タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

スピルバーグ×ジャクソン、初タッグで初フル3D!
名作ストーリーを充実のスタッフとキャストで映画化
少年記者と愛犬の冒険物語を躍動感いっぱいに描く

  • 2011/11/25
  • イベント
  • シネマ
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密© 2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

2008年の映画『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』から3年ぶり、スティーヴン・スピルバーグが監督を務める最新作。ベルギーの作家エルジェによるコミック小説『タンタンの冒険』をフルデジタル3Dで映画化。声と演技で出演している俳優は’00年の映画『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベル、’11年の映画『猿の惑星: 創世記』ほかモーション・キャプチャーのキャラクターを演じることに定評のあるアンディ・サーキス、6代目ジェームズ・ボンドであるダニエル・クレイグ、’07年の映画『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!』のサイモン・ペッグとニック・フロストほか。プロデューサーはスピルバーグと初タッグとなる、“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズ3部作の監督・脚本・製作を手がけたピーター・ジャクソン。製作総指揮はエルジェ作品の権利元であるムーランサール代表者のニック・ロドウェルほか。少年記者のタンタンと愛犬スノーウィが伝説の船に秘められた謎を追う、さわやかな冒険ストーリーである。

愛犬スノーウィと一緒に街を歩いていたタンタンは、露店で“ユニコーン号”という美しい船の模型を見つけて購入。直後に見知らぬ2人の男から高額で買取りを迫られるが、模型を気に入りミステリーを察知したタンタンはその申し出を断る。ユニコーン号について図書館で調べると、その船は大量の財宝をのせて行方不明となった伝説の軍艦だった。そしてユニコーン号の最後の船長フランシス・ド・アドック卿は、「アドックの真の血を引く者だけが秘密を知る」と言い残して他界したという。その伝説を知った矢先、タンタンが自宅を離れたスキに部屋が荒らされ、船の模型が盗まれてしまう。

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

80年以上も世界中で愛され続けている名作シリーズをスピルバーグ&ジャクソンの初タッグで映画化。今回の物語は、原作シリーズで初の2部作となった1943年の第11作『なぞのユニコーン号』と’44年の第12作『レッド・ラッカムの宝』、そして’41年の第9作『金のはさみのカニ』、という3つの物語をひとつのストーリーにアレンジ。スピルバーグは本作の内容について、「タンタンとハドック船長の間に生まれる友情と忠誠心、ゆるぎない信念を中心に、ミステリーと推理小説、そしてクラシックな冒険が入り混じった壮大なストーリー」と語っている。

独特のリアルな表情をもつキャラクターたちは、最新技術のフルデジタル3Dパフォーマンス・キャプチャーで実現。まずは俳優たちの演技を100台のカメラが装備されたステージで撮影する通常のパフォーマンス・キャプチャーに加え、8つのHDビデオカメラで記録。リアルタイムで仮想映像空間にある俳優たちの演技をスタッフとキャストで確認し、現場での変更や調整、リテイクを。映像としては、俳優たちは毎朝、顔と体用にスキャンを行い、カメラがステージ上の俳優たちを認識して、彼らの動きや演技を取り込みスケルトン・モデルに変換。のちにデジタル処理をしたキャラクターに重ねあわせる、という流れにて。またキャラクターたちの表情をより豊かにするため、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のクリーチャーであるゴラムや、映画『アバター』の原住民ナヴィを作り出した、WETAの開発による“イメージベースド・フェイシャル・パフォーマンス”の技術を採用。これは俳優たちが小型カメラ搭載のヘルメットをかぶって演技をして、繊細な表情を間近でデジタル録画し、キャラクターの表情に生かすことができる技術とのこと。

