ターミネーター:新起動/ジェニシス

T-800シュワルツェネッガーが12年ぶりにカムバック!
サラと青年と殺人マシンは人類の滅亡を阻止できるのか?
J・キャメロンお墨付きのSFアクション・エンターテインメント

  • 2015/07/03
  • イベント
  • シネマ
タイトル© 2015 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

「I'll be back!」
アーノルド・シュワルツェネッガー=ターミネーターが12年ぶりにスクリーンにカムバック。シュワルツェネッガー+新しいスタッフ&キャストで人気シリーズが“新起動”する。共演は人気TVシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラーク、映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』のジェイソン・クラーク、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』のジェイ・コートニー、映画『G.I.ジョー』シリーズのイ・ビョンホン、映画『セッション』のオスカー俳優J・K・シモンズほか。監督は『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のアラン・テイラーが手がける。
運命の女性サラ・コナーと、未来からやってきた青年カイルとT-800ターミネーターは、人類の滅亡を阻止することができるのか。ジェームズ・キャメロン監督による1984年のシリーズ第1作と1991年の第2作へのオマージュをたっぷりと盛り込み、キャメロン監督からお墨付きを得たSFアクション・エンターテインメントである。

2029年、ロサンゼルス。1997年の“審判の日”に機械軍が放った核ミサイルで30億人もの命が失われて以来、生き残った人間たちと人工知能(AI)による機械軍は激しく対立。“予言者”と呼ばれるジョン・コナー率いる抵抗軍は壮絶な戦いの末、機械軍の中枢部を制圧。が、敗北を悟った機械軍は制圧の直前、ジョンを生む前の若き母サラ・コナーを暗殺しようと時間転送装置でターミネーターを1984年に送りこむ。それを阻止するため、ジョンの右腕である青年カイル・リースは過去への旅を志願し、時間転送装置で1984年へ。想定外の事態を次々と経験したカイルは、当時は“何も知らないか弱いウェイトレス”であるはずのサラ・コナーと対面し、過去が書き換えられタイムラインが変化したことを知る。

「アーノルド、これはファンタスティックだ!100点満点だ!」
本作をいち早く観たキャメロン監督はシュワルツェネッガーに電話して、こう言ったとのこと。
本作を観る前に筆者はいち観客として、「さすがに無理があるのでは…」とうっすら思っていたものの、オリジナルの物語を尊重しながら“過去の書き換え”と現代性を取り入れて練られた予想外の展開に惹きつけられて。
本作の共同脚本・製作総指揮を手がけるレータ・カログリディスは語る。「このシリーズには、タイムトラベルの要素がDNAレベルで組み込まれているの。そのおかげで、パラレルワールドを舞台に新たなタイムラインのストーリーを創造できる可能性がでてきたわ。しかもオリジナルのシリーズと矛盾することなく。これまでのストーリーは存在したままで、描かれた出来事は確かに起こった。その上で、みんなが愛してきたキャラクターを再登場させて、異なる方向に進むことができると確信したの」

アーノルド・シュワルツェネッガー

そもそも今回の“新起動”は、『ターミネーター』シリーズの映画化権を獲得した製作のデヴィッド・エリソンとデイナ・ゴールドバーグが、2012年に共同脚本・製作総指揮のカログリディスに打診したことから始まったとのこと。キャメロンを敬愛するカログリディスは「彼の創造した世界を尊重したい」という理由からその依頼を何度も辞退したものの、粘り強い説得を受けてキャメロン本人に確認をとると、映画化を快諾しアドバイスもしてくれたそうだ。
「キャメロン作品は、現実社会で実際に起きていることをフィクションの設定の中で描いてみせたときに、もっとも力を発揮するのがSFだと教えてくれる」と語るのは、製作総指揮のミーガン・エリソン。彼は本作についてこのように話している。「これはリメイクじゃないし、リブートでもない。ましてや続編でもない。キャメロンが創造した作品をもとにしたリイマジニング、再構築版なんだ。観客がこれまでの作品を知らなくてもまったくOKさ。これは明らかに単独作品だからね。ただシリーズの最初の2作を観ているファンにはすばらしい贈り物が隠されている。ファンも私も子どもの頃から親しんできた主人公たちが、タイムトラベルの性質を利用して異なるタイムラインの世界に旅立ち、まったく新しい方向へと向かうんだ」

