シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

アイアンマンとキャプテン・アメリカがガチ対決!?
キャラクター陣のアクロバティックなバトルとともに
友情と信念のドラマを描くアクション・エンターテイメント

  • 2016/05/06
  • イベント
  • シネマ
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ© 2016 Marvel.

アイアンマンやキャプテン・アメリカをはじめ、世界平和のために力をあわせて戦ってきたアベンジャーズの面々が決裂し全面対決!? 出演はシリーズ作でおなじみのロバート・ダウニーJr.、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ドン・チードル、ジェレミー・レナー、前作より参加のエリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、そして本作より参加し2018年公開予定の映画『Black Panther』の出演が決定しているチャッドウィック・ボーズマンほか。監督は’14年の映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の監督を務め、’18年、’19年に公開予定のシリーズ次回作『Avengers: Infinity War』PART Ⅰ&Ⅱの監督が決定しているアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が手がける。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』から約1年後、テロなどの脅威から人類の平和を守るアベンジャーズの戦いがアメリカ国内のみならず世界各地に広がる中、その戦いによる甚大な被害が国際的な社会問題となり……。スーパーヒーローたちのアクロバティックなアクション、人々を守るための戦いに犠牲や被害が生じることへの苦悩、さまざまな思惑やアクシデントが絡み合いアベンジャーズをニ分する“禁断の戦い(シビル・ウォー)”を引き起こす顛末を描くアクション・エンターテイメントである。

トム・ホランド

西アフリカ、ナイジェリアの都市ラゴス。キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ、ファルコンことサム・ウィルソンらは、テロ目的で生物化学兵器を強奪したクロスボーンズことブラック・ラムロウの一派を追跡。ラムロウがスティーブを巻き込み自爆するのを阻止しようと、スカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフがとっさにした行為が一般人を巻き込み、多数の死傷者がでてしまう。今後は国連の管理下に置かれると言い渡されたアベンジャーズは、そのことに賛成するアイアンマンことトニー・スタークと、特定の組織に従うことに反発するスティーブが対立。指針が定まらないなか、スティーブの旧友バッキーが悪質なテロ犯として指名手配されたのをきっかけにアベンジャーズのメンバーが決裂し……。

どんどん人数が増えてきたアベンジャーズの友情と対決が見どころの本作。ドラマ性もありつつ人気俳優たちによるキャラクターの派手なアクションや見せ場もたっぷり、エンタメ作として気軽に楽しめる内容だ。とはいえ対決のためだけのストーリーではなく、テロの脅威、洗脳の恐怖、人々の平和を守ろうと尽力していても被害が生じてしまうこと、被害者側と加害者側の双方の苦悩、仲間内での方針の相違と対立、人々との共存を目指して国際機関による管理を受け入れることと有志の意思や機動力を優先することについてなど、キャラクターたちの個性や背景、これまでの物語を生かしながら現代を反映する内容が盛り込まれている。この映画はシビル・ウォー/キャプテン・アメリカに「キャプテン・アメリカ」とあるものの、アイアンマンをはじめとするアベンジャーズの物語であり、「シリーズでもっとも重要な作品」と語るのは、本作の製作を務めるマーベル・スタジオの社長ケヴィン・ファイギ。さらにストーリーについて、このようにコメントしている。「この作品ではアイアンマンがキャプテン・アメリカとともにこの映画のメイン・プレイヤーになっていて、私たち観客にそれぞれの視点から『アベンジャーズはどう活動すべきか?』と投げかけます。同時にこの映画は、スペクタクルが満載ながらとても人間的なストーリーで、これまで私たちが発表したすべての映画のハイライトとも言えます」

