ランゴ

ジョニー・デップ×ゴア・ヴァービンスキー×ILM
一流のスタッフとキャスト、最新技術のパワーが融合
愉快な仲間たちがハジけるアニマル・ウエスタン

  • 2011/10/14
  • イベント
  • シネマ
ランゴ© 2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ジョニー・デップがヒーローとなる最新作は、一流の技術を誇る特殊効果スタジオ、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)が初めて手がける本格的な長編アニメーション。 “声と動き”はデップ、映画『お買物中毒な私!』のアイラ・フィッシャー、映画『リトル・ミス・サンシャイン』で知られる15歳のアビゲイル・ブレスリン、映画や舞台で活躍するイギリスの俳優ビル・ナイ、映画『フリーダ』『スパイダーマン2』の演技派アルフレッド・モリナほか。監督・原案・製作は“パイレーツ・オブ・カリビアン”シリーズの最初の3作品を手がけたゴア・ヴァービンスキー。世間知らずでお調子者のカメレオン、ランゴは、西部劇さながらの不穏な世界でヒーローになれるのか? アルマジロやねずみ、カメやヘビ、ウサギやプレーリードッグなどユニークなキャラクターたちが大活躍。独特のユーモアと活劇で魅せる、ウエスタン・コメディ・アニメーションである。

人に飼われているのんきなペットのカメレオン、ランゴはひょんなことから広大な砂漠で迷子に。鷹に襲われて逃げまどい、通りすがりのカメレオンのマメータと出会う。マメータの荷車で西部の辺境の町ダートにたどり着いたランゴは、まずは酒場へ。よそ者として注目を集めた彼は思わず、TVドラマのヒーローを真似てありもしない武勇伝をぶち上げる。彼を無敵のヒーローと信じた住民たちに促され、ランゴは荒くれ者のバッドビルと決闘することになり……。

“よそ者はすぐ死ぬ”“善人は長生きできない”という殺伐とした西部の町を舞台に展開する、コミカルな冒険活劇。キャラクターたちは動きも表情もデザインも個性的に作りこまれ、時にユーモラスに時にシニカルに生き生きと活躍。リズミカルなラテンのメロディで不吉なことを歌い上げるフクロウのマリアッチ(メキシコ生まれの独特の編成による楽団)が脈絡もなく登場し、映画『地獄の黙示録』で印象的に流れるワーグナーの名曲「ワルキューレの騎行」が戦闘シーンに響き渡るなど、遊び心満載のサウンドがストーリーを盛り上げている。

ランゴ

ILMは“スター・ウォーズ”シリーズの映像製作のためにジョージ・ルーカスが設立した特殊効果スタジオであり、この作品は彼らが初めて手がける本格的なアニメーションの長編映画。ヴァービンスキー監督とILMは“パイレーツ・オブ・カリビアン”シリーズで一緒に仕事をしたものの、ともに初の試みとしてアニメーション映画を作る、というオファーには当初ILMサイドに戸惑いがあったそう。しかしキャラクターや背景のデザインを見たILMは「特別なストーリーになる可能性をもつ作品」とわかり、この映画をともに製作することを快諾したそうだ。 

アニメに声を吹き込む場合、通常は1人ずつか数人がブースに入って録音するスタイルが一般的。しかし本作では西部劇の衣装をまとった俳優たちがステージに集まり、カウンターとスウィングドアのある酒場などが制作され、フルサイズの幌馬車も置くなど現場に大がかりな美術セットを用意。演劇のようなスタイルで集中して“撮影”を進めたとのこと。そこでは俳優たちの声の録音するだけでなく、彼らの演技をHDカメラで録画。その音声と映像にILMのアニメーション・チームがインスパイアされ、ランゴたちキャラクターの表情や表現に俳優たちの動きや微妙なニュアンスを取り入れ、キャラクターたちがどんどん進化していったそうだ。結果として本作は、数々の名作に参加してきたILMの従来の手法や流れを改革させ、新たな領域へと押し上げるきっかけになったとも。視覚効果スーパーバイザーのティム・アレクサンダーは語る。「自分たちのもっている視覚効果技術を直接アニメーションに移行することができた。観客がこの世界の暑さや土埃まで感じられるような、極めて豊かな背景をヴァービンスキーは望んでいた。まるで僕らが実際に灼熱の砂漠の中で撮影したかのようにね。この映画のスケールは僕らがこれまで手がけてきたものをはるかに超えるものだった」。また本作の映像には、1965年のイタリア映画『夕陽のガンマン』をはじめ、マカロニ・ウエスタン作品の有名なビジュアルや構図が随所に盛り込まれていることも話題に。ヴァービンスキー監督は今回の製作について、「今回の映画作りはひとつの劇団を作るようなものだった。並外れた俳優、アーティスト、アニメーターたちがそれぞれの想像力を持ち寄り、一丸となって素晴らしいキャラクターたちに命を吹き込んでいった。ILMの力を借りたこと、そして伝統的なマカロニ・ウエスタンを手がかりとしたことで、まったく新しい種類の映画を作り上げることができた。偉大な西部劇のテーマを称賛しつつ、それをひっくり返して大いに楽しんでいるんだ」と、コメントしている。

ランゴ

デップはカッコつけで憎めないカメレオンのランゴを声と動きでたっぷり表現。これまでに映画『チャーリーとチョコレート工場』や『アリス・イン・ワンダーランド』など独特のキャラクターを演じてきた彼は、今回の手法を大いに楽しんだようで、「キャラクターたちの感情を描き出すために役者を基準点とするというヴァービンスキーのとった方法は、僕が今までやってきたものとはまったく違ったものだった。小道具を使ったり、歩き回ったり、トカゲ頭にカウボーイハットをかぶれたことは、役者として非常にありがたいと同時に愉快な方法だった。いい年をした大人たちが、バカをやれるチャンスだった」と語っている。ランゴが恋するカメレオンのマメータ役はフィッシャーがタフにチャーミングに、こましゃくれた子ねずみのプリシラ役はブレスリンがキュートに、凶悪だが美学のある毒ヘビのジェイク役はビル・ナイが渋く、それぞれの個性で表現。なかでもモリナが演じたアルマジロのロード・キル役は冒頭からインパクトたっぷりに登場し、どこか哲学的で堂々たる存在感でランゴに意味深な暗示を与える様子が、なんとも面白い。

本作の魅力について、ヴァービンスキー監督は語る。「『ランゴ』は自分探しの旅にでたカメレオンと、彼が伝説的存在となってゆく過程を描いた物語だ。ユーモア、ロマンス、感動、そしてたくさんのサプライズが詰め込まれた、スパイシーなピストルのような物語だ。ランゴは、(“ならず者ジャーナリスト”の)ハンター・S・トンプソンと(喜劇俳優の)ドン・ノッツとを合わせたような並外れたキャラクターだ。それをジョニー・デップが演じることでさらに力強い華やかさが加わる。すべてのピストンから弾が発射されているんだ」。おかしな野郎どもの冒険活劇の結末やいかに? 年齢や性別を問わず幅広い層が楽しめる、ウエスタン・アニメである。

作品データ

ランゴ
公開 2011年10月22日公開
丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2011年 アメリカ
上映時間 1:37
配給 パラマウント ピクチャーズ ジャパン
原題 RANGO
監督・原案・製作 ゴア・ヴァービンスキー
脚本 ジョン・ローガン
出演 ジョニー・デップ
アイラ・フィッシャー
アビゲイル・ブレスリン
アルフレッド・モリナ
ビル・ナイ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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