悪党から足を洗ったグルーは仕事をクビに、
ミニオンたちは家出、そしてグルーに双子の兄弟が!?
人気キャラクターたちの騒動を陽気に描くシリーズ最新作
ミニオンたちがかわいい『怪盗グルー』シリーズの最新作。悪党稼業から足を洗い、極秘組織“反悪党同盟”の特別捜査官ルーシーと結婚した元・最強最悪の怪盗グルー、3人のかわいい娘たち、謎の黄色い生物ミニオンたちの騒動を描く。監督は『ミニオンズ』のピエール・コフィンとカイル・バルダ、プロデューサーはシリーズ全作を担当するイルミネーション・エンターテインメントの最高経営責任者クリス・メレダンドリが手がける。声の出演は『フォックスキャッチャー』のスティーヴ・カレル、2016年の『ゴーストバスターズ』のクリステン・ウィグほかシリーズでおなじみのメンバー、そして新たに『サウスパーク』の原作・脚本・演出などで知られるトレイ・パーカーも。悪党をやめて、“反悪党同盟”の特別捜査官となったグルーは、凶悪な怪盗バルタザールを取り逃がし、組織をクビになる。生き別れになっていた双子の兄弟との再会やミニオンたちの家出など、グルー一家の家庭問題から、新たな怪盗キャラクターとの対決、歌って踊るミニオンたちのミュージカルなど、’80年代サウンドにのせてポップに描く、夏休み向けのエンターテインメント作品である。
世界最大のダイアモンドを輸送中の船に怪しい人影を発見。極秘組織“反悪党同盟”の特別捜査官となったグルーと、相棒の妻ルーシーが現場に急行すると、もと天才子役であり1980年代スタイルで有名な悪党バルタザール・ブラットがダイヤを盗み出そうとしていた。グルーはダイヤをなんとか回収するもバルタザールを取り逃がしたことから、ルーシーともども組織をクビに。無職になった両親と家計を3人の娘たちが心配するなか、悪党をやめて家庭に落ち着いて暮らすグルーに反発したミニオンたちは新しいボスを求めて家出、さらにグルーに生き別れとなった双子の兄弟がいると発覚し……。
人気キャラクター、ミニオンとグルーたちの騒動を陽気に描くシリーズ最新作。今回は濃い目の新キャラクター、悪党バルタザールが愛する1980年代テイストが満載で、大人にとっては懐かしく、誇張した表現が笑える内容となっている。バルタザールはマイケル・ジャクソンの『BAD』をBGMにムーンウォーク風のステップで現れ、バブルガム弾やルービックキューブ型の武器で奇襲、肩パッド入りの紫のコスチュームとブレイクダンスの動きで戦い、破壊的な武器「キーター(ギター+キーボード)」でヴァン・ヘイレンの「JUMP」のかの有名なフレーズを奏でて攻撃するという可笑しさだ。バルタザールの声を担当しているトレイ・パーカーもかなり面白いものの、日本語版では、洋画アニメーション作品とハリウッド映画の声の出演は初となる松山ケンイチが吹き替えを担当するので、こちらも楽しみだ。
声の出演はおなじみの俳優プラス、新しいメンバーが生き生きと。悪党から足を洗い、取り締まる側となったグルー役はスティーヴ・カレルが、もと悪党らしいふるまいは残しつつも新米の夫やパパや捜査官として、不器用ながらも熱心に。養豚場や豪邸などの資産を父から継いだ双子の兄弟ドルー役は、やはりカレルがドルーとは反対の天真爛漫なボンボンらしく表現している。グルーの妻で極秘組織“反悪党同盟”の特別捜査官ルーシー役はクリステン・ウィグが、慣れないながらも孤児の3姉妹マーゴ、イディス、アグネスの保護者として母として奮闘する様子を懸命に。キャラクターとしてはさらに、“反悪党同盟”の新たなリーダーとなるヴァレリー、ドルーの執事フリッツ、悪党バルタザールの相棒ロボットであるクライヴ、あと1シーンながらパリの美術館にダイアモンドの鑑定にやってくるフランスの宝石鑑定士のビジュアルが、明らかにアメリカのあの有名人をふくらませた外見で、かすかな風刺が可笑しい。
