マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー

人気のABBAミュージカル映画、10年ぶりの続編
ソフィが妊娠、母が3人のパパと恋をした青春時代を描く
魅力的な歌とダンスに、ポジティブな気分が広がる

  • 2018/08/14
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マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー© 2018 Universal Pictures. All rights reserved.

前作のメンバーが全員集結し、2008年に世界的に大ヒットしたミュージカル映画の続編が完成。出演はオスカー女優のメリル・ストリープ、映画『レ・ミゼラブル』のアマンダ・セイフライド、5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナン、『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、『アベンジャーズ』シリーズのステラン・スカルスガルド、『ハリー・ポッター』シリーズのジュリー・ウォルターズ、『シカゴ』のクリスティーン・バランスキー、『リンカーン/秘密の書』のドミニク・クーパー、そして本作より『シンデレラ』『ベイビー・ドライバー』のリリー・ジェームズ、『戦火の馬』のジェレミー・アーヴァイン、シンガーであり女優である『バーレスク』のシェール、豪華なメンバーが顔をそろえる。監督・脚本は映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』とその続編の脚本を手がけたオル・パーカー、ストーリー原案は『ラブ・アクチュアリー』の監督・脚本で知られるリチャード・カーティス、製作総指揮にはトム・ハンクス、ABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが名を連ねる。母ドナとの夢だったホテルをギリシャのカロカイリ島に完成させたソフィは、オープンの準備を進めるなか、自身の妊娠が発覚。母ドナが自分を身ごもったころの話を知る。母と娘のつながりを軸に描きつつ、前作同様ABBAのヒット曲とともに人気俳優たちが歌い踊り、明るくハッピーな気分を届ける、カラフルなミュージカル映画である。

アマンダ・セイフライド,メリル・ストリープ

エーゲ海に浮かぶギリシャのカロカイリ島。母ドナとの夢だったホテルを完成させたソフィはオープニングパーティの準備を進めている。そんな折、ニューヨークでホテルビジネスを学び、そこで働かないかと誘われたという夫のスカイと、気持ちのすれ違いを感じていた。そうした時にソフィは自身の妊娠を知り、若い頃に自分を身ごもって1人で産んだ母ドナの気持ちに思いをはせる。
 1979年、ドナはオックスフォード大学で女性初の総代となり卒業し、“自分を見つけるため”の旅へ。まずパリに着いたドナは、宿泊先のホテルで父親の経営する銀行を継ぐというハリーと出会う。さらに当時は“世界の果て”と言われていたギリシャのカロカイリ島を目指すなか、ヨットで旅をしていたビルが島まで送ってくれ、島に着いたドナは突然の嵐のなか建築家のサムと出会う。

前作でのソフィの結婚から数年後、念願のホテルの開業、妊娠の発覚に始まり、母ドナの青春時代、3人のパパたちとの出会いを描く。前作同様、人気俳優たちが美しい島を舞台にABBAのヒット曲を歌い踊り、気持ちを明るく盛り上げるポップなミュージカルとして楽しめる仕上がりだ。「Mamma Mia」「Dancing Queen 」「Super Trouper」など前作でも使われた曲は、シーンや歌うメンバー、アレンジが変わり違った印象になり、本作で新たに登場する「I Wonder (Departure)」「When I Kissed The Teacher」「Fernando」などの曲もたっぷりと楽しめる。本作で歌詞の提供と製作総指揮を務めているABBAメンバーのひとり、ベニー・アンダーソンは語る。「1作目の映画がとてつもない成功をおさめたので、もう一度うまくいくかどうかはわからなかった。キャストが全員またそろったことは素晴らしかったし、安心した。それにまたスタジオにこもって、かつてのバンドの仲間たちと1作目の映画には入らなかった曲のレコーディングができたことは最高だったよ」
 パーカー監督は映画製作へのABBAメンバーの協力について感謝とともに語る。「ベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースは優しく包み込む代父母のようなものだ。ふたりは素晴らしい。最初からずっと協力的で寛大だった。ふたりの注釈は完全かつ正確で、音楽的にも詩的にも大いに私を助けてくれた」

クリスティーン・バランスキー,アマンダ・セイフライド,ジュリー・ウォルターズ

ホテルの開業と妊娠の発覚が重なり戸惑うソフィ役は、アマンダが前作よりも成長し大人になった女性として、シングル・マザーとしてソフィを育てた母ドナ役はメリルが見守る存在として、3人のパパのひとりサム役はピアースがやさしい父親として、作家として成功したビル役はステランが陽気に、事業で成功しているハリー役はコリンが紳士的に、ドナの親友ロージー役はジュリー・ウォルターズ、ターニャ役はクリスティーン・バランスキーが、ソフィの恋人スカイ役にドミニク・クーパーが演じている。そして1979年の若き日のメンバーとして、ドナ役はリリーが溌溂と、建築家のサム役はジェレミーが、ヨットで旅する自由人ビル役はジョシュ・ディランが、父の銀行を継ぐハリー役はヒュー・スキナーが、ロージー役をアレクサ・デイビーズが、ターニャ役はジェシカ・キーナン・ウィンが演じている。また現代のドナの母にしてソフィの祖母、歌手のルビー役は、実際にシンガーであり女優であるシェールが、ソフィのホテルの支配人セニョール・シエンフエゴス役としてアンディ・ガルシアと、ベテランの活躍も味わい深い。さらにビョルン・ウルヴァースはドナとダイナモスが卒業式で「When I Kissed The Teacher」を歌うシーンで、ベニー・アンダーソンはパリのカフェでハリーとドナが「Waterloo」を歌うシーンで登場し、ABBAメンバーのカメオ出演も。

