インクレディブル・ファミリー

ディズニー/ピクサーのヒット作の続編が完成!
スーパーヒーロー復活のオファーが、あの一家の両親に?
ママの活躍、パパのイクメンぶりも楽しいエンタメ作

  • 2018/07/17
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インクレディブル・ファミリー©2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ディズニー/ピクサー長編アニメーションの第20作目にして、第77回アカデミー賞にて長編アニメーション映画賞と音響編集賞の2部門を受賞した2004年の『Mr.インクレディブル』の最新作。声の出演は前作から引き続き、クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、サミュエル・L・ジャクソンほか。監督は前作の『Mr.インクレディブル』、そして2011年の映画『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』といった実写アクションの大作も手がけるブラッド・バード。悪と戦い、人々を守ってきたヒーローたちは、驚異的すぎるパワーにより活動を禁じられている。しかしかつてヒーロー界のスターだったボブと妻ヘレンのもとに、復活をかけたミッションが舞い込み……。痛快なヒーロー・アクションというのみならず、妻の活躍、夫の家事・育児、反抗期や思春期の子どもたちの思い、赤ちゃんの予想を超える成長といった現代の家族のストーリーが展開。ミッドセンチュリー(20世紀半ば)のレトロなイメージのキャラクターや住居のデザイン、音楽やファッションとともに、ヒーロー家族の活躍と舞台裏を歯切れよくコミカルに描く、エンターテインメント作品である。

インクレディブル・ファミリー

悪と戦い、人々を守るヒーローたち。だが超人的パワーが、人々の生活にダメージを与えてしまうこともあり、今やヒーローたちは活動を禁じられ、能力を隠して生活している。かつてのヒーロー界のスター、Mr.インクレディブルこと怪力パパ・ボブの一家もそうだった。ゴムのように伸縮自在のボディを誇るイラスティガールこと妻のヘレン、身体を透明にし、鉄壁のバリアを張ることができる長女のヴァイオレット、ハイスピードで走ることのできる長男ダッシュ、そして能力未知数の赤ちゃんのジャック・ジャック。そんななか、ヒーロー活動を支持するという事業家から、ボブとヘレンにヒーロー復活を目指すミッションが舞い込む。

前作のすぐあとの世界を舞台に、14年ぶりというブランクを感じさせない楽しさ満載のストーリーで、すでに本国アメリカで予想を超える大ヒットとなっている本作。妻が以前のポジションに返り咲き、夫が慣れない家事と子育てを担ってイクメンに、と現代的なエピソードとともにスーパーヒーローの活躍をユニークに描く。第1作から14年たって続編が完成したことについて、バード監督は、これほどの時間をかけたのは意図的ではなかったとのこと。そして今回の物語の創作について、このように語っている。「最高のリサーチは、家族をもち、僕の妻や息子たち、家族のなかにいること、それがリサーチの90%だった。子どもの頃は“めんどくさい弟”として生活し、母を見ては「どうやって毎日家族を仕切っているんだろう」と思い、今は自分の子どもをもち、妻とぶつかり、自分が間違っていたと認めている。だからこの映画は僕にとってすごくパーソナルなんだ。自分の家族にまつわるものだからね。みんなの家族にとってもそうだよ。この映画にはとてもたくさんの人が関わっていて、みんなの経験が活かされている。僕が始めた企画かもしれないけど僕だけじゃなく、みんなが自分のいろいろな人生経験を持ち込んでくれたんだ」

インクレディブル・ファミリー

Mr.インクレディブルこと怪力パパのボブ(声:クレイグ・T・ネルソン)は、とんでもない怪力でさまざまな衝撃に耐えうる強いボディであっても、泣き叫ぶ赤ちゃんや10代の子どもたちの世話では右往左往するばかり、というところがユーモラスだ。イラスティガールことゴム人間のママ・ヘレン(声:ホリー・ハンター)は、伸縮自在のゴムのようなボディを生かし、スーパーパワーに女性らしい機転をきかせて大活躍。鉄壁のバリアを張り体を透明にできる長女のヴァイオレット(声:サラ・ヴォーウェル)は恋の悩みに一喜一憂し、時速300qの超高速で走ることができる弟で長男のダッシュ(声:ハック・ミルナー)は数学の宿題に頭をひねり、末っ子のジャック・ジャックはとんでもないスーパーパワーに目覚めてゆく。氷を自在に操るヒーロー仲間のフロゾン(声:サミュエル・L・ジャクソン)は、イクメン初心者のボブのサポートも。そして一家のヒーロースーツ制作を担うカリスマ・デザイナー、おかっぱ頭のエドナ・モードは今回もいい味わいで。エドナの声は、前作に引き続きバード監督が担当しているのも面白い。また日本語吹き替え版では、前作に引き続き三浦友和、黒木瞳、綾瀬はるか、田延彦、そして新たに山崎智史、小島瑠璃子、サンシャイン池崎が声の出演をしている。
 本作はキャラクター同士の関係やエピソードのなかでさまざまに、人間性についての本質的な面白さがあるのが特徴。本作におけるキャラクターの魅力、この物語への愛着について監督は語る。「ヘレンのパワーはユニークな方向からアプローチできるから、アクションも楽しかったね。それと“ヒーロー復活”に自分が第一に指名されなかったことで、ボブが自尊心をやや失う部分も好き。彼は、これまでの人生でそんな状況に直面したことがなかったんだよ。僕はそのシーンを書いていて、思わずくすくすと笑ってしまった。男というのは、自分が一番その仕事をうまくこなせると思っているものだ。そこにはある意味、可笑しさがある。そこを突いてみるのは、面白い。男は道を聞くのだって嫌がるんだよ。それは大昔からある、原始的な性質なんだ。男は『実はどうすればいいかわからないんだろう』と思われるのが、大嫌い。それがあまりにもDNAに深く根ざしているから、コメディで扱うのに最高なのさ。とにかく僕にとっては、すべてのキャラクターが喜びを与えてくれた。こんなに楽しい思いをさせてもらったことは、これまでにない。僕はこれまでに6作しか映画を作っていないが、そのなかで一番楽しかったのは、『Mr.インクレディブル』1作目だった。そこにまた戻っていけたのは、すごく楽しいことだったよ」