未来の世界で量産された殺人マシンでありながら、何者かによって“サラの守護神”としてプログラムされ過去に送り込まれたT-800ターミネーター役は、シュワルツェネッガーが好演。キャメロン監督による1・2作目へのオマージュがふんだんに盛り込まれ、ターミネーターの登場シーンは1作目の映像と台詞を再現。また“若いシュワvs現在のシュワ”という夢の対決も。若いシュワルツェネッガーの顔や体は、1作目公開時のボディを測定して作られた精巧なシリコン製レプリカとCGの組み合わせによって生き生きと蘇っている。シュワルツェネッガー=T-800ターミネーターは、マシンの骨格に人間の皮膚組織をのせているため外見は年をとり、長い時間人間と過ごすことで内面も人間臭く変化してゆく、というところがとても面白く。個人的には、缶コーヒーのCMでトミー・リー・ジョーンズ扮する「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」のユーモアに重なるイメージで、違和感の間合いと味わいをしみじみと楽しんだ。
人類抵抗軍のリーダー、ジョン・コナーの母親であり、機械軍より命を狙われる女性サラ・コナー役はエミリア・クラークが宿命とともにたくましく生きるホットな女性として。将来にリーダーとなる子どもを産むという運命を知ってはいても、義務ではなく恋をしたい、愛する人に生きのびてほしい、という女性らしい感情をさっぱりと表現している。サラの息子で人類抵抗軍のリーダー、ジョン・コナー役は演技派のジェイソン・クラークが底知れない様子で、ジョンの右腕でサラを救うために2029年から1984年へと時空を超えて赴くカイル役はコートニーが熱心な好青年として、未来からの刺客で変幻自在に姿を変える液体金属型T-1000役は、すっかりこの手の役が板についたイ・ビョンホンが冷徹に、初老の刑事オブライエン役はJ・K・シモンズが1984年にターミネーターを目撃して以来、警察署内で長年変わり者扱いを受けてきた古株として演じている。

ロバート・ダウニー・Jr

マシンのT-800が年を取るという今回の設定は、本シリーズの生みの親J・キャメロンのアイデアとのこと。そこからシュワルツェネッガーの再登場が確定し、若いT-800と対決するなどの展開が決まったそうだ。外見や内面が歳を重ねて変化する未来の人型マシンというアイデアと、シュワルツェネッガーが再びターミネーターを演じるということに心を奪われた、と共同脚本・製作総指揮のカログリディスは語る。「CG技術に頼らずに、俳優の年齢に伴う変化を尊重するの。この設定を掘り下げていけば、すごく面白いと思ったわ。本来ハートをもっていないはずのキャラクターが、ドラマの要になるのよ」
キャメロンは本作について、称賛のコメントをこのように寄せている。「今回私は製作には関わっていないが、1人のファンとして何が観られるのか楽しみにしていた。冒頭のシーンには見覚えがあり、1、2作目をリスペクトしたつくりだ。さらに予想外の展開から未知の領域に踏み込み、シリーズに新たな命が吹き込まれたと感じた。まるでルネッサンスだ。私が創造し愛されたキャラクターが帰ってきた。本作は私にとって『ターミネーター』の3作目だ。アーノルドがキャラクターをさらに進化させた。誰もがサラに共感する、サラは強い女性の象徴だ。その反面、優しさものぞかせる。ターミネーターは史上最強の悪役から、2作目で理想の父親像となった。今回は(ある人物名)が一転して敵になる。期待をはるかに超える展開と予想外のどんでん返しだ!ファンは必見の作品だ!」

「ターミネーターというキャラクターを演じることが本当に好きなんだ。戻って来られて嬉しい」と語るシュワルツェネッガー。T-800とサラ・コナーとの“父娘”のような関係や、婿(?)や息子といった家族のドラマが大切な軸のひとつになっている本作について、実生活で娘が2人いるシュワルツェネッガーはこんなふうに語っている。「最初の娘はメキシコで『トータル・リコール』を撮影している時に生まれた。その子も、もう25歳だ。2人の娘の父親になればどうやって子どもたちを守るのかも含めて、いろいろなことを学ぶものさ。その経験が大いに役に立ったと思う」

ターミネーター:新起動/ジェニシス

2003年〜'11年にカリフォルニア州の第38代知事をつとめたシュワルツェネッガーは社会基盤の再建に力を入れ、退任後もNPO“R20気候行動地域”を創設し国と州のクリーンエネルギー事業を推進。'12年には公共政策問題の解決に貢献するため、南カリフォルニア大学(USC)と共同で“USCシュワルツェネッガー国家・外交政策研究所”を設立したとのこと。プライベートではメイドとの浮気と隠し子が'11年に露見し、長年連れ添い4児をもうけた妻マリア・シュライバー(ジョン・F・ケネディ大統領の姪でTVキャスター)といまだに離婚協議中、という状態なのは周知のとおりでありつつも。今月に68歳となるシュワルツェネッガーが伝説的なハマり役で華々しく蘇るのをみていると、「よかったよかった」というほのぼのとした気持ちになったり。
今年は特に本作のほか、『ジュラシック・パーク』『スター・ウォーズ』などの名作関連の新作の公開を控え、ネタ切れで旧作頼みのハリウッド、という向きを知りつつも。名作SFへのオマージュとシニア俳優たちのタフで味わい深い活躍、新しいスタッフ&キャストとのコラボを観るという感覚も、それはそれで楽しければいいのでは、と思ったり。旧作のファンと初めて観る若い世代、世界の映画ファンの反応はいかがなものだろうか。

作品データ

タイトル
公開 2015年7月10日より全国ロードショー
制作年/制作国 2015年 アメリカ
上映時間 2:06
配給 パラマウント ピクチャーズ ジャパン
原題 TERMINATOR:GENISYS
監督 アラン・テイラー
共同脚本・製作総指揮 レータ・カログリディス
トリック・ルシエ
製作 デヴィッド・エリソン.
デイナ・ゴールドバーグ
製作総指揮 ビル・カラッロ
ミーガン・エリソン
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー
エミリア・クラーク
ジェイソン・クラーク
ジェイ・コートニー
マット・スミス
イ・ビョンホン
J・K・シモンズ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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