俳優の演技と最新デジタル技術が融合した本作について、スピルバーグは語る。「この映画に登場するすべての人物には、デジタル処理されたその姿を通して、それぞれを演じる俳優たちによるエモーショナルな渾身の演技がイキイキと見てとれる。エルジェのキャラクターたちが、感情をあらわに魂をさらけ出す生身の人間として生まれ変わる様子を目の当たりにするのは、実に驚くべき体験だったよ」。また本作の製作はスピルバーグとジャクソンの完全な共同作業で進められたそうで、パフォーマンス・キャプチャーのエキスパートであるアンディ・サーキスは2人のコラボレーションについて、「2人が創造性をぶつけ合ってお互いを高めていく姿を見るのは、すごく刺激的だったよ。2人とも映画作りに対する情熱が抑えきれないといった感じで、まるで初めての映画を撮っているかのようなエネルギーに包まれていた。次々とアイディアがあふれ出してきて、目が回るほどだったよ」と語っている。

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

主人公タンタン役はベルがイキイキと表現。好奇心いっぱいにミステリーに向かっていく雰囲気をよくだしている。ユニコーン号の最後の船長であるアドック卿の子孫ハドック船長役のサーキスは、飲んだくれで陽気でやや気が小さいオッサンを情感豊かに。『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム役や’05年の映画『キング・コング』のコング役なども演じたサーキスは、本作でもパフォーマンス・キャプチャーの良さを引き出す能力を存分に発揮している。ユニコーン号の模型を狙う謎の男サッカリン役は、クレイグが自ら「邪悪でひねくれた奇怪な役柄に仕上げた」とコメント。そして双子でも親戚でもないのにそっくりな2人組の刑事デュポン&デュボン役は、ペッグとフロストという絶妙のコメディ・コンビでオフビートの愉快さを添えている。またスリの名人シルク役は、映画“ハリー・ポッター”シリーズの妖精トビー役で知られる俳優トビー・ジョーンズが、原作シリーズの定番キャラクターのひとりという横柄なオペラ歌手ビアンカ・カスタフィオーレ役は、『オペラ座の怪人』で知られる歌姫キム・ステンゲルが演じている。

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

原作は1929年、21歳のベルギー人アーティストのエルジェ(本名ジョルジュ・レミ)が『タンタン、ソビエトへ』を発表した後、それが人気作となって連載に。50数年で24のシリーズ作品を発表して世界で愛され、アンディ・ウォーホルらポップアートのアーティストたちに大きな影響を与えたとも。原作者のエルジェは1983年にシリーズ24作『タンタンとアルファアート』の執筆中に他界し、この作品は未完の遺作に。シリーズ作品はフランス語の原作から50ヶ国80言語に翻訳され、現在までに3億5千万部以上の売上を誇っている。映画化のきっかけは、1983年にスピルバーグが原作者のエルジェに映画化を持ちかけたことから。エルジェは乗り気だったものの実際に会って話を進める前に彼が他界し、故人の意思を汲んだエルジェの妻ファニー・ロドウェル夫人からスピルバーグへ映画化の権利が与えられたそうだ。

スピルバーグとジャクソンの初コラボにして、2人とも初めてとなるフルデジタル3D映画の本作。スピルバーグ監督は、「これは’80年代の『インディ・ジョーンズ』シリーズ、’90年代の『ジュラシック・パーク』シリーズ以来の、私の新しい冒険の始まりだ」とコメント。個人的には、CGキャラクターなのに劇画ばりのリアルすぎる表情がややコワイし、女性のキャラクターが宿のおばさんと歌手しかでてこないため感情移入しにくい面も多々。とはいえ、ファミリー層を取り込む明るく楽しい内容は、日本でもヒットは確実だろう。タンタンの映画シリーズは、本作が3部作の第1弾であり、続編のいずれかでジャクソンが監督を手がける予定とのこと。続編も楽しみである。

作品データ

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
公開 2011年12月1日公開
TOHOシネマズ スカラ座ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2011年 アメリカ・ニュージーランド
上映時間 1:47
配給 東宝東和
原題 THE ADVENTURES OF TINTIN:THE SECRET OF THE UNICORN
監督・プロデューサー スティーヴン・スピルバーグ
プロデューサー ピーター・ジャクソンほか
脚本 スティーヴン・モファット
エドガー・ライト
ジョー・コーニッシュ
原案 エルジェ
出演 ジェイミー・ベル
アンディ・サーキス
ダニエル・クレイグ
サイモン・ペッグ
ニック・フロスト
トビー・ジョーンズ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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