オスカー受賞作『ムーンライト』の制作スタジオA24が
映画の衣装や小道具を出品してオークションを開催
COVID-19による危機に対応する4つの組織へ寄付
第89回アカデミー賞にて作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門を受賞した『ムーンライト』や第88回アカデミー賞にて主演女優賞を受賞した『ルーム』をはじめ、『ヘレディタリー』『ミッドサマー』などを手がける制作スタジオA24が、4月22日(現地時間)よりチャリティ・オークション「A24 Auctions」を開催。A24が制作した映画の衣装やジュエリー、小道具などが出品され、専用のHPより入札・購入ができる。この収益は、新型コロナウイルスによる危機に現場で対応している人々や、困難な状況下にある人たちを支援するニューヨークの4つの組織、FDNY財団(ニューヨーク市消防局傘下の非営利団体)、ニューヨーク市のフードバンク、NYC Health + Hospitals、Queens Community Houseに寄付される。今回は「A24 Auctions」と共に、このオークションに出品している映画作品をご紹介する(参考:「hollywoodreporter.com」「vogue.com」の記事より)。
『ヘレディタリー』のアリ・アスター監督による“フェスティバル・スリラー”。家庭の不幸により突然天涯孤独となったアメリカ人の学生ダニー(フローレンス・ピュー)は、恋人クリスチャン(ジャック・レイナー)と仲間たちに同行してスウェーデン旅行へ。スウェーデン人の留学生ペレの故郷である人里離れた奥地に向かい、90年に一度、夏至(ミッドサマー)に行われるという祝祭に出かけるが……。白夜の太陽のもと、花々が咲き乱れ、村人たちが陽気に歌い踊るといった牧歌的な光景と、次々と起きてゆく不穏な出来事とのコントラストが強烈。観る側の感覚をかく乱しゆさぶり、恋の破滅とリベンジを劇的に描いている。
現在日本で公開中の本作から「A24 Auctions」には、約10,000個のシルクの花で作られたメイクイーンのドレスや花冠、カラフルな刺繍が施されたヴィンテージ・ファブリックによる村人たちの服、熊のマスク、そしてあの大きな木槌などが出品されている。
“トラウマ必至の傑作ホラー”として高く評価されているアスター監督の長編映画デビュー作。グラハム家の祖母・エレンが他界。母に愛憎入り交じる感情をもつ娘のアニー(トニ・コレット)は、夫や子どもたちとともに粛々と葬儀を行い日常に戻る。アニーと夫スティーヴン(ガブリエル・バーン)、高校生の息子ピーター(アレックス・ウォルフ)、人付き合いが苦手な娘チャーリー(ミリー・シャピロ)は、家族を亡くした喪失感を乗り越えようとするなか、奇妙な出来事が頻発する。後半でゾッとするシーンを畳みかけ、タイトルの“HEREDITARY(遺伝性の、世襲の、親譲り)”の意がラストに。まさにホラーファンのための映画だ。
日本では2018年11月に日本公開、『ミッドサマー』の公開にあわせて現在一部地域で再上映中の本作。「A24 Auctions」には、“Annie”の刺繍が施されたレッドブラウンのドアマットと、“Charles”と刺繍されたグリーンのドアマットが出品されている。
『レディ・バード』の制作陣とA24が手がけ、監督・脚本はユーチューバー出身で俳優としても活動し、本作で映画監督デビューした29歳のボー・バーナム。SNSと共に生きる“ジェネレーションZ”の少女ケイラのしょっぱい青春を描く。中学校生活の最後の1週間を迎えたケイラは、「学年で最も無口な子」に選出。不器用な自分を変えようと発奮し、SNSで憧れの男子や、クラスで人気者の女子たちに近づこうとするが……。がんばればがんばるほど空回りする表現がリアル。ラストにほのぼのするくだりに、個人的にホッとした。父娘のストーリーも描いているためか、オバマ前米大統領やアルフォンソ・キュアロン監督や宮藤官九郎が絶賛と、子どもをもつ親目線からも高評価というのがちょっと意外で面白い。
日本では2019年9月に公開、2020年4月にDVD化。「A24 Auctions」には、プール・パーティのシーンに登場するゴーグルと、ケイラのタイム・カプセル用の宝物ボックスが出品されている。
「A24 Auctions」には、さらなるアイテムが出品中。ジョシュア&ベニーサフディ兄弟が監督・脚本を手がけたアダム・サンドラー主演のNetflix映画『Uncut Gems(邦題:アンカット・ダイヤモンド)』からは、なつかしのキャラクター“ファービー”や、マイケル・ジャクソンと十字架をモチーフにしたジュエリー、ルイ・ヴィトンのバッグやフェラガモのレザーベルトなど、またこれからの予定として、ロバート・パティンソンとウィレム・デフォーの主演による『The Lighthouse』から灯台や木製の人魚などの出品も。このオークションの特徴は、“このページのアイテムを落札するとココへ寄付します”と明記されているところ。入札するユーザーに寄付先がわかりやすい。オークションへの入札は日本からも可能で、関税や送料などの追加手数料を落札者が負担することで海外発送も対応とのこと(一部の国と地域を除く。詳細はオークションのHPにて確認を)。今回のオークションについて、A24はこのように伝えている。「ニューヨークで設立し本拠地としている会社として、A24はこの危機を乗り越えて再建を始めるニューヨーク市に恩返しをしたいと考えています」
A24の作品は今後も、近日に日本公開予定の『THE LAST BLACK MAN IN SANFRANCISCO』をはじめ、注目作が続く。この作品はアメリカのサンフランシスコを舞台に、現代社会への風刺を含む、男たちの微妙な友情の物語。A24では、モードなニュアンスのある鮮やかな映像や、オフビートの風変わりな味わい、花々や木々といった自然の美しさやクラシックなインテリアが映えるなど、ヴィジュアルが目を引く作品が多いのが魅力的だ。ジャンルを限定せずに幅広い作品を手がけるなか、最近はホラーやスリラーが特に話題となっている。ただ個人的には、過激な血みどろと恐怖がだいぶ不得手な筆者としては、2015年の『ルーム』や『エクス・マキナ』といった独特の心理描写が印象的な人間ドラマもどんどん制作されるといいなと期待している。
チャリティ・オークション スタジオ「A24」公式HP |
公開 | 2020年2月21日よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2019年 アメリカ |
上映時間 | 2:27 |
配給 | ファントム・フィルム |
映倫区分 | R15+ |
原題 | MIDSOMMAR |
脚本・監督 | アリ・アスター |
出演 | フローレンス・ピュー ジャック・レイナー ウィル・ポールター ウィリアム・ジャクソン・ハーパー ヴィルヘルム・ブロングレン アーチ・マデクウィ エローラ・トルキア ビョルン・アンドレセン |
発売元 | カルチュア・パブリッシャーズ |
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セル販売元 | TCエンタテインメント Blu-ray 4,700円(税別)、DVD 3,800円(税別) |
発売元 | ポニーキャニオン Blu-ray 5,300円(税別)、DVD 3,800円(税別) |
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