ザ・ファブル

単行本累計発行部数400万部の人気コミックを映画化
凄腕の殺し屋が“殺人禁止”で休業中、あるトラブルが……
岡田准一のアクションを堪能するエンターテインメント作品

  • 2019/06/04
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ザ・ファブル© 2019「ザ・ファブル」製作委員会

主演・岡田准一にて、単行本累計発行部数400万部、2017年度講談社漫画賞にて一般部門を受賞、現在も『週刊ヤングマガジン』に連載中の南勝久の人気コミックを映画化。共演は、『居眠り磐音』の木村文乃、ドラマ「パーフェクトワールド」の山本美月、『BLEACH』の福士蒼汰、『銀魂』の柳楽優弥、『いつまた、君と 〜何日君再来〜』の向井理、佐藤二朗、安田顕、佐藤浩市ほか充実のメンバーが顔をそろえる。監督は2007〜2009年にカンヌ国際広告祭にて3年連続受賞するなどCM界で活躍し、本作が3本目の映像作品となる江口カンが手がける。どんな相手も6秒以内に殺す、“ファブル(寓話)”と呼ばれる伝説的存在の殺し屋が、ボスの命により1年間休業することに。暗殺以外の能力が乏しく、普通の社会経験がゼロながら一般人・佐藤アキラとして暮らし始め……。ズレた感覚と言動ながらも“プロの一般人”を実直に目指すアキラ、本来の“仕事仲間”や新たに出会った仲間たち、彼の戦闘スキルを求める人々、欲望に忠実に暴走する奴ら、濃いキャラクターたちの思惑が交錯してある出来事が起きる。格闘技の師範クラスの高い身体能力で知られる俳優・岡田准一のアクションをたっぷりと堪能できるエンターテインメント作品である。

福士蒼汰,向井理

裏社会で誰もが恐れる謎の殺し屋ファブルは、ボスから風変わりな指令を受ける。「1年間、一般人として普通に暮らせ。休業中に誰かを殺したら、俺がお前を殺す」。ボスに絶対服従の彼は佐藤明という偽名を使い、相棒のヨウコと兄妹のフリをして大阪へ。ボスのツテで真黒カンパニーの社長・海老原の世話になり、生まれて初めて一般人として生活し始める。ボスからもらったインコを大事に育て、街で偶然出会いバイト先を紹介してくれたミサキや、バイト先であるデザイン事務所の社長・田高田ともだんだん親しくなり、“プロの普通”を目指していく。しかし激しく対立する海老原の弟分・小島と組織の現幹部・砂川、ファブルに執着し追い続ける“渋谷系ゆとり世代の殺し屋”フードらによって、アキラの穏やかな日常が急転する。

主演クラスの人気俳優たちによる、アクの強いキャラクターぶりが楽しめる本作。ファブルのスキルを見せつける冒頭の暗殺シーンでは、クエンティン・タランティーノ作品を彷彿とさせる流血っぷりで、暗殺者フードらによる利己的で残虐な殺戮シーンなど、やや観ていてげんなりする面もあるものの、とにかく岡田准一のキレッキレのアクションをガッツリ観ることができる、というのが楽しい作品だ。演技派としてシリアスな大作への主演が続いてきたなか、久しぶりの現代もののコメディであり、岡田はコミック原作ものへの出演は本作が初とのこと。また江口監督も漫画原作の映画化は初めてだったものの、原作を一読して快諾したそうだ。監督は今回の映画化について語る。「笑いとかっこいいアクションが共存しているのはこの作品のキモなので、そこはきっちり描きつつ映画ならではのダイナミックなシーンを追加していこうと考えました」

柳楽優弥,安田顕

“暗殺者ファブル”を休業し、“プロの一般人”を目指す佐藤明役は、岡田准一がいい塩梅で。地味に目立たずに過ごそうと努力するアキラのズレた感覚が可笑しく、されど盗撮にはすぐ気づいてミサキをガードする紳士的な面など、面白さとカッコよさのある性分が伝わってくる。アキラの本業の相棒であり、妹のフリをする佐藤ヨウコ役は、木村文乃が大酒のみでチャラ男を酔いつぶすことが趣味という豪快さでさっぱりと、アキラにバイト先を紹介するミサキ役は、山本美月が父の借金返済と母親のためにバイトを複数しながらも素直で優しい女性として演じている。またファブルたちの育ての親であるボス役は佐藤浩市が、ボスと取引がありアキラが世話になる大阪の裏社会の組織・真黒カンパニーの社長・海老原役は安田顕が、海老原の弟分で出所したばかりの小島役は柳楽優弥が、会長の浜田役は光石研が、下剋上を狙う野心家の専務・砂川役は向井理が、ファブルを執拗に追いまわす“渋谷系ゆとり世代の殺し屋”フード役は福士蒼汰が、フードの相棒・コード役は木村了が、ミサキと一緒に働くデザイン事務所の社長・田高田役は佐藤二朗が、ヨウコと飲むバーの男役はオリエンタルラジオの藤森慎吾が、アキラ大絶賛のすべり芸人・ジャッカル富岡役は宮川大輔が、さらに六角精児、モロ師岡、倉本美津留ら個性派も顔をそろえている。

