圧倒されるほどの細かさ&リアリティ! 明治工芸と現代アートの比較も
明治時代、海外への輸出用に制作された七宝、金工、牙彫、木彫、漆工、刺繍絵画などの明治工芸。それぞれの分野の作品を展観して伝統工芸の技を体感するとともに、現代作家の機知に富んだ作品と比較して、技巧を凝らした技の継承も追うユニークな視点の企画展です。
本展では、各分野の明治工芸作品と現代作家の作品約50点が並びます。
明治時代に飛躍的な進化を遂げた七宝では、発展を牽引した並河靖之と濤川惣助の2人の「ナミカワ」の作品を紹介。京都を拠点に活躍した並河は、金属線で文様の輪郭を作る有線七宝の分野で洗練された色彩を表現。一方、東京では1879(明治12)に濤川が、色の境目を区切る金属線を取り除く無線七宝の手法を完成させました。
漆工では、墨と見せかけて漆で造形した《古墨形印籠》などトリックアートで魅せる柴田是真、独自の洗練されたセンスが光る赤塚自得などの作品が展示されます。牙彫の安藤緑山は、瑞々しさがあふれる野菜など、リアリティある彫刻と色彩の細かさが見どころです。仏師出身の高村光雲によって写実が取り入れられ近代化が進んだ木彫では、白い桐に鉛や錫などを象嵌して銀杏にとまる鳩を表した旭玉山《銀杏鳩図文庫》などを、身体の各部位を自由に動かせる自在では、260個の鉄製の部品を組み合わせて制作された明珍《蛇》などを紹介。陶磁では、細密な絵付けが施された作品や、高浮彫の技法で独自の世界を確立した初代宮川香山の作品、金工では大型の香炉、染織ではビロード地に友禅染を施した天鵞絨友禅(ビロードゆうぜん)などが展示されます。
現代アートでは、鹿の骨や角から花の作品を生み出す牙彫の橋本雅也、有線七宝の技法を受け継ぐ春田幸彦、小さな粘土のパーツを土台に貼り付けて精巧な陶芸作品を生み出す稲崎栄利子、写真のような水墨画を描く山口英紀、皿も秋刀魚も一体の木彫作品を制作した前原冬樹のほか、骨格が自由に動く自在、生花を型どりしてアルミニウムで鋳造した金工など、現代の感覚と伝統技法をアレンジした独自の技が光る作品が数多く並びます。
展覧会名 | 特別展 驚異の超絶技巧! ―明治工芸から現代アートへ― |
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会期 | 2017年9月16日(土) 〜 12月3日(日) ※会期中、一部展示替えあり |
休館日 | 月曜日(ただし9月18日、10月9日は開館)、10月10日(火) |
時間 | 10:00〜17:00(金曜および9月30日(土)は19:00まで) ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | 三井記念美術館 中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7F >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般1,300円、高大生800円 |
公式サイト | http://www.mitsui-museum.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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