ターミネーター:ニュー・フェイト

アーノルド&リンダ、T2コンビが28年ぶりに再共演!
ジェイムズ・キャメロン製作、ティム・ミラー監督により
現代的なテーマを含む、人気シリーズの“正統な続編”

  • 2019/11/08
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ターミネーター:ニュー・フェイト© 2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンがプロデューサーとして復帰、アーノルド・シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンが28年ぶりに再共演し、1991年の『ターミネーター2(T2)』の“正統な続編”が完成した。共演は、『オデッセイ』『ブレードランナー2049』のマッケンジー・デイヴィス、『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』のガブリエル・ルナ、コロンビアの映画やドラマや舞台で活躍し、本作でアメリカ映画デビューしたナタリア・レイエスほか。監督は、キャメロンが直接指名した『デッドプール』のティム・ミラーが手がける。一度は回避したと思われた人類滅亡の日“審判の日”。しかし再び未来から、ある人物を抹殺すべく最新型ターミネーターが送り込まれてくる。オリジナルの世界観を尊重しながら、伝説的なキャラクターと新たな登場人物たちのドラマ、スピード感とキレのある現代的なアクションや演出で引きつける。シンプルでわかりやすいエンターテインメント作品であり、ストーリーやキャスティングに現代的なテーマやメッセージを含むSFアクション大作である。

アーノルド・シュワルツェネッガー

2020年、メキシコシティ。弟のミゲルとともに工場で働く21歳の女性ダニーが、未来から来たターミネーターREV-9(レヴ・ナイン)に突然襲われる。同じく未来から送り込まれてきた強化型兵士であるグレースは、ダニーを必死で守り激しい攻防戦となる。その場をしのいで車で逃げるも、倒しても即再生して執拗に追ってくるREV-9を相手に防戦一方で追い詰められていくなか、ターミネーターを宿敵として人生を送ってきたサラ・コナーが現れてダニーたちに加勢。あまりの出来事にダニーはわけがわからず混乱するも、グレースとサラと行動をともにするしかないと腹を決め、皆で生き残るべく国境へと向かう。そして人類の存亡を懸けた戦いに、あのT-800も関わっていく。

『T2』の世界観を踏襲しつつ、スピード感のあるアクションやキレのある展開で知られるミラー監督の演出が冴えている話題作。新たなヒロインにラテン系の女優を抜擢したことをはじめ、アメリカ、オーストリア、カナダなどさまざまな国籍の俳優たちが共演。ストーリーではお約束通りの展開に加え、人種や国籍や世代を超えて支え合うこと、強い悲しみや憎しみに折り合いをつけることはできるのか、といった今の社会に響く普遍的なテーマが描かれていることが特徴だ。ジェームズ・キャメロンは、「世界で一番重要な人が労働者階級のメキシコ人女性というのがとても面白いと思った」とコメント。そして今回の作品が、1作目と2作目にあるターミネーターが執拗に襲いくるスリルがしかとあることにとても満足していると語っている。「気骨があって、テンポが速く、心を動かされる。ストーリーは36時間のうちに展開し、現代的なハイテク戦争の感覚もあり、全編ずっと手に汗握る緊張感に満ちた体験になる」

リンダ・ハミルトン

ターミネーターのT-800役は、現在72歳のアーノルドがいかつさと積み重ねた年月の味わいを織り交ぜて表現。1作目では人工知能「スカイネット」が、不都合な人間を抹殺すべく未来から送り込んだ殺人マシーンであり、2作目では守護者となり、あれからどのように現在に至ったか、そして劇中で特定の行為を続けてきた理由についてのエピソードも興味深い。アーノルドは、T-800がアメリカ映画協会による、映画史におけるトップ50人のヒーロー(48番目)とトップ50人の悪役(22番目)、両方に選ばれた唯一のキャラクターであることを誇りに感じているとのこと。2019年11月5日に行われた来日記者会見にて、この役を演じてきたことについて、笑顔でこのように語った。「最初は低予算のB級SFアクションとして製作された作品だったので、ここまで長く続いて、愛されるシリーズになるとは思っていなかった。アクション俳優になろうと思っていた時に1作目の『ターミネーター』と出会い、キャメロンのおかげでT-800 を演じることになったんだ。これは観客が判断することかもしれないが、私自身は本作でT-800 役は最後だと思っている。本作の撮影では特にREV-9 との対戦はとても楽しかったし、お気に入りなんだ。飛行機やハマー(軍用車)が自分に迫ってきたり、危険なアクションをとても楽しんだよ!」