さまざまなアクションシーンが展開していく本作には、フランス人のアクション監督であるファイトコレオグラファーのアラン・フィグラルズ、スタントコーディネーターとして日本の富田稔率いるアクションチーム、日本のガンエフェクトの第一人者と呼ばれる納富貴久男が参加。個人的には一撃必殺の派手なガンアクションもさることながら、“殺さない”しばりで次々と体技を繰り出すファイトシーンに引き付けられた。大量の敵に何重にもぎっしりと包囲されて応戦していく後半のシークエンスでは、動きが速すぎて視力で追いきれないほどのところなど、カリ、ジークンドー、USA修斗という3つの格闘技の師範クラスの実力をもつ岡田准一の身体能力のすごさに改めて目を見張る。マット・デイモンやリーアム・ニーソンらとハリウッドで仕事をしてきたフィグラルズは、筋肉量が増えると俊敏性は損なわれることが多いことから、こう言って驚いたそうだ。「ここまでスピーディーに動ける俳優は見たことがない」
 近年のアクション映画では早送りをしてスピード感を演出するのが定番のなか、本作の岡田のアクションにその加工は一切ナシ。江口監督はこのようにコメントしている。「岡田さんのアクションを早送りして使ってると思われるのが一番悔しい!」
 2019年5月13日に東京・新宿で行われた完成披露試写会の舞台挨拶にて、共演した向井理も岡田のアクションをこのように褒め称えた。「完成版を見た時、岡田くんのアクションが速すぎて見えないシーンも多かった。ここまでCGに頼らず生身の人間で演じられるのは、世界でも類がないぐらいのクオリティだと思う」
 そして高さ15mの桟橋を舞台にした、製作スタッフもハラハラするほどの危険なクライマックスのシーンでは、岡田と柳楽本人がほぼすべて演じているとのこと。また福士蒼汰は以前から「岡田を師匠としてリスペクト」して、岡田と戦うシーンをずっと熱望していたそうで、アキラと暗殺者フードの対決シーンも注目のひとつ。撮影現場で岡田は「福士をもっと立てなければ」という思いから、自ら積極的にアクションへの意見を出していったことから、この対決シーンは“アクション監督=岡田准一”というくらい彼の発案が多用されているとも。アクションの撮影では直前まで打ち合わせが白熱したことも多々あり、より面白く練り上げられていったという。江口監督は語る。「この部分はアランがメイン、ここはトミー(富田)ががんばったところ、ここは岡田さんが考えた一連……というように、マンネリに陥ることなくバリエーション豊かなアクションシーンができたことは結果的に大きかった」
 こうした大規模なシーンがあるなか、個人的にはアキラの日常の1コマのアクションで好みのシーンもいくつか。真黒カンパニーの応接室で、もしこの場で会長と社長の2人を襲うならどうするかを説明する、アキラが道端でチンピラ2人に絡まれて“プロの一般人”として対応する、バイト先の飲み会で机の下からミサキの下半身を盗撮しようとした小型カメラをある方法でよける、などなど。コメディの要素がしっかりありながらアクションのアイデアが面白いパートもたくさんある。

佐藤浩市

エンディングに流れる主題歌は、レディー・ガガの代表曲のひとつ「Born This Way」。レディー・ガガによる日本映画への楽曲提供は本作が初であり、今回の経緯について、製作スタッフは感謝と共にこのように語っている。「製作側の強い想いを実際にアメリカに足を運んでレディー・ガガさんの関係者の方に伝える機会をユニバーサル ミュージックさんがご用意してくれたこと、そしてレディー・ガガさんが日本という国をとても大切に思ってくれていることが実現の理由ではないかと思います。“あなたの人生はそのままで素晴らしい”という強いメッセージを放つこの曲は、特殊な環境の中で必死に生きる主人公のファブル/アキラをはじめ、様々な事情を抱えるすべてのキャラクターたちの人生を肯定してくれる内容になっており、映画の世界観とも合致します。映画と音楽の最高のハーモニーをぜひ映画館で楽しんでいただけたらと思います」

2014年から連載がスタートした南勝久の原作コミックは、現在も『週刊ヤングマガジン』にて連載中、2019年6月6日に最新刊18巻が発売。南勝久は映画化が決まった時の思いを、喜びと共にこのように語っている。「今回の映画化に当たり、ご尽力いただいている皆様に心より感謝いたします。映画化は僕にとっても大きな夢のひとつでした。主演の岡田准一さんを始めとする演者の方々の迫真の演技と、江口カン監督の好演出で、素晴らしい作品として世に出る事を願っております」
 人気コミックを原作に、充実の俳優陣たちによる濃いキャラクターと、岡田准一を中心とした本格アクション、実力派のスタッフたちによる演出で魅せるエンターテインメントである本作。最後に監督のコメントと、岡田准一が前述の舞台挨拶で伝えたメッセージをご紹介する。
 監督「映画『ザ・ファブル』は笑えてカッコいいエンターテインメント映画! 僕はこんな映画が撮りたかった!! 原作の面白さを大切に、映画ならではの大掛かりなアクション、クールな映像表現、そして大笑いのコメディシーンの連続です。岡田准一さんをはじめとする素晴らしいキャストとの現場は超エキサイティング。この熱を、ぜひスクリーンで感じてください!」
 岡田「原作も読ませていただいてすごく好きな作品だったので、アキラ役をやらせていただけることは大きなチャレンジでした。とてもエンターテインメントに仕上がっていると思います。僕たちががんばって作った、映画版『ファブル』を楽しんでください!」

作品データ

公開 2019年6月21日より丸の内ピカデリーほかにて全国公開
制作年/制作国 2019年 日本
上映時間 2:03
配給 松竹
原作 南勝久
監督 江口カン
脚本 渡辺雄介
出演・ファイトコレオグラファー 岡田准一
出演 木村文乃
山本美月
福士蒼汰
柳楽優弥
向井理
佐藤二朗
安田顕
佐藤浩市
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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