日本語吹き替え版では笑福亭鶴瓶、芦田愛菜、中島美嘉、山寺宏一がシリーズで継続し、いとうあさこ、宮野真守、福山潤、そして前述の松山ケンイチが声の出演を新たにつとめる。
いつもながら冴えているオリジナル曲は、’60年代サウンドがテーマだった3作目『ミニオンズ』を除いて、それ以外のシリーズ作品の音楽を1作目からずっと手がけているグラミー賞11冠のアーティスト、ファレル・ウィリアムスが担当。2017年7月19日発売のサントラ国内盤には、ハウスやテクノ風味が隠し味のポップス「Yellow Light」、あたたかくぬくもりのあるメロディの「There’s Something Special」などファレルによる映画オリジナルの新曲5曲、劇中でやさぐれミニオンたちのシーンにハマッている、2015年に配信のみで発表されたファレルの曲「Freedom」、ミニオンたちがステージで大合唱する「Papa Mama Loca Pipa」、’80年代のヒット曲であるマドンナの「Into the Groove」やa-haの「Take on Me」など16曲を収録。劇中ではオリビア・ニュートン=ジョンの『PHYSICAL』ほか、’80年代ヒット曲の有名なフレーズだけが印象的に流れるのもいろいろ楽しい。
仕事はクビになり無収入、有用な資産があるわけでもなく頭はツルツルのグルー、父から継いだ資産で悠々と豪邸暮らし、頭は金髪がフサフサのドルー、双子の兄弟なのにこうも違うとグルーは少々落ち込み、悪党のころのほうがよかったとミニオンたちに反発され、妻ルーシーは努力しているものの3人の娘のママとしてこれでいいのかつかみきれずにいて。ミニオンたちのリーダー的存在であるメルは、悪党をやめたグルーが守りに入ったようで格好悪くて嫌だと一度は思ったものの、長年の付き合いであるグルーとの結びつきに思いをはせて、もと天才子役の悪党バルタザールは、思春期に番組が打ち切りとなったことでハリウッドの製作スタジオや視聴者を恨み復讐を決意した、どこか憎めない粘着質の中2病、と。キモかわいい謎の生物とヒネているけどキレのいいおっさんという、少々ダーティでキュートなキャラクターものというだけでなく、このシリーズの特徴である人間らしい感情のドラマが今回もわかりやすくあって。ミュージカルあり家族のドラマあり、今の気分のビジュアルやストーリーがさくっと楽しめるところなど、製作陣のやり手感がミエミエでも、ミニオンたちだと許されてしまうような。最後に、現地時間の2017年6月24日にアメリカのロサンゼルスで行われたワールドプレミアにて、唯一のインターナショナルキャストとして参加した松山ケンイチが本作の魅力について語ったコメントをご紹介する。「『怪盗グルー』シリーズは、シブリの『紅の豚』に出てくる空賊たちみたいに、悪役たちでさえもポジティブに楽しんでいる姿が描かれているところがとても好きです。そのような作品は誰からも愛されるんだなと、この作品に参加して改めて感じました」
劇場公開 | 2017年7月21日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2017年 アメリカ映画 |
上映時間 | 1:30 |
配給 | 東宝東和 |
原題 | Despicable me 3 |
監督 | ピエール・コフィン カイル・バルダ |
プロデューサー | クリス・メレダンドリ |
声の出演(字幕版) | スティーヴ・カレル クリステン・ウィグ トレイ・パーカー |
声の出演(吹替版) | 笑福亭鶴瓶 松山ケンイチ 中島美嘉 芦田愛菜 須藤祐実 矢島晶子 いとうあさこ 山寺宏一 宮野真守 福山潤 LiSA |
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