チャドウィック・ボーズマン,ポール・ベタニー,ロバート・ダウニーJr.,スカーレット・ヨハンソン,ドン・チードル

キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース役はクリス・エヴァンスがオーソドックスなヒーロー然としながらも事件を起こしたかつての親友をなんとしても庇いたいという人間らしい苦悩を演じている。アイアンマンことトニー・スターク役はロバート・ダウニーJr.が相変わらずキレよく軽妙に。コミカルな間合いがいつもながら小気味よく、「空港で会うなんて偶然だな」というありふれた声がけを緊迫した状況でのんきにしたり、スパイダーマンの絡まった蜘蛛の糸を「これ取って」とポツリといったりする、剛胆な振る舞いやほどよく間抜けた感じがチャーミングだ。国連の管理下となることの賛成派としてトニー側につく元2重スパイのナターシャ役はスカーレット・ヨハンソンが、ウォーマシンことローズ大佐はドン・チードルが、もと人工知能ジャーヴィスであるヴィジョン役はポール・ベタニーが、ブラックパンサーことアフリカの小国ワカンダのティ・チャラ王子役はチャドウィック・ボーズマンが、そして反対派としてスティーブ側につく人工翼を駆使するファルコン役はアンソニー・マッキーが、弓の名手ホークアイ役はジェレミー・レナーが、特殊な念動力や心理操作の能力をもつスカーレット・ウィッチ役はエリザベス・オルセンが、スティーブのかつての親友であり悪の秘密組織ヒドラによって暗殺者に仕立てられたウィンター・ソルジャーことバッキー役はセバスチャン・スタンが、それぞれに演じている。そしてアベンジャーズに支配的に接するロス長官役はウィリアム・ハートが、精神分析医を名乗る謎の男役はダニエル・ブリュールが、もとCIA職員でスティーブのかつての恋人ペギーの姪であるエージェント13ことシャロン役はエミリー・ヴァンキャンプらが脇を固めている。さらにクライマックスの対決のシーンでは、映画『アントマン』より身長1.5cmで戦うヒーロー、アントマン役のポール・ラッド、’17年に公開予定の映画で新生スパイダーマンを演じる若手俳優トム・ホランドの活躍も新鮮だ。

ジェレミー・レナー,エリザベス・オルセン,クリス・エヴァンス,セバスチャン・スタン

12のキャラクターたちが6対6で激しいバトルを繰り広げる、サービス精神盛りだくさんの競演を打ち出す本作。『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』『エイリアンVS. プレデター』といった有名キャラクターの対決ものの映画もいろいろあるなか、本作ほど名物キャラクターたちがそろうのは反則とか節操ないとかそういう向きもあるだろうが、たくさんの観客たちがそれぞれにお気に入りキャラクターの活躍を楽しむこともしやすいだろう。たとえば筆者はシリアスな情感もコメディセンスも冴えているロバート・ダウニーJr.のアイアンマン、やたらと強い女戦士役で全身黒タイツ姿が美しいスカーレット・ヨハンソンのブラック・ウィドウ、赤塗りにマントといった奇異ないでたちでも均整のとれたスタイルと紳士的な口調とエレガントな物腰でなぜか素敵に見えてしまうポール・ベタニーのヴィジョンなどがご贔屓で。ロバート・ダウニーJr.がトニー・スターク役になってから8年、ここまできたらおじいちゃんになってもアイアンマン、という勢いで突っ走ってくれるんじゃないかなと期待している。ルッソ兄弟による監督は‘17年、’18年に公開予定のシリーズ次回作『Avengers: Infinity War』PART Ⅰ&Ⅱでもすでに決まっているとのこと。今後も魅力的な俳優陣によるアベンジャーズの活躍とストーリー展開を楽しみにしている。

作品データ

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
公開 2016年4月29日よりTOHOシネマズスカラ座ほかにて日本先行全国ロードショー
制作年/制作国 2016年 アメリカ
上映時間 2:27
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題 CAPTAIN AMERICA: CIVIL WAR
監督 アンソニー AND ジョー・ルッソ
脚本 クリストファー・マルクス&スティーヴン・マクフィーリー
製作 ケヴィン・ファイギ
出演 クリス・エヴァンス
ロバート・ダウニーJr.
スカーレット・ヨハンソン
セバスチャン・スタン
アンソニー・マッキー
ドン・チードル
ジェレミー・レナー
チャドウィック・ボーズマン
ポール・ベタニー
エリザベス・オルセン
ポール・ラッド
エミリー・ヴァンキャンプ
トム・ホランド
フランク・グリロ
ウィリアム・ハート
ダニエル・ブリュール
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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