T-800との関りは、1作目で命を狙われ、2作目では息子ジョン・コナーの守護者となり、その後に衝撃的な出来事を体験したサラ・コナー役のリンダは、ターミネーターを宿敵として戦い続けてきた女性として。リンダは『T2』以降の作品には、「脚本が魅力的ではない」という理由で出演を断ってきたなか、「この作品は最初の2 作品のように響くもの」とコメント。また20年以上たって同じ役に取り組むことに興味を持ち、本作への出演を決めたそうで、リンダはこのように語っている。「『ターミネーター2』の後、ただの人間が戦士へと変わる完璧な心の軌跡を演じたと感じていた。だからあの時点では、何も新しい要素がないまま、やり続けたいとは思わなかったの。でも、28年の間にサラは劇的に変わったから、そこを探究できると感じたわ」
 ミラー監督はリンダが演じるキャラクターへの思い入れをきっぱりと語る。「ほかの映画で(サラを)演じた役者には気を悪くしないでほしいが、私にとってのサラ・コナーはリンダ・ハミルトン以外にはいない」
 そしてキャメロンは、アクション・ヒーローがほぼすべて男性だった当時にサラ役の成功により女性アクション・スターとして画期的な存在となったリンダを称え、サラ・コナーというキャラクターがいかに特異な魅力をもっているかを語る。「そういうキャラクターのうち40歳以上は何人いる? とても少人数のはずだ。60歳以上は何人か? まったくのゼロだ。古典神話では、年上の女性は知恵の保持者で、時には魔法使いとか予言者であり、いつでも力強い人だ。本作では、その部分をアクション・ヒーローと組み合わせていて、これは過去に例をみない」

未来から送り込まれてきた強化型兵士であるグレース役は、マッケンジーがスラリとした長身の体躯を生かしてハードなアクションをカッコよく。最新型ターミネーターのREV-9役はガブリエルが、手を触れた相手に変身できる上、EX<外骨格>とEN<内骨格>の2体に分裂できて、2体の連携による攻撃が可能であり、ほぼ不死身で、人間らしい人懐こさを持つことでたやすく標的に近づける、という恐ろしい特性をもつキャラクターとして。REV-9に命を狙われるダニー役は、ナタリアがひとりのラテン女性が仲間とともに戦ううちに内面が変化していくさまを自然体で演じている。ほんの1シーンながら、『T2』と同じくジョン・コナー役でエドワード・ファーロングの出演も。
 撮影中、アーノルドとリンダの2ショットには、ミラー監督を含めて現場スタッフは大いに感動したとも。プロデューサーとして参加したキャメロンも、「アバター」シリーズ続編を手がけるために本作の監督を断念したものの撮影現場には頻繁に通っていたという。キャメロンは本作への強い思い入れについて、2019年7 月18 日(現地時間)にアメリカのサンディエゴにて開催された「コミコン・インターナショナル」に、「アバター」シリーズを撮影中のニュージーランドの現場からライブストリーミング中継にてサプライズで登場した際に、このように語った。「本作の復帰にあたって、僕にはどうしても叶えたいことがあった。アーノルドとリンダ・ハミルトンの復帰だ。人々がT-800 とサラ・コナーをとても愛し、彼らが今どうしているのか知りたがっている。僕たちは、これまで誰も見たことがない素晴らしいものを描くことができたと思うよ」

