタイプのキャラクターをコミカルに好演。エルマレとの共演について、「自分のレベルで彼に追いつけるか心配でとても緊張した」と語っている。

オドレイ・トトゥ、ガド・エルマレ

どこまでも明るく楽しく軽妙に展開していくロマンティック・コメディの王道。監督は語る。「イレーヌは手ごわい女性です。人に好かれる才能を武器にしながら、きっちりと自分の取り分を要求する。まるで毅然とした兵士のようです。ジャンは自分の心を揺さぶるという意味では敵。彼女の人生プランにとって、犠牲や無償性が求められる恋には意味がない。我々は彼女が自分の愛と徹底的に闘い、それが最後には彼女を救うことを望みました」。物質至上主義の女性の内面における理想と現実、野望と恋とのせめぎあい。一見スマートなだけのラブコメかと思いきやココがポイントとは、なかなか奥が深いようで。

作品データ

プライスレス 素敵な恋の見つけ方
公開 2008年3月公開予定
シネカノン有楽町2丁目ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2006年 フランス
上映時間 1:45
配給 シネカノン
監督・脚本 ピエール・サルヴァドーリ
共同脚本 ブノワ・グラファン
脚本・製作 アキバ・ゴールズマン
出演 オドレイ・トトゥ
ガド・エルマレ
マリー=クリスティーヌ・アダム
ヴァーノン・ドブチェフー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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