人類初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号の船長
ニール・アームストロングの実話をもとに
悲願の実現に至る、家族や仲間との逸話を描く
1969年、月面に初めて降り立ったアメリカの宇宙飛行士ニール・アームストロングの実話をもとに描く作品。出演は『ラ・ラ・ランド』『ブレードランナー 2049』のライアン・ゴズリング、『蜘蛛の巣を払う女』のクレア・フォイ、『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェイソン・クラーク、『アルゴ』のカイル・チャンドラーほか。監督・製作はオスカーを受賞した『セッション』『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル、脚本・製作総指揮はジョシュ・シンガーが手がける。宇宙航行の技術が未熟だった時代に、非常に大きなリスクがあると知りながらもあきらめずに偉業を成し遂げた、ニール本人の強靭な意志と精神力、彼を支えた家族や仲間たちとの知られざる逸話を伝える。こだわりの映像と音響により、宇宙を航行する当時の船内の感覚をリアルに表現。臨場感ある映像と音とともに、ひとりの宇宙飛行士が悲願の実現に至るまでを丁寧に描く人間ドラマである。
1960年代初頭のアメリカ。ニールは妻のジャネットとともに重病を患っていた幼い娘カレンを懸命に看病していたが、カレンは他界してしまう。悲しみから逃れるかのように、ニールはNASAのジェミニ計画の宇宙飛行士に応募。メンバーのひとりとして選出されたニールは、妻と長男を連れてヒューストンへ引っ越し、有人宇宙センターで訓練と講義を受け始める。世界の宇宙計画としてはソ連が大幅にリードするなか、NASAの指揮官ディーク・スレイトンは、ソ連もまだ到達していない“月”を目指すと宣言。まず母船の宇宙船と小型船のドッキングが可能だと実証するジェミニ計画を成功させ、月面に着陸するアポロ計画へと移行することが決まる。ニールは仲間たちとともにひたすら訓練を続けていくが……。
さまざまな困難を乗り越えて、人類初となる月面着陸という偉業を成し遂げた人物でありながら、家族や親しい人たち以外に対しては寡黙だったことから、人物像やミッション遂行までの詳しい道のりはあまり知られていなかった、アポロ11号の船長ニール・アームストロングの実話をもとに描く。映画化についてはアームストロング氏本人が、製作陣と面会して正式に許可したとのこと。そして2012年8月25日に彼が他界した後には、妻ジャネットや長男のリックや次男のマーク、2人の息子たちから多大な協力を得て、1961〜1969年に起きたさまざまな出来事について映画に取り入れていったそうだ。チャゼル監督はアームストロング氏本人について、またこの映画で伝えたいことについて、このように語っている。「世界史における最も有名な出来事なのに、その詳細や人物についてほとんど知られていないことにショックを受けたし、これほどの偉業が今まで映画で描かれていないことにも驚いた。本作では当時の宇宙飛行がいかに恐ろしいことだったかを強調したかった。まさにガラクタのブリキ缶か棺で宇宙に行くようなものだったんだ」
世界初の月面着陸を成し遂げた宇宙飛行士ニール・アームストロング役は、ライアンが幼い娘を亡くした悲しみと向き合いながらも、訓練に打ち込み忍耐強く目標へと向かってゆく姿をシリアスに表現。ライアンは本作での役作りについて、このように語っている。「僕にとってラッキーだったのは、ニールの当時の妻のジャネットと亡くなる前に対面できたこと。彼が産まれた生家も残っていて、そこで妹や、息子兄弟にも会えたし、彼を知る友人や一緒に働いていた同僚に実際の彼の話を聞くことができた。いろんな人が親切にも惜しみなく話を聞かせてくれたんだ」
妻ジャネット役はクレアが、夫を信じて宇宙へと送り出し、子どもたちと家庭を守る、凛とした強さをもつ女性として。アポロ計画にニールと共に参加する友人で宇宙飛行士のエド・ホワイト役はジェイソン・クラークが、ジェイソンの妻パット役はオリヴィア・ハミルトンが、NASAの指揮官ディーク・スレイトン役はカイル・チャンドラーが、それぞれに演じている。
