3000人の男たちが仕えるは、女将軍吉宗!
男女逆転の大奥にて秘められし稀有な物語とは?
純愛や友情、嫉妬や愛憎が交錯する人間ドラマ
大奥という特殊な世界で男女が逆転したら――? コミック雑誌『メロディ』で連載中のよしながふみの人気コミック『大奥』を映画化。女将軍に美しい男たち3000人が仕える大奥の内幕を描くフィクションである。出演は二宮和也、柴咲コウ、堀北真希、大倉忠義、中村蒼、玉木宏、和久井映見、阿部サダヲ、佐々木蔵之介ほか人気俳優が多数。監督は『木更津キャッツアイ』『流星の絆』などを手がけたTBSの金子文紀。独特の緊張感や面白味を背景に、純愛や友情、嫉妬や愛憎が交錯する人間ドラマである。
江戸時代、徳川の治世。若い男だけがかかる謎の病の流行により大勢の男たちが死に、男の数は女の4/1に減ってしまう。それからというもの、すべての役職には女が就き、男が体を売るという男女逆転の世となっていった。そんな中、貧乏旗本の長男である水野祐之進は、剣術を磨き男らしくあろうと努めている。水野は幼馴染みの大問屋の娘、お信と互いに心を通わせていたが、身分違いゆえに添い遂げることはあきらめ、お家のためも考えて大奥へとあがる。時を同じくして7代将軍家継が幼くして他界し、8代将軍を吉宗が継ぐことに。水野は大奥の洗礼やしきたりに戸惑いながらも、持ち前の気骨や器量で周囲から徐々に認められてゆく。
はなやかな衣装や美術セット、さまざまな役職で颯爽と闊歩する女たち、きらびやかに着飾り大奥のゆがんだ世界を生きる男たち。男女逆転の設定がユニークな時代劇である。原作は2006年に第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、’09年に第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞、そして今年はジェンダーへの理解を深めることに寄与した作品に贈られるアメリカの2009年度ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞、と名だたる賞を獲得。この映画ではコミック第一巻の吉宗編のみが映像化されている。
水野役の二宮、吉宗役の柴咲はともに時代劇は初挑戦。男気のある水野を演じた二宮は髷(まげ)と裃(かみしも)がよく似合い、理知的で男言葉の吉宗を演じた柴咲は将軍の潔い存在感をキリリと表現。吉宗役を柴咲が演じることは、原作者よしながふみのたっての希望でもあったそう。大奥に仕える野心的な御中臈(おちゅうろう)の松島役は玉木が妖艶に演じ、大奥総取締の藤波役は佐々木がサディスティックに表現。松島を慕う大奥の剣客、鶴岡役は大倉が、水野に憧れる衣装係の垣添役は中村が、御三の間の杉下役は阿部がお笑い抜きで演じ、吉宗の腹心である加納久通役は和久井がおっとりと、水野の幼なじみのお信役は掘北がかわいらしく、それぞれのキャラクターを演じている。また水野の母役に倍賞美津子、父役に竹脇無我とベテラン勢の出演も。
撮影は世界遺産の仁和寺や、二条城などの京都の名所にて。水野が松島に案内される大奥の長廊下は、約800年の歴史をもつ西本願寺の一般公開されていない廊下にて、香道のシーンは聖護院にて撮影されたとのこと。やはり本物の歴史的建造物には説得力がある。また美術セットでは、“大奥映画”史上最大という全長約40メートル、約100畳もの御鈴廊下が登場。美しい衣装をまとった男たち50人がひれ伏し、吉宗を迎える“総触れ”の場面は派手やかだ。孔雀の羽が舞い散る様を写した御鈴廊下の襖(ふすま)や、藤波の部屋にある紫のグラデーションの簾襖、松島の部屋にある蜘蛛の巣を描いた襖など、手描きで丁寧に仕上げられた襖は美術部の手腕の賜物とのこと。そして’07年の世界フラワーアーティスト27人に選ばれた草月流の華道家、横井紅炎が、部屋の雰囲気や調度品、季節感にあわせて花を生ける“華あわせ”を手がけている。また水野が“総触れ”の日のために仕立てさせた衣装は、手縫いの刺繍による流水紋が映える黒の裃。原作で印象的に描かれているこの衣装をはじめ、通常は染め一色のはずの裃にカラフルにパステルトーンの色彩やさまざまな柄を取り入れ、“総触れ”のシーンは男だらけでも重苦しくなく、華やかなヴィジュアルになっている。剣客である水野(二宮)と鶴岡(大倉)、ジャニーズ男子が渡り合う殺陣もなかなか。
金子監督としては、“男女逆転”“時代劇”ということにとらわれず、「大胆かつ斬新な設定に、説得力を与える生身のドラマを撮る」ことをモットーに製作したという本作。ドラマティックで見どころ満載、それでいてさらりと楽しめる。モダンな風合いの時代劇である。
公開 | 2010年10月1日公開 丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2010年 日本 |
上映時間 | 1:56 |
配給 | 松竹 アスミック・エース |
原作 | よしながふみ |
監督 | 金子文紀 |
脚本 | 高橋ナツコ |
出演 | 二宮和也 柴咲コウ 堀北真希 大倉忠義 中村蒼 玉木宏 倍賞美津子 竹脇無我 和久井映見 阿部サダヲ 佐々木蔵之介 |
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