ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

辣腕スパイの活躍を描く人気シリーズ第4弾
激しいアクションに加えてユーモアもさりげなく
オスカー監督B・バードのセンスが効いたアクション大作

  • 2011/12/09
  • イベント
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル© 2011 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

前作から5年、トム・クルーズが辣腕エージェント、イーサン・ハントを演じる人気シリーズ第4弾。共演は2008年の映画『ハート・ロッカー』のジェレミー・レナー、’04年の映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』の共同脚本と主演を務めたサイモン・ペッグ、’09年の映画『プレシャス』のポーラ・パットンほか。監督は’04年の映画『Mr.インクレディブル』、’07年の『レミーのおいしいレストラン』とピクサーのアニメーション作品でオスカーを2回受賞し、実写版を手がけるのは今回が初となるブラッド・バード。トム・クルーズとともにプロデューサーを務めるのは、シリーズ3作目の監督であり今年公開された映画『SUPER8/スーパーエイト』を手がけたJ.J.エイブラムスほか。テロリストの汚名を着せられ、孤立したIMF(インポッシブル・ミッション・フォース: 不可能作戦班)の行方は? 舞台はロシアの中枢クレムリンに始まり、ドバイへ――。次々と立ちはだかる難関に体力と知力、チームの団結力で挑んでいく、スカッとド派手なアクション大作である。

ロシアの中枢クレムリンが爆破され、その容疑がイーサン・ハント率いる米国極秘諜報機関IMFのチームにかけられる。アメリカ大統領は国家としての関与を完全に否定するため、IMFの存在そのものを抹消する“ゴースト・プロトコル”を発令。汚名をきせられたイーサンたちは国や組織のバックアップをなくし、ロシア側に追われる中、爆破テロの黒幕をつきとめて核のテロを防止する、という厳しい任務に。テロ関連の取引がドバイで行われるという情報を得て、イーサンのチームはロシアを出発しドバイへと到着する。

あのテーマ曲で観客を一気に引き込む、期待を裏切らない人気シリーズ第4弾。イーサンは初めて自分で選んだ以外の素性の知れないメンバーを交えて任務につき、最新鋭のいわゆるスパイ・ガジェットは次々と故障。リアルタイムの情報にアクセスすることもできず、自身のスキルと経験で判断し、メンバーを信じてチームワークで乗り切るしかないシーンに遭遇していく。

ジェレミー・レナー、トム・クルーズ

クルーズは今回もすべてのハードなアクション、ケタはずれのスタントを本人が自ら実行。ドバイの世界一高い超高層ビル、地上828メートルの「ブルジュ・ハリファ」で、実際に窓の外に張り付き、忍者さながらに壁を渡るという、プロのスタントも震え上がるほどの動きを演じている。爆風に飛ばされ、電線を滑り降り、砂嵐にまかれ……得意のスタントで次々と大技を繰り出すさまは、まさに独擅場。ザ・スター、トム様ファンにはたまらないシーンが満載だ。彼は語る。「1人のフィルムメーカー、そして役者として、私はいつでも観客のことを考えている。観客を楽しませたいし、毎回新しいアドベンチャーを味わってほしい」。スタント・コーディネーターのグレッグ・シュミルツは、すべて自分でやりたがるクルーズに、「これが君じゃないなんてわかる人はいない。君が自分でやる必要はないよ。スタントにやらせて見ていればいいんだ」と伝えたところ、クルーズが「でも、僕は楽しいからやるんだよ」と答えたそうだ。バード監督も彼の意思に同意して、「トムの考え方に賛成だ。本物がいると、観客もそれを感じとる。俳優の顔が見えるというだけでなく、トムのような人は緊迫感を強める役者だからだ」とコメントしている。

イーサンの新しいチームメンバー、ブラント役のレナーは陰のある分析官をシリアスに、殺し屋に復讐心を抱くジェーン役は、パットンがフレッシュな印象で表現。個人的にとてもグッときたのは、前作に続く出演で、本作で現場のチームメンバーに昇格した天才ハッカー、ベンジー役のペッグの存在。味わいのあるセリフの間合い、ちょっとした目線や動きに含むコミカルな要素、いいヤツだし能力も高いのに間が悪い、というキャラクターの風合いが絶妙だ。バード監督とペッグのコメディセンスがリンクして、スター主演のアクション大作というだけじゃない、ほどよく人間臭いユーモアの風味があり、感情的に共感しやすい面も。クレムリン内で彼の顔がドーンと映る瞬間のプチスリルはたまらない。

ジェレミー・レナー、トム・クルーズ

今回はバード監督の持ち味であるコミカルなノリが随所に仕込まれ、イギリスの人気コメディ俳優ペッグが主要メンバーとして前面にでてきたことから、オフビートな笑いが全篇にちりばめられているところが特徴。超絶アクション満載の劇中でユニークな場面は、“5秒後に消滅する”公衆電話のくだりや、砂嵐のチェイスのシーンなど。どこかローテクで地味な笑いを誘う、M:iシリーズらしからぬニュアンスと思ったら、これはバード監督のアイデアとのこと。ほかにはコンタクトタイプのモニターレンズや、交渉シーンの入れ替わり作戦なども監督の提案だそうで、周囲からは「もしも観客席に座っていたらどんなものをみたいか、まるで映画ファンの立場で考えているようだった」と言われていたそうだ。

ポーラ・パットン、トム・クルーズ

クルーズのライフワークのひとつとして、息の長い作品になるだろうM:iシリーズ。主要メンバーに深みのある魅力と確かな実力を備えた俳優がそろったことで、これからの展開も大いに期待。一流エージェント、イーサンのスタンド・プレイに加え、個性豊かなメンバーたちとのチーム・プレイも鮮やかに。今後もさらなる進化で楽しませてくれそうだ。

作品データ

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
公開 2011年12月16日公開
TOHOシネマズ 日劇ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2011年 アメリカ
上映時間 2:12
配給 パラマウント ピクチャーズ ジャパン
原題 Mission: Impossible - Ghost Protocol
監督 ブラッド・バード
製作 トム・クルーズ
J.J.エイブラムス
ブライアン・バーク
脚本 アンドレ・ネメック
ジョシュ・アッペルバウム
TVシリーズ創作 ブルース・ゲラー
出演 トム・クルーズ
ジェレミー・レナー
サイモン・ペッグ
ポーラ・パットン
ジョシュ・ホロウェイ
ヴィング・レイムス
レア・セドゥー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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