原作はアラバマ州オーバーン大学の歴史学教授であり、この映画の共同製作を務めるジェイムズ・R・ハンセンが、2005年に発表した『First Man: The Life of Neil A. Armstrong(邦題:ファースト・マン ニール・アームストロングの人生)』。ハンセン氏はオハイオ州で科学技術史の博士号を取得し、宇宙史についての教育や執筆に20年以上携わった後、初めての伝記を執筆すべく、2000年にニール・アームストロング氏に伝記の出版をオファーする。しかし最初は辞退され、約2 年後にようやく許可が下りたとのこと。そして伝記の執筆を通じてアームストロング氏とハンセン氏は親交を深め、映画化についても「『ジェイムズの原作に沿って映画を作るのであれば問題ない』と(アームストロング氏は)考えてくれたようだ」と製作のウィク・ゴッドフリーがコメントしている。
そして2018年12月3日に東京で行われたこの映画の来日イベントにて、チャゼル監督はこの物語に注目した理由と、この映画で自身が描きたいと感じた内容について、このように語った。「ジェイムズ・R・ハンセンの原作を読んだときに、『セッション』を撮ったころから掲げていた“ゴールを追求するために、人はどのくらいの代償を払うのか”という目標が、月面着陸という大きなキャンバスをもつ本作なら、さらに深く掘り下げられると思ったんだ。でもライアンと作品を準備していくなかで、“ゴールよりも、ニールが何故このミッションを達成できたのか?”ということに注目するようになった。それには彼の人生における悲しみと喪失の出来事が大きく関わっていたと知って、最終的には彼とジャネットの関係性や、彼の家族の物語を描きたいという目標に変わっていったんだ」
イタリアで2018年8月29日(現地時間)に行われた第75回ベネチア国際映画祭の公式会見にて、チャゼル監督はニール・アームストロング氏の映画を製作したきっかけについて、このように語った。「月面着陸を象徴的な画像や断片的な映像でしか知らない世代としては、簡単にできたことだと感じてしまうが、実際はそうでなく、実現までの道のりを段階的に描きたかった」
またこの映画では、宇宙船に乗って宇宙空間を航行するシーンの映像に独特の臨場感があるのが特徴。ベネチア国際映画祭の公式会見にて、チャゼル監督は撮影の裏話についてこのようにコメントした。「劇中で月面探査をする時にヘルメットを通してライアンの呼吸音が聞こえるシーンでは、実際にアポロ16号で月面探索したジョン・ヤング宇宙飛行士のヘルメットを使用したんだ」
スタッフもキャストもアームストロング一家と彼らの仲間たちからたくさんの協力を得て、完成したという本作。当時の技術による宇宙航行のシーンでは宇宙船内での様子がリアルに伝わり、観ているとクルーたちが味わっただろうゾッとするような恐怖や命の危機を感じることもある。大きな喪失とショックに打ちひしがれ、現在よりもまったくの未知の領域だった宇宙に対して畏怖を抱きながらも、そこに挑んだ人たちの姿は力強く、訴えかけてくるものがある。チャゼル監督はこの作品の大切なテーマについて、このように語っている。「月面着陸についての話はたくさんあるけど、それを成し遂げるまでの間に何を感じていたのか、そして月面に立った初めての人間になるのはどんな気持ちだったのかを知りたかった。月に行ったことがある人間はほんの一握り、しかもニールは最初の人間だ。そして何より重要なのは、これは宇宙旅行を経験しながらも良き父親、良き夫であろうと努力した1人の男の感動的な物語という点なんだ」
劇場公開 | 2019年2月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2018年 アメリカ |
上映時間 | 2:21 |
配給 | 東宝東和 |
原題 | FIRST MAN |
監督・製作 | デイミアン・チャゼル |
製作総指揮 | スティーヴン・スピルバーグ |
脚本・製作総指揮 | ジョシュ・シンガー |
原作 | ジェイムズ・R・ハンセン |
音楽 | ジャスティン・ハーウィッツ |
出演 | ライアン・ゴズリング クレア・フォイ ジェイソン・クラーク カイル・チャンドラー |
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