バンク・ジョブ

盗んだものは英国王室スキャンダル!?
’71年に英国で起きた強盗事件の真相を描く
スタイリッシュなクライム・サスペンス

  • 2008/10/31
  • イベント
  • シネマ
バンク・ジョブ© 2007 Baker Street Investors, LLC. All Rights Reserved.

1971年に実際に起きたイギリス史上最大の銀行強盗事件の全貌を、関係者の証言をもとに映画化。歴史上でも数回しか発令されたことのない英国政府による完全な報道規制、D通告(国防機密報道禁止令)が発令され報道は打ち切り、闇に葬り去られたといわれる事件の裏には、王室スキャンダルがあった。出演はアクション俳優として知られるジェイソン・ステイサム、モデル出身のサフロン・バロウズ、数々の演劇賞を受賞している名優デヴィッド・スーシェらイギリス出身の俳優たちが結集。監督は『世界最速のインディアン』が高く評価されたロジャー・ドナルドソン。ヤバイほう、ヤバイほうへと二転三転して転げ落ちていく展開に釘付け。最後に笑うのは? 痛快なラストまで観客を惹きつける、スリルと人間味に満ちたクライム・サスペンスである。

’71年のロンドン。中古車ディーラーのテリーは昔馴染みのマルティーヌから銀行の貸金庫の強盗計画を持ちかけられ、仲間を集めて7人で共謀。銀行の2軒先にある店の地下から掘削していく金庫破りを実行する。実はその貸金庫には金品のみならず、SMクラブに出入りする政治家らの写真や裏社会の帳簿、王室スキャンダルの証拠が隠されていた―。

ジェイソン・ステイサム

強盗のプロでもなんでもない金目当ての寄せ集め集団が掴んだのは、夢の財宝か死のカードか。銀行強盗までひと騒動、その後にさらなる大騒動。金庫破りから始まり、強盗V.S.諜報員、小悪党V.S.大悪党、まっとうな刑事V.S.汚職刑事という混戦状態へ。英国王室をはじめ、政治家ら権力者のスキャンダルを背景に、映画数本分のエピソードがつまっているかのような骨太なストーリーが展開する。

10年以上にわたる徹底的なリサーチを重ねて完成したという本作。プロデューサーのスティーヴン・チャスマン曰く、「(消息を絶っていた)事件の当事者を何人か探し出し、実際に話を聞いて脚本全体に真実味を盛り込みました」というからすごい。脚本を担当したディック・クレメントとイアン・ラ・フレネは、当時ロンドンで暮らしていてその事件を新聞で知っていたとのこと。事件の関係者から日本の配給会社に非公式に寄せられた情報によると、「9割が事実」とも。真偽のほどは定かではないにせよ、本作が臨場感たっぷりに描かれていることは間違いない。

ジェイソン・ステイサム

『トランスポーター』で知られるステイサムは、持ち前の機転と度胸で難局に立ち向かうテリーを好演。大げさなアクションばかりじゃない、いち俳優としての出演に本人も満足している様子。バロウズは誰の味方なのか立場がぐらつくマルティーヌをコケティッシュに、スーシェは紳士的な物腰の裏に残虐性を秘めた裏社会の顔役ヴォーゲルを凄味たっぷりに演じている。

ジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ

ベイカー・ストリートのロイド銀行が舞台となったこの事件。コナン・ドイルの小説『赤毛連盟』でシャーロック・ホームズが解決した事件と手口が酷似しているとのこと。ちなみにホームズはベイカー・ストリートに暮らしていたとされ、実際の事件でも強盗たちは金庫室の壁に「シャーロック・ホームズにこの謎を解明させるがいい」と書き残していたという。英国人らしいというか何というか、その現実離れしたウィットに脱帽。当時のヒット曲であるT-レックスの「ゲット・イット・オン」にのせて展開する、英国史上最大の強盗事件の全貌。とくとご覧あれ!

作品データ

バンク・ジョブ
公開 2008年11月22日公開
シネマライズほかにて全国順次ロードショー
制作年/制作国 2008年 イギリス
上映時間 1:50
配給 ムービーアイ
監督 ロジャー・ドナルドソン
脚本 ディック・クレ メント
イアン・ラ・フレネ
出演 ジェイソン・ステイサム
サフロン・バロウズ
スティーブン・キャンベル・ムーア
ダニエル・メイズ
リチャード・リンターン
デヴィッド・スーシェ
ドン・ギャラガー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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