見どころはやはりABBAの曲とともに展開するミュージカル・シークエンスの数々。振付は舞台版と映画版第1作を手がけたアンソニー・ヴァン・ラーストが本作も担当している。オックスフォードの卒業式でドナ&ダイナモスが歌う「When I Kissed The Teacher」、パリのカフェ・ボナパルトでハリーとドナが陽気に歌い踊る「Waterloo」、ドナとビルがヨットの上で歌う「Why Did It Have To Be Me?」、船で到着した人たちを迎えに島のみんなが丘からスキップで駆け下り、メインキャストが集合し約300人のダンサーと一緒に歌う「Dancing Queen」、そしてラストには、若い時代と大人時代のキャラクターが全員集合して一緒に歌い踊る「Super Trouper」などなど、たくさんの曲で楽しめる。場所やシチュエーションを生かしたダイナミックでユニークな振付、製作に参加しているABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースがストーリーに合わせて大幅に調整した歌詞、俳優陣の豊かな表現力により生き生きとした仕上がりだ。メリルやアマンダ、ダイナモスの歌が魅力的なのはもちろん、個人的には本作で新たに登場した若き日のドナ役、リリーの歌にもとても惹きつけられるものが。彼女の歌はメリルもパーカー監督も賞賛し、ABBAのウルヴァースもリリーについてこのように称えている。「歌詞を書く者として、歌のなかで自然に物語を語れる彼女のような人はめったにいないので、最高に幸せだ。自分たちの歌を歌う彼女の表現は聞いていて本当に心地いいんだ」
 そしてやはり、72歳のシェールの存在感たるや。独特の太い歌声に好みは分かれると思うが、「Fernando」「Super Trouper」でスター然とした堂々たる迫力で場の全体を抱きしめるようにつかむ感じが、観る前から期待していた以上で、個人的にその鮮やかさに爽快感を感じた。シェール本人はもともと舞台版のファンだったそうで、パーカー監督は「Fernando」のシーンはシェールにあて書きをしていて、ほかのキャスティングは考えていなかったとも。
 またミュージカルと映画の成功の流れがあるなか、2018年4月には、ABBAが1982年の活動停止から35年ぶりに再結成を宣言。新曲「I Still Have Faith in You」、「Don’t Shut me down」2曲が完成し、2019年にはツアーも予定。ただ離婚した2組のもと夫婦ということもあるのか、実際にアグネッタ、ビョルン、ベニー、フリーダのメンバー4人が一緒にツアーをするのではなく、1979年の頃のメンバーをもとにしたアバターによるコンサートになるそうだ。

リリー・ジェームズ

本作で楽しいのは、若い世代からシニアまで、幅広い層の人たちがオープンに愛を語らい、元気に歌い踊り、結末は大団円に、というシンプルさ。パーカー監督は本作への思いについて語る。「私たちはこの映画を最初に愛してくれた人々と新しい観客の方々の双方にアピールできる新しい物語にできたらと思っている。ここにはゴージャスなキャスト、素晴らしい歌の数々、そして私がこの作品につぎ込んだすべてのこと――音楽、笑い、喜び、幸せ、そして太陽の輝きがあるんだ」
 そしてこの映画の魅力について、メリルは語る。「とにかく私が初めてみたときに感じた、意気揚々とした気分を味わってほしいわ。そして幸せな気持ちで劇場を後にしてほしい。幸せが伝播するって、今のこの世の中ではとても稀有なことで、私たちが喜びを伝えることができたらと。そのために私たちは集まったの」
 リリーは撮影時に感じた気持ち、このミュージカル映画の特徴についてこのように語っている。「本作の撮影は、恋をしてこの上なくハッピーだった若いころ、魔法にかかったような夏休みのワクワクした感じに少し似ていたわ。これ以上ないほど幸せな世界で、共演者たちもみな同じように、魅力あふれるあの島を離れたくないと感じていた。映画をみたら、きっと同じ気持ちになると思う。知らず知らずのうちにこの歓喜のなかに引き込まれていくと思うわ」

作品データ

マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー
劇場公開 2018年8月24日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2018年 アメリカ
上映時間 1:54
配給 東宝東和
原題 MAMMA MIA! HERE WE GO AGAIN
監督・脚本・原案 オル・パーカー
原案 キャサリン・ジョンソン
リチャード・カーティス
製作総指揮 ベニー・アンダーソン
ビョルン・ウルヴァース
トム・ハンクスほか
出演 メリル・ストリープ
ピアース・ブロスナン
コリン・ファース
ステラン・スカルスガルド
ジュリー・ウォルターズ
ドミニク・クーパー
アマンダ・セイフライド
クリスティーン・バランスキー
リリー・ジェームズ
ジョシュ・ディラン
ヒュー・スキナー
ジェレミー・アーヴァイン
アレクサ・デイビーズ
ジェシカ・キーナン・ウィン
アンディ・ガルシア
シェール
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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