レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

ディカプリオ×ウィンスレットが再共演
幸せを夢見て結婚した2人の行く末を描く
オスカー監督メンデスによる切ない人間ドラマ

  • 2009/01/16
  • イベント
  • シネマ
レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで©2008 Dreamworks LLC. All rights reserved.

’97年の『タイタニック』以来、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが11年ぶりに再共演。監督は『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞したサム・メンデス、原作は’61年にアメリカの作家リチャード・イエーツが発表した同名の小説。’50年代のアメリカを舞台に、理想と現実のギャップに苦しむ夫婦の諍い、そこから脱却しようとしていく2人の顛末を描く。人々との交流などふとしたはずみに浮き彫りになる、ある夫婦の姿や関係を捉えた人間ドラマである。

’50年代半ばのコネチカット州。もと陸軍兵のフランクと女優を目指していたエイプリルは、2人の子供とともに閑静な住宅街で暮らす幸せそうな夫婦。が、2人でいれば最高の人生が得られると夢見たエイプリルは、いち主婦としての平凡な生活に苛立ち、フランクに辛く当たってしまう。NYの事務機会社に勤務するフランクは、会社員だった父のようになりたくないと思っていたのに、似た人生を歩む自分に少し失望している。そんな時、エイプリルはフランクに、パリに引っ越して新天地で生活を始めることを提案する。

レオナルド・ディカプリオ

先日発表された第66回ゴールデン・グローブ賞で、ウィンスレットがドラマ部門の主演女優賞を受賞し、話題の本作。’50年代の設定でありながら、満たされない焦燥感や夫婦の気持ちのすれ違いなど現代に通じるテーマを描いている。結婚生活をひととおり経験した大人世代により響く内容だろう。

実生活で夫婦であるウィンスレットとメンデス監督は今回が初のコラボレーション。監督は「結婚生活に関する細かい部分が実によく描写されている。厳しさやもろさ、残酷さ、怒りや生々しい感情などが盛り込まれている」と語っている。またウィンスレットとディカプリオは親友同士として知られていて、監督曰く「素の部分を素直にぶつけあえる関係」とのこと。また彼らの相性の良さについて、当人たちもこのようにコメントしている。「僕たちは長い間、友人として付き合いがあるから、主人公たちの言葉では表現できないリアルで強烈なニュアンスも演じきれると思う」(ディカプリオ)、「『タイタニック』での経験を通じて、私たちの間には強い絆が生まれた。互いを気遣い、助けあえる関係なのよ」(ウィンスレット)。気の置けないメンバーにより、家族でありながら他人、他人でありながら家族である夫婦のニュアンスが捉えられている。

ケイト・ウィンスレット

原作者であるアメリカの作家、故リチャード・イエーツは戦時下に軍人を経て、戦後の’61年に本作と同名の処女小説を発表。その時は全米図書賞の候補にあがるも商業的に成功せず、コロンビア大学などの講義や、当時の司法長官ロバート・ケネディのスピーチ・ライターを務める。生前は作家として評価されないまま、アルコール中毒や精神障害などを患って’92年に他界したとのこと。2度の離婚歴があり、娘が3人。’02年の短編集の発売によって再評価され、なかでも本作の原作は最高傑作とされている。

ケイト・ウィンスレット、レオナルド・ディカプリオ

夫婦の契りを結ぶに至った2人にある信頼と安らぎ、だからこそ生じてしまう焦燥と軋轢。さて、筆者は未熟者ゆえ、クラシックなメロドラマのように思えてしまった部分も。そこは20年後にもう一度観てどう感じるか、楽しみにとっておくとしよう。

作品データ

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
公開 2009年1月24日公開
丸の内ピカデリー1ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2008年 アメリカ
上映時間 1:59
配給 パラマウント ピクチャーズ ジャパン
監督 サム・メンデス
脚色 ジャスティン・ヘイス
原作 リチャード・イエーツ
出演 レオナルド・ディカプリオ
ケイト・ウィンスレット
キャシー・ベイツ
マイケル・シャノン
キャスリン・ハーン
デヴィッド・ハーバー
リチャード・イーストン
ゾエ・カザン
ジェイ・O・サンダース
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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