ぐうたらでも凄腕の忍び・無門と手厳しい美人妻、
織田軍に侵攻された忍びの国・伊賀の運命やいかに?
史実から着想を得た活劇エンターテインメント
武士v.s.忍者、天正7(1579)年の“第一次天正伊賀の乱”の史実から着想を得た物語を活劇エンターテインメントとして映画化。出演は『映画 怪物くん』以来6年ぶりの映画主演となる大野智、そして石原さとみ、伊勢谷友介、鈴木亮平、國村隼、立川談春、知念侑李、マキタスポーツ、ナレーションは山ア努がつとめる。原作・脚本は『のぼうの城』『村上海賊の娘』の和田竜、監督は『殿、利息でござる!』『予告犯』の中村義洋が手がける。戦国時代、織田信長による天下統一が目前という情勢のなか、織田信長の次男・信雄が信長の命に背いて伊賀への侵攻を画策し……。史実を背景にしたストーリー、うだつが上がらない忍者の夫ともと武家の娘である妻とのラブロマンス、何より新感覚の忍者アクションをカラッと楽しむ、活劇エンターテインメントである。
戦国時代、織田信長の天下統一まであと一息という情勢のなか、独自の威勢を誇る伊賀の国では、忍び同士が鍛錬を兼ねつつも人を人とも思わぬ激しい小競り合いを今日もしている。凄腕の忍びでありながら生来のぐうたらである無門は、女房のお国に頭があがらないながらもそれなりに平穏に暮らしていた。伊賀の隣国・伊勢では信長の次男・信雄が父の命の背き、伊賀の侵攻を画策。無門をはじめとする下忍たちは、伊賀の地侍である有力者たち十二家評定衆から、織田軍を向かえ討つよう指示をされる。
充実のスタッフとキャストたちによる夏休み向けの邦画の娯楽大作のひとつであり、大がかりな美術セット、オリジナルの忍者アクションなどでスクリーン映えする本作。ぐうたらで銭が優先でありながら実は凄腕の主人公というと、やはり夏休み向けの邦画の娯楽大作『銀魂』を思い出す向きも。ただ『忍びの国』はユーモアを含みつつも軸は史実を背景にした人間ドラマであり、『銀魂』はフィクションでありSF風味(?)のお江戸コメディなので、まったくの別物としてそれぞれに楽しめるだろう。2017年05月31日に東京ドームで行われた本作のジャパンプレミア舞台挨拶にて、中村監督は小説の映画化と忍者への思いについてこのように語った。「僕は子どものころから忍者好きだったので、僕の中の忍者映画がつまっています。原作の本を読み終わって、その場ですぐ『映画化したい』と出版社に電話しました。そんな魅力も観てもらえるかなと思います」
ぐうたらながら伊賀衆のなかでも抜きん出て凄腕の無門役は、大野智が持ち前のキャラクターでいい塩梅にハマッていて。無門が一目惚れし、妻として安芸の国からさらってきた武家の娘・お国役は石原さとみが気丈に凛として、伊賀の考え方に疑念を抱く下山平兵衛役は鈴木亮平が、その弟・下山次郎兵衛役は満島真之介が、伊賀の地侍で十二家評定衆のひとりとしては、百地三太夫役に立川談春、音羽の半六役にきたろう、下山兄弟の父・下山甲斐役にでんでんが、そして伊勢のもと国司・北畠具教役は國村隼が、北畠具教のもと家臣で織田軍最強の武将・日置大膳役は伊勢谷友介が、北畠具教の六女と結婚した織田信長の次男・織田信雄役は知念侑李が、北畠具教のもと家臣で織田信雄の家臣となった長野左京亮役はマキタスポーツが、北畠具教の六女で信雄の妻・北畠凛役は平祐奈が、それぞれに演じている。さらにナレーションは山ア努が担当、という贅沢な布陣となっている。
見どころは、さまざまな要素を取り入れてオリジナルに表現している忍者アクション。無門役の大野はジークンドーやカリをベースにした格闘技やエアトリックマットを用いた躍動感ある動きなど、脱力系の言動でユーモアを交えつつキレのあるアクションを披露している。また土の中に身を隠す土遁の術、川に身をひそめる水遁の術などの王道の忍びの術は、アクション部の面々が体を張って表現したとも。さらに、スタントコーディネーターの吉田浩之の「超人的な下忍たちの動きを表現するのにうってつけ」という提案により、壁や地形を生かして走り、跳び、登るエクストリームスポーツ、パルクールも導入。足場の危うさをものともせず、岩や木へ跳躍しパルクーラーたちが野を駆けてゆくさまは、まさに忍者そのもの。忍びたちが城を築き上げていくシーンや森を一斉に駆け抜けるシーンには、役者たちとともに専門のパルクーラーたちが大勢参加し、生身のアクションで見せているのも新鮮だ。
日本忍者協議会の公認であるという本作。これまでの物語に登場する忍者のなかには、主(あるじ)の命は絶対、忠義を尽くす義理堅いイメージもあるが、今回の忍びたちはまったく異なっていて。“虎狼の族”という呼び名のごとくまさに獣同然の人でなし、義理や人情なぞムダで、ゼニがもらえないなら働く気もやる気もゼロ……と伊賀忍者について描く内容でも、公認するという大らかさ。これだけ充実のスタッフとキャストによる大作で描かれるのは素晴らしい、という気持ちはわかるし、それはそれ、ということなのだろう。
この映画で描かれている忍びたちを現代の情報社会にたとえるとすると、情報操作、盗聴・盗撮・ハッキング、個人情報や機密の漏洩などなど報酬次第でなんでもござれ、隠密に動く手練れのハッカーに近い存在といえるかもしれない。本作は基本的には血沸き肉躍るアクション・エンターテインメントであり、メッセージはあえて前面に出していないが、聞きたい人には届くようにちりばめてあるような。どんなに魑魅魍魎の跋扈する世界であるとしても、自分の生き方だけは自分で選ぶことができるのだから、と。
最後に、前述のジャパンプレミア舞台挨拶にて中村監督が観客に笑顔で伝えたシンプルなメッセージを紹介する。「本当におもしろい映画をつくった時の完成披露や初日って、ニヤニヤしてしまうんです。何も考えないで、構えずに、早く映画を観てください。本当におもしろい映画になりました」
劇場公開 | 2017年7月1日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2017年 日本映画 |
上映時間 | 2:05 |
配給 | 東宝 |
監督 | 中村義洋 |
原作・脚本 | 和田 竜 |
音楽 | 久石 譲 |
ナレーション | 山ア 努 |
出演 | 大野 智 石原さとみ 鈴木亮平 知念侑李 マキタスポーツ 平祐奈 満島真之介 でんでん きたろう 立川談春 國村隼 伊勢谷友介 |
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