ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

音楽と映像のセンス、展開のおもしろさでクリーンヒット!
アクション、コメディ、ロマンスとたのしい要素を詰め込み
70‘Sサウンドで惹きつけるポップなSFエンターテインメント

  • 2014/09/05
  • イベント
  • シネマ
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー©Marvel 2014 All rights reserved.

原作コミックはさほどメジャーではないものの、映画化にあたりオリジナルにアレンジし、8月1日の全米公開から予想を超える大ヒットをマークした話題作。
 出演は2012年の映画『ゼロ・ダーク・サーティ』のクリス・プラット、’09年の『アバター』やリブートした映画『スタートレック』シリーズのゾーイ・サルダナ、プロレスラーで俳優、もとWWEのチャンピオンであるデイヴ・バウティスタ、声の出演で‘13年の『アメリカン・ハッスル』などのブラッドリー・クーパー、映画『ワイルド・スピード』シリーズのヴィン・ディーゼル、映画『シカゴ』のジョン・C・ライリー、『101』などのベテラン女優グレン・クローズ、’03年の映画『21グラム』などの個性的な演技派ベニチオ・デル・トロほか。監督・脚本は、’04年の映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』などの脚本を手がけ、’06年に映画『スリザー』で監督デビューを果たしたジェームズ・ガン。
 子どもの頃に異星人にさらわれてトレジャー・ハンターとなったピーターは、育ての親が率いる盗賊団を出し抜き、謎の球体“オーブ”を手に入れる。が、賞金首となり、暗殺者や賞金稼ぎに次々と襲われ……。なつかしの’70年代サウンドを大音量でとどろかせ、宇宙のアウトローたちが気ままに大暴れ。SF、アクション、コメディ、ロマンスとたのしい要素をたっぷり詰め込みノリよく仕上げた、ポップなエンターテインメント作品である。

地球。シングル・マザーの母が病死したショックで、病院から飛び出した9歳の少年ピーター・クイルは、何者かによって宇宙へとさらわれる。そして20年後、成長したピーターはトレジャー・ハンター“スター・ロード”と名乗り、惑星間を渡り歩いていた。ある日、惑星モラグの廃墟で、育ての親が率いる盗賊団を出し抜き謎の球体“オーブ”を獲得。が、賞金首となり、ザンダー星に降り立つと、腕の立つ女アサシンのガモーラと、奇妙な賞金稼ぎのコンビ、しゃべるアライグマのロケットと、相棒の巨大な樹木型ヒューマノイドのグルートに急襲され応戦。激しい戦闘をしたことからザンダー星の警察によって逮捕される。4人は“銀河一危険な刑務所”に投獄されるが、無法地帯で4人は手を組み、マッチョで狂暴な囚人ドラックスも加わって脱獄。“オーブ”を売りとばして大金を山分け、と合意するも、彼らのもとに“オーブ”を狙う凶悪な追手が迫っていた。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

原作はメジャーではなく、俳優も若手が中心で、監督もさほど有名ではない実力派、という組み合わせで、見せ方のセンスと展開のおもしろさでクリーンヒットを決めた快作。アクションやSFの映像が派手というだけではなく、キャラクターたちが個性的で魅力的、勢いのあるおバカな展開ながら、人間ドラマとしての心情や関わり合いもちゃんと描き、最後まで惹きつけるストーリーとなっている。マーベルコミックが原作のSFアクションというと若い世代向け、というイメージもあるなか、70‘Sサウンドで大人層をとらえ、アライグマやグルートのキモかわいさ、ラブ・ロマンスの流れで女性にもアピールするところが強みかもしれない。個人的には、脱獄の打ち合わせからノリ一発ふうの流れ、ガモーラの宇宙ポッドが攻撃された後のピーターの判断と行動、物語の最後で、ある人物が受け取ったものの中身を知った時のリアクションなどなど、行き当たりばったりながら、経験とカン頼みの大胆なでたとこ勝負、というキャラクターたちの行動にわくわくし、ジェームズ・ガン監督の脚本と演出に魅せられた。

