後藤ひろひと原作×中島哲也監督
レベルMAXのリアルな感情と幻想的な映像
爆笑と感動の斬新なヒューマンドラマ
ストーリーもヴィジュアルも最高レベル! 子供から大人まで誰もが思いきり楽しめる極上の日本映画が完成した。出演は役所広司、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也、そしてオーディションで選ばれた少女アヤカ・ウィルソン。’04年に初演された後藤ひろひと作の伝説的な舞台「MIDSUMMER CAROLガマ王子vsザリガニ魔人」の原作を、『下妻物語』『嫌われ松子の一生』中島哲也監督が映画化。“爆笑で号泣”というキャッチフレーズそのもの。サイケデリックな感覚さえおぼえる、極彩色のヒューマンドラマである。
奇妙な入院患者と奇妙な医師や看護士が集う某所の某病院。なかでも「お前が私を知ってるだけで腹が立つ!」が口癖の超偏屈な老人・大貫は、周囲から嫌われていつも独りでいる。大貫はある日、病院の庭で絵本を朗読する少女パコに出会うも、気に食わないというだけでパコを突き飛ばす。数日後、大貫が大事にしていたライターを失くして狼狽している時、パコからそのライターを自分のもののように渡され、大貫は衝動的な怒りにまかせてパコの頬をひっぱたく。実はパコは、交通事故の後遺症で1日分の記憶しか保つことのできない少女なのだった。
まず、非常にデリケートで繊細な感情を扱いながら、とてもシンプルにわかりやすい物語に昇華している劇作家・後藤ひろひとの原作のチカラがすごい。そして「シンプルな物語をいかに面白く見せていくか」という挑戦をしたという中島監督による、際どさギリギリのアーティスティックな演出がまたすごい。天才の原作を鬼才が料理しているのだから、そりゃもう筆舌に尽くしがたい。かといって実験的で押しつけがましいことはまったくなく、一流役者たちのキョーレツな扮装や漫才並のやりとり、阿部サダヲ扮する堀米の奇行に爆笑し、不器用な大人たちの心の交流や解放されていく感情がひどく胸を打って号泣を誘う。心を開くこと、受け入れられることの素晴らしさを理屈抜きで万人に訴えかける、ハートウォームな作品だ。
「日本のトップレベルの俳優さんたちにあえてゴテゴテのメイクを施すことで枷をはめて、逆に彼らの演技がより際立つようにした」という中島監督の狙いは大成功。ハゲ頭の偏屈ジジイ・大貫に役所広司、オカマの木之元をなんとベテランの國村隼、神出鬼没の変人・堀米に阿部サダヲ、パンクで暴力的な看護士タマ子に土屋アンナ、謎のテンションをもつ医師の浅野に上川隆也、挫折したもと有名子役・室町に妻夫木聡、消防車に轢かれた消防士の滝田に劇団ひとり、ワケありのヤクザ・龍門寺に舞台でも同役を演じた山内圭哉、大貫の甥の浩一と彼の甥の浩二に加瀬亮、浩一の妻でサディスティックな看護士の雅美に小池栄子、そして演技は初めてながらピュアな存在感が輝くアヤカちゃん。アヤカちゃん以外の俳優たちは特殊メイクでほぼ別人に変身し、CGや美術セットで作りこまれたおとぎの国の住人として生き生きと演じている。冒頭にフラダンスの先生役で竹中直人ばりのオーラを放つ後藤ひろひとをはじめ、有名人たちのカメオ出演も見逃せない。
後藤作品の初の映画化である本作。舞台とは異なるアプローチで生まれ変わった本作について、後藤ひろひとは語る。「たとえ死んでも他人の記憶に残ればその人は生きている。生きていても誰の心にも残れないのならばその人は死んでいる。記憶を持たない少女の心に残ろうとした老人はこの映画で永遠の命を手に入れた。ありがとう中島監督!」日本の劇場長編映画では史上初というピクサーもびっくりの3DフルCGキャラと実写の合成、中島哲也監督が1年半かけて徹底的に作りこんだ音楽と映像の制作秘話、俳優陣がいかに楽しみながら参加したか、中島監督と劇作家・後藤それぞれのこれまでの創作活動やクリエイター魂について。この文字数では書ききれないほど魅力に満ち満ちた本作。そう。パソコンの前で映画解説を読んでいる場合じゃない。とにかく今すぐ劇場へ! そこでは観たことのないヴィジュアルと俳優たち、ノスタルジックな音楽、根源的な驚きと感動にあふれる世界が迎えてくれる!
公開 | 2008年9月13日公開 全国東宝系にてロードショー |
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制作年/制作国 | 2008年 日本 |
上映時間 | 1:45 |
配給 | 東宝 |
監督 | 中島哲也 |
原作 | 後藤ひろひと |
脚本 | 中島哲也 門間宣裕 |
音楽 | ガブリエル・ロベルト |
出演 | 役所広司 アヤカ・ウィルソン 妻夫木 聡 土屋アンナ 阿部サダヲ 加瀬 亮 小池栄子 劇団ひとり 山内圭哉 國村 隼 上川隆也 |
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