ALWAYS 三丁目の夕日'64

5年ぶりの“三丁目”はリアル3D映像に!
おなじみの面々のさまざまな“巣立ち”を描く
ほのぼのとしたぬくもりを伝えるヒューマンドラマ

  • 2012/01/06
  • イベント
  • シネマ
ALWAYS 三丁目の夕日'64© 2012 「ALWAYS 三丁目の夕日'64」製作委員会

“三丁目”の世界がスクリーンに再び。シリーズ3作目にして、3D/2Dの同時公開。出演は吉岡秀隆、堤 真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、薬師丸ひろ子ほかシリーズでおなじみの俳優陣が再結集し、森山未來、大森南朋など新しいキャストも。製作陣はこれまでのシリーズに引き続き、監督・VFXは山崎 貴、脚本は山崎監督と脚本家の古沢良太とのタッグにて。前作から5年後、東京オリンピックが開催された昭和39年(1964年)を舞台に、三丁目に生きる人々のさまざまな転機を描く。“昭和”をテーマに、ゆったりとした時間の流れる、ほのぼのとした人間ドラマである。

昭和39年、東京はオリンピックの開催を前に、ビルや高速道路の建設ラッシュに。夕日町三丁目では、茶川商店の一角は居酒屋「新やまふじ」に改装され、茶川と結婚したヒロミが切り盛りし、高校生になった淳之介とともに3人で仲良く暮らしている。車修理会社の鈴木オートでは則文とトモエ夫妻、1人息子の一平と、会社で働く六子、新たに従業員となったケンジが加わり、事業も順調だ。茶川は少年誌で連載をしているものの、斬新な新人小説家、緑沼アキラの人気におされ気味。一方、六子は若手医師の菊池に憧れ、毎朝、偶然を装って道で挨拶することを楽しみにしていた。

堀北真希、薬師丸ひろ子、堤真一

六子の恋と茶川の苦悩が、ストーリーの軸となっている本作。1作目の大ヒットの後、続編を作ることにかなり抵抗があったという山崎監督も、3作目になると「そろそろ作りますか」という感覚だったそう。原作は現在も『ビッグコミックオリジナル』に連載中の西岸良平のコミック『三丁目の夕日』。単行本59巻分を含め、関連本の総発行部数が1800万部を超える大ベストセラーだ。原作ではずっと小学生のままの一平や淳之介を、映画では5年後の高校生として描くという大幅な変更も原作者の西岸氏より快諾が得られ、自然な流れで企画がスタートしたそうだ。山崎監督は語る。「シリーズ3作目を作るというのではなく、作る意義のある物にしたかったんです。すごく苦労しましたが、苦労したなりのものができたと思っています」。

三丁目の面々は、おなじみの俳優陣が好演。小説家の茶川役は吉岡がいつもの様子でさりげなく演じているようであるものの、茶川の転機と苦悩を描く物語に臨み、「必死になって演じた」とコメントしている。鈴木オートの則文役は、ザ・昭和のオヤジを堤が例のごとく熱演。件の見せ場に乞うご期待。茶川と結婚して臨月の妊婦となったヒロミは、しっかり者の妻として小雪が、東大受験のために勉強しながらも葛藤を抱える淳之介役は、すっかり成長した須賀が純朴に、則文の妻トモエ役は薬師丸がかわいらしく、恋をする六子は掘北が清純な魅力で、タバコ屋のキンさんはもたいがハイカラでユーモラスに、小児科医の宅間先生役は三浦が落ち着いた様子で誠実に、そして茶川の担当編集者の富岡役は大森が実直に、若手医師の菊地役は森山がどこか読めない雰囲気で、それぞれに演じている。

薬師丸ひろ子、吉岡秀隆、堤真一、小雪、もたいまさこ

今回はシリーズで初めて、3D/2Dの同時公開。ALWAYSの世界を3Dで作ることは、製作サイドにも賛否の議論があったものの、「実際に三丁目の世界に入っていただきたい。団塊の世代の方々が楽しむ最初の3D映画にしたい」という製作陣の思いから、3Dとして製作することが決定。3D映画には通常の映画と同様に2D撮影し、その映像の中から立体化させたい部分のみを擬似的に3D化する作品も多いものの、本作は『アバター』のように3D用のカメラで撮影されたリアル3Dとのこと。製作には2012年6月30日に日本公開予定の映画『アメイジング・スパイダーマン』でも使われた3ALITY TECHNICA社の3Dカメラシステムを採用。新たな試みとして、測量技術の専門家によるセットやロケ地の3次元スキャニングを導入。VFXで加工するシーンの現場すべてをレーザーでスキャニングし、バーチャルで再現。コンピューター上の街並みに実写と同じカメラワークをつけて、実写で撮影した映像を合成する、という手法とのこと。監督は語る。「3Dは面白いですね。“ALWAYS”はタイムマシン的な側面が強い映画で、前2作は過去に行って撮ってきたものを見せている感じでしたが今回は3Dになって、過去と現代をつなぐ扉が開いた気がしました。スクリーンがどこでもドアになって、過去と現代がリアルタイムでつながっている感じがするんです。3D技術は普通だとアクション映画などに使うのですが、今回は昭和の世界に入ってもらう、出かけてもらうためのツールとして使いました。3Dの使い方としては特殊なことをしていると思います。肌感覚で懐かしいと感じるものを表現するのは、そこで長く暮らしていた人じゃないと難しいでしょうから、ハリウッドの人たちには真似ができない、日本ならではの使い方だと思いますね」。

堀北真希、森山未來

ところで、小雪は撮影時に実際に妊娠していたそうで(今まさに臨月)、出産予定日は2012年1月23日と、本作の公開日の2日後とのこと。物語の舞台である1964年は山崎監督、堤、薬師丸、温水洋一の4人が生まれた年でもあるそうで。スタッフやキャストの“縁”が作品とリンクしているかのようで、面白い。「1作目が出会いの物語で、2作目は中間地点だとすると、“3”は巣立ちをテーマにした物語にしたいという思いがありました」と監督が語る本作。巣立った彼らのその後、時代とともに移り変わってゆく三丁目の姿を映すべく、シリーズ4作目に続くのか?世代を問わず王道の人気シリーズとなった“ALWAYS”に、続編を望むアンコールの呼び声が再び響きそうだ。

※小雪さんは、2012年1月5日に男児を出産(1月8日に所属事務所より発表)おめでとうございます!

作品データ

ALWAYS 三丁目の夕日'64
公開 2012年1月21日
全国東宝系にて3D/2D同時公開
制作年/制作国 2011年 日本
上映時間 2:22
配給 東宝
原作 西岸良平
監督・VFX・脚本 山崎 貴
脚本 古沢良太
出演 吉岡秀隆
堤 真一
小雪
堀北真希
もたいまさこ
三浦友和
薬師丸ひろ子
須賀健太
小清水一揮
マギー
温水洋一
神戸浩
蛭子能収
飯田基祐
ピエール瀧
染谷将太
正司照枝
森山未來
大森南朋
高畑淳子
米倉斉加年
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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