主人公のピーター役は、プラットがタフで明るく能天気に。どんな異星人でもとりあえずいっとく女好きで70‘Sサウンド好き、度胸があり腕っぷしも強い青年として。9歳でシングル・マザーの母親と死別し異星人に誘拐され盗賊に育てられたという奇抜な生い立ちから、肝が太く生命力が強く、実利優先でプライドや沽券に縛られない、というヒーローらしからぬところも面白い。そして女暗殺者として育てられながらも実直なガモーラ役は、サルダナが凛として。『アバター』で青い人だったサルダナは本作では緑色だ。スタイルがいいのでSFやコスプレ系がカッコよくハマり、今回もボディ・タイツがよく似合っている。そして見た目はキュートなアライグマなのに気性と行動は荒っぽいならず者、メカの達人で戦闘も脱獄も場馴れしているロケット役の声はクーパー、その相棒でおとなしく平和的な風貌ながらやるときはやる樹木型ヒューマノイドのグルート役の声はディーゼルと、ユニークな配役となっている。また家族を惨殺した仇敵に復讐を誓う囚人ドラックス役は、バウティスタが空気を読まずに猪突猛進で、ザンダー星の女性指揮官ラエル役はクローズが堂々と、その指揮下にあるノバ軍の軍人ローマン役はC・ライリーが仕事熱心なお父さんとして、宇宙の珍品・名品を収集するコレクター役はデル・トロが変態アーティスト風に、それぞれのキャラクターをくっきりと打ち出している。
 日本語の吹き替え版では声の出演で、ピーター役は意外にも“マーベル・スタジオ作品の劇場用映画では初めて声優をつとめる”というベテランの山寺宏一、アライグマのロケット役はバラエティ番組や司会者として活躍する加藤浩次、台詞がほぼ「私はグルート」の一言しかない樹木型ヒューマノイドのグルート役はドラマや映画で活躍するアクの強い演技派俳優の遠藤憲一が参加している。

クリス・プラット

本作の売りはなんといっても70‘Sサウンドの数々。ピーターが母の形見のウォークマンで、ママが編集した’70年代の名曲カセットをいつも聴きながらなつかしのダンス・ステップをふんでいる、というスタイルは大人世代に親しみがわく。曲は10ccの名曲中の名曲「I’m not in Love」から始まり、ブルー・スウェードのカヴァーで知られる“ウガチャカ”こと「Hooked on a feeling」、そしてエンディングには11歳のマイケル・ジャクソンがハイトーン・ヴォイスで朗々と歌い上げるジャクソン・ファイブの大ヒット曲「I Want You Back」などなど、数々のヒット・サウンドが大音量で流れるのが楽しい。余談ながら、映画の最後の最後、’80年代に日本発で世界的にヒットした“フラワーロック”(音にあわせて鉢植えの花が踊るおもちゃ)ふうの映像はとってもキュートだ。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

“アベンジャーズ・プロジェクト10作目”と謳われながら、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソー、アイアンマンらメインキャラクターたちとのつながり方がほとんど見えてこない本作。アメキャラ系ライターの杉山すぴ豊さん情報によると、デル・トロが本作で演じているコレクターは、「『マイティ・ソー:ダーク・ワールド』のエンド・クレジットの途中に出てきたあの怪人です!こうつながるわけです!」とのこと。‘15年に全米公開予定の「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」にどうつながっていくのかも楽しみだ。またそれとは別に、本作は公開前からすでに続編が確定しているとも。ジェームズ・ガン監督率いる個性的なキャラクターとそれにハマッている俳優たち、常識はずれな面々の寄せ集めチームによる並はずれたストーリーは、次回作も楽しみだ。

作品データ

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
公開 2014年9月13日公開
TOHOシネマズ 日劇ほかにて2D/3D&IMAX®3D全国ロードショー
制作年/制作国 2014年 アメリカ
上映時間 2:01
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題 Guardians of Galaxy
監督・脚本 ジェームズ・ガン
脚本 ニコール・パールマン
出演 クリス・プラット
ゾーイ・サルダナ
デイヴ・バウティスタ
ブラッドリー・クーパー(声)
ヴィン・ディーゼル(声)
ジョン・C・ライリー
グレン・クローズ
ベニチオ・デル・トロ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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