本作の監督・脚本を手がけたブラッド・バードは、1957年にアメリカのモンタナ州で生まれ、11歳頃からアニメーション作品を制作、14歳でウォルト・ディズニー・スタジオに注目され“アニメ界の神童”と謳われた人物。カリフォルニア芸術大学で学びディズニーに入社し、1981年の『きつねと猟犬』にアニメーターとして携わった後に退職。1989〜1998年の「ザ・シンプソンズ」などTVの世界で活躍後、アニー賞9部門を受賞した1999年の映画『アイアン・ジャイアント』で監督デビュー。旧友ジョン・ラセターの誘いで監督・脚本を手がけた『Mr.インクレディブル』、2007年の『レミーのおいしいレストラン』がアカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞。その後、『カールじいさんの空飛ぶ家』、『トイ・ストーリー3』、『インサイド・ヘッド』などのクリエイティブ面に携わる。また『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』、『トゥモローランド』など実写作品も手がけている。
 2004年の前作の頃と比べると、ヒーロー映画が大量に製作されている近ごろ。いわゆるヒーロー映画との違いや“インクレディブル”独自の魅力について、バード監督はこのように語っている。「これは家族の映画なんだ。男、女、子どもという、家族における典型的な役割の延長線上に、スーパーパワーの要素がある。パパはいつも強くあるべきで、ママはいろんなことをやらなきゃいけなくてあちこちに手を伸ばし、ティーンエイジャーは自分に自信がないから隠れることができるし、10歳の子はエネルギーにあふれていて、赤ちゃんは未知数でわからない存在。僕らはみんな子どもだった時期があるし、ティーンエイジャーだった時期がある。子どもがいる人は赤ちゃんの世話をしたことがあって、それはとても大変で、ティーンエイジャーの扱いは別の意味で大変だ。人生の特定の段階を反映していることが、僕らのアプローチのユニークなところ。この映画の成功は、誰もが最低でも2人のキャラクターに共感できるからだと思うよ」

インクレディブル・ファミリー

またミッドセンチュリーのレトロな世界観に基づくキャラクターや住居のデザイン、音楽やファッションなどが魅力的なのも本作の特徴。キャラクター・デザインは人間のディテールをリアルに描くのではなく、ミッドセンチュリー当時のイラストやアニメを意識し、3Dにする前のデザイン画のスケッチにあるシンプルな雰囲気を実現。また物語の途中からボブたち一家が暮らす家は、フランク・ロイド・ライトの建築や、砂漠リゾートの街パームスプリングスの家々を参考に。日本人とドイツ人のミックスであるデザイナー、エドナのファッションは、日本人デザイナーの川久保玲、石岡瑛子、阿部千登勢のファッションから着想を得たとも。

この映画のテーマには、男女の役割を取り替えることやそれぞれの在り方、子育てといったいくつかのことがあるとのこと。ただそういったテーマ性よりも、映画作りで常にとても大切にしていることについて、映画への思いとともに、バード監督はこのように語っている。「映画は感情的な媒体だ。言ってみれば、夢の言語。知的さは、それほどない。知的な映画を作ることはできるけれども、全体的に言って、映画は夢の言語だ。この映画にも感動の瞬間はちらほらとあるけれど、人を泣かせるものだとは思わない。後になってなんとなく考えてしまった、ということになったら嬉しいけれど、何よりも一番の目標は、人々を思い切り楽しませること。それが今作のねらいだよ。僕が望んでいるのは、観客がポップコーンをほおばりながら、本当に楽しい時を過ごしてくれることなんだ」

作品データ

劇場公開 2018年8月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2018年 アメリカ
上映時間 1:58
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 INCREDIBLES 2
脚本・監督 ブラッド・バード
製作総指揮 ジョン・ラセター
オリジナルスコア マイケル・ジアッキーノ
声の出演 クレイグ・T・ネルソン
ホリー・ハンター
サラ・ヴォーウェル
ハック・ミルナー
サミュエル・L・ジャクソン
ブラッド・バード
ソフィア・ブッシュ
日本語吹き替え版の声の出演 三浦友和
黒木瞳
綾瀬はるか
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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