マッケンジー・デイヴィス,ナタリア・レイエス

アクションは全編で見どころが満載。REV-9とサラ・コナー、グレース、T-800のバトル、逃亡劇のカーチェイスに加え、離陸〜飛行中の大型輸送機でのアクション、宙づり、水中アクションも、大部分を俳優たち本人が実際に演じていて、水中に長時間居続けることによる耳の炎症から吐き気やめまいなど、疲労困憊しながらも体当たりで撮影に臨んだそうだ。ネタバレになるので誰がどこまでスゴイことになっているかは控えるとして、ミラー監督らしく振り切れた内容でヤバイことになっている。リンダは実は撮影前にはやや肉付きがよくなっていたものの、1日3回のワークアウトで肉体を改造。リンダとマッケンジーは、空挺部隊レンジャーとグリーン・ベレーとして25年の経験がある軍事戦略アドバイザーのジャック・ネヴィルスによるトレーニング・キャンプに参加した。劇中でハードなアクションを女性たちがしていること、新しいキャラクターたちの視点について、ミラー監督は語る。「女性に厳しいアクションの役をまかせた方がはるかに面白い。新たな観点、新たな気持ちを持ったキャラクターの目を通して見た方が、物語を伝える上でずっと楽しめると我々は考えたんだ」
 またREV-9を演じたガブリエルは、アーノルドと一緒にブダペストのジムでトレーニングを行ったとのこと。「僕は彼が一緒に過ごしてくれたことを栄誉だと思っている。彼は寛大に励ましの言葉をかけ、知識を披露してくれたんだ」とコメント。そして伝説的なキャラクターと共演した感動と興奮について、前述の来日記者会見にて満面の笑顔で語った。「本作のアクションシーンは、僕にとって俳優のキャリアのなかで最高のひとときだったよ。だってアーノルドの大きな手が僕を殴ってるんだよ!? 子どもの頃から知っているT-800 とサラ・コナーが、実際に本物の2人が目の前で僕に銃口を向けているんだから……真剣に演技をしながらも内心は子どもの気分になってワクワクしっぱなしだったよ!」
 個人的にSFアクションは好きなものの、暴力や殺戮や血みどろよりもファンタジーよりの内容や、キャラクターや豊かな世界観が好きなことから、このシリーズにそこまで思い入れがない筆者にとっても、“ダダン ダン ダダン!”と響くテーマソング「Main Title」が流れて、「I'll be back」というセリフがでると、自然と鳥肌がたつ気持ちよさが。ポイントとなる音やセリフを、ちょっと意外ながらも絶妙なタイミングでスパッと入れてくるあたり、T-800のサングラスとか細かいことについても、劇中で何かとくすぐるものがあるあたりに、ミラー監督の遊び心を感じた。

2019年に製作権利がようやくキャメロンのもとに戻ったことで、“正当な続編”として完成した本作。“SFオタク”を自負するミラー監督は、企画の段階で製作のキャメロンとデヴィッド・エリソンとともにストーリーを詰めていくにあたり、SFやファンタジーの一流のクリエイターたちとも話し合ったとのこと。ミラー監督は本作に込めた思いを語る。「私は『ニュー・フェイト』で、私たちが愛しているオリジナルの“ターミネーター”2作品を称賛しようとした。ファンのみんなにも同じように感じてもらえれば嬉しいし、新しい世代とジム(キャメロン)がつくったキャラクターを世界に紹介できればいいと思っている」
 またリンダは、2019年11月6日に東京で行われたレッドカーペットイベントにて、観客にこのようにメッセージを伝えた。「撮影に6 カ月もかかりました。毎日愛を込めて作り上げましたので、画面から愛情や信頼関係を感じられると思います。この作品は私が関わったなかで本当に一番大変でした。一滴も残らず感じてもらえればと思います」
 そしてアーノルドは前述の来日記者会見にて、『T2』以来28年ぶりのキャメロンとリンダとのタッグについて、また本作の魅力についてメッセージを伝えた。「リンダとは1作目から友情がずっと続いているんだ。彼女は女性のアクション・ヒーロー像の歴史を築いてきた。本作でのサラ・コナーの迫力に満ちた説得力のあるアクションは、信じられないくらい素晴らしいものだよ。さらに、キャメロンの描き出した新しいストーリー、ティム・ミラー監督が手がけた本作の素晴らしい仕上がりに、みんなが誇りを持っている」

作品データ

ターミネーター:ニュー・フェイト
公開 2019年11月8日よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2019年 アメリカ
上映時間 1:59
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 TERMINATOR: Dark Fate
監督 ティム・ミラー
製作 ジェームズ・キャメロン
デイヴィッド・エリソン
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー
リンダ・ハミルトン
マッケンジー・デイヴィス
ナタリア・レイエス
ガブリエル・ルナ
ディエゴ・ボネータ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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