P.S.アイラヴユー

急死した最愛の夫から届く消印のない手紙。
スワンク×バトラーが現代の純愛を伝える
笑いあり涙ありのロマンティックな物語

  • 2008/10/17
  • イベント
  • シネマ
P.S.アイラヴユー© 2007 CUPID DISTRIBUTION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

原作は全世界で500万部以上のベストセラーをマークした、アイルランドの新人女性作家セシリア・アハーンによる同名の処女小説。最愛の人を亡くした痛みを乗り越え、新たな一歩を踏み出すまでを前向きに描く。出演は2度のオスカー受賞で知られる演技派のヒラリー・スワンク、映画『オペラ座の怪人』で主演をつとめた実力派のジェラルド・バトラー。監督・脚本は『マディソン郡の橋』の脚本を手がけて高く評価されたリチャード・ラグラヴェネーズ。とても過酷な状況をテーマにしながら、ユーモアやジョークをたっぷりと盛り込んで未来への希望につなげていく。ハートウォームなラブ・ロマンスである。

NYのマンハッタンで暮らすアメリカ人のホリーとアイルランド男のジェリー。広くはない部屋で口喧嘩しながらも、2人の平凡で幸せな生活は一生続いていくはずだった。が、ジェリーが脳腫瘍によって急死。ホリーは彼の死を受け入れられず、友人や家族との連絡を絶って部屋に籠城。すさんだ部屋で30歳のバースデイを迎えたホリーのもとへ、消印のない手紙が届く。それは死んだジェリーから届いた最期のサプライズ。10通目まで続く、彼女に新たな一歩を促すためのメッセージだった。

ジェラルド・バトラー、ヒラリー・スワンク

大切な人が逝ってしまっても残された人たちの人生は続き、そこに新たな希望は必ずある。個人的には「ここで泣け」「ここで笑え」という商業的な演出が多すぎて引いてしまう面もあるが、作品のメッセージが健全で温かいものであることは確か。ジェイムス・ブラントが歌う主題歌「セイム・ミステイク」で涙腺がゆるみ(日本語主題歌は徳永英明の書き下ろし「小さな祈り〜 P.S.アイラヴユー」)、大人の女性たちの涙を誘うことは間違いない。

オスカーを受賞した『ミリオンダラー・ベイビー』のように、シリアスで個性的な役柄を濃厚に演じきる演技派のスワンク。ホリー役のコミカルで軽妙なキャラクターがスワンクの性に合わずに観ている方が照れ臭くなる場面もあるものの、シリアスなシーンでは持ち前の情感を豊かに表現して感動を誘う。バトラーは死してなおホリーを支え、新たな人生と導いていくジェリーを好演。包容力と体力で女性を癒す、昔ながらの男らしさを誇る“アイルランド男”を自然体で表している。ホリーを見守る母や仲良しの友人たちなど、周囲の登場人物たちのさりげない思いやりもよく描かれている。

ヒラリー・スワンク、ジーナ・ガーション、リサ・クドロー

21歳で本作の原作小説を執筆したセシリア・アハーンは現在27歳。アイルランドの現首相バーティ・アハーンの娘であり、ジャーナリズムとメディア・コミュニケーションの学位を保持。’04年に発表された本作と同名の処女小説は40カ国以上の国で出版され、世界的なベストセラーに。’04年に発表した2作目『Where Rainbows End』もベストセラーとなり、’05年の3作目『If You Could See Me Now』は映画化の予定、第4作目『A Place Called Here』は北米のTVドラマとして準備中。ヨーロッパで数々の文学賞を受賞し、現在は第5作目を執筆中。いくつかの作品集に提供した短編の権利料はすべてチャリティに寄付しているとのこと。舞台挨拶ではシャイでキュートな気のいいお姉さんといった風情で、作品のイメージどおりの温かい人柄が感じられた。意識の高いスタンスと万人の共感を誘う作品の執筆で、今後も広く活躍していくことだろう。

ヒラリー・スワンク

どこまでも緑が続く広大な国立公園など、アイルランドの土地の魅力も楽しめる本作。笑いあり涙あり、悲劇にして喜劇、ラブロマンスでありヒューマンも少々。重量感あるテーマを軽妙に伝えるモダンな純愛物語。悲しみを乗り越えていく主人公ホリーとともに、愛に満ちたメッセージを受け取り、ロマンティックな気分に浸ってみてはいかがだろう。

作品データ

P.S.アイラヴユー
公開 2008年10月18日公開
日劇1ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2007年 アメリカ
上映時間 2:06
配給 ムービーアイ+東宝東和
監督 リチャード・ラグラヴェネーズ
原作 セシリア・アハーン
脚本 スティーブン・ロジャース
出演 ヒラリー・スワンク
ジェラルド・バトラー
キャシー・ベイツ
リサ・クドロー
ハリー・コニックJr.
シーナ・ガージョン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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