HOT FUZZ/ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-

平和な田舎町で起きた連続死亡事故の真相は?
サスペンスやバイオレンスetc.を濃縮ミックス!
イギリスの名コンビが放つ傑作コメディ

  • 2008/06/27
  • イベント
  • シネマ
HOT FUZZ/ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-©2006 Universal Pictures International. ALL RIGHTS RESERVED.

すべては正義のために! アホらしいほど銃弾が飛び交い、キレのいいカーチェイスが大げさに展開する。アクション&バイオレンスの警官モノにして、伝統的なサスペンス、ホラーやパニック、スプラッタなど、あらゆる濃縮エキスをギュッと詰め込んだ傑作コメディ。監督にエドガー・ライト、主演にサイモン・ペッグ。日本では劇場未公開ながら英国ではカルト的人気を博した’04年の映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』と同様、2人が共同で脚本を執筆。サービス精神満載で期待以上の面白さを約束する、今夏最高の爆笑ムービーである。

ロンドンで検挙率・地域貢献度No.1のエリート警官ニコラス・エンジェル。あまりにも優秀すぎることから上司や同僚に疎まれた彼は、イギリス一安全な田舎町サンドフォードに左遷されてしまう。が、まじめ一徹の彼は田舎ならではのゆるい感覚に合わせることもなく、相変わらず体調管理も任務も万全。法律違反を次々と取り締まり、行方不明の白鳥探しからご近所の諍いの仲裁までキッチリとこなしている。のどかなカントリー・ライフに埋没するかと思いきや、不可解な連続死亡事故が村で発生する。

ニック・フロスト、サイモン・ペッグ

少年時代から刑事モノの大ファンだったライト監督が、ペッグとともに改めて200本以上の作品を観て書き上げたという本作。さまざまな映画の名物シーンにオマージュを捧げつつ、ただのお笑いパロディで終わらせない層の厚さとストーリーテリングの面白さは、彼らのセンスの賜物だ。ライト監督は本国イギリスのTVシリーズ『Spaced』でコメディ作家として広く認められ、『ショーン・オブ・ザ・デッド』で長編デビュー。クエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲスらによる『グラインドハウス』で実在しない映画の予告編『Don’t』を担当。ライト監督は現在、L.A.のタランティーノ宅に居候しているとのこと。新たなコラボレーション企画なども期待したい。

個人的に爆笑したのは、エンジェルが○○相手に見事な跳び蹴りを食らわすシーン。冷静な表情のまま、迷いも容赦もなく俊敏にキメるところがたまらない。映画慣れしている人々が集うマスコミ試写会では、コメディでも爆笑ということはあまりないのだが、本作では爆笑が何度も起こった。

サイモン・ペッグ、ニック・フロスト

主人公はいたって真面目、というところがたまらなく可笑しい本作。エンジェルを演じたペッグは、ライト監督とともに『Spaced』の共同脚本を手がけ、出演もしてブレイクした人物。ペッグは本作について、「彼(エンジェル)はトンマなやつじゃないから、僕の今までの演技経験はどれも使えない」と語り、これまでとは違うアプローチで臨んだとのこと。それが見事に成功している。エンジェルの相棒となる呑気な警官ダニー役には、やはり『Spaced』で認知されたニック・フロストが好演。またジム・ブロードベントをはじめイギリスの一流俳優たちが多数出演し、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督やオスカー女優のケイト・ブランシェットらがカメオ出演するなど、キャストの充実ぶりにも注目だ。

HOT FUZZ/ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-

イギリスでは警官が銃を携帯していないことからか、「英国の犯罪映画にはすばらしい伝統があるが、制服姿の警察官を描く英国映画はほとんどない」(ライト監督)とのこと。そこに一石を投じ、イギリスを舞台にした制服の警官モノを作るチャレンジ精神もいいし、銃撃戦になだれ込む流れがしっかりと描かれているところもいい。舞台となる田舎町は、監督が育ったサマセット郡のウェルズで撮影したとのこと。件のスーパーマーケットは監督が以前に働いていた店だった、というからまた笑える。ハリウッドの刑事モノのノリに英国風ユーモアをたっぷり加え、“英国の巡査たちを描くジャンル大作映画”を作ったという本作。ゲラゲラ笑いながらも二転三転する展開に引き込まれ、ラストにはスカッとさせてくれる。全編通して中だるみナシ、イギリス産の画期的な爆笑ムービーをご覧あれ!

作品データ

HOT FUZZ/ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-
公開 2008年7月5日公開
渋谷シネマGAGA!ほか全国順次ロードショー
制作年/制作国 2007年 イギリス
上映時間 2:00
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
監督 エドガー・ライト
脚本 エドガー・ライト
サイモン・ペッグ
出演 サイモン・ペッグ
ニック・フロスト
ジム・ブロードベント
ティモシー・ダルトン
パディ・コンシダイン
レイフ・スポール
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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