興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」

躍動感あふれる彫刻で一時代を築いた仏師の親子三代の系譜を辿る

  • 2017/09/20
  • イベント
  • アート

重要文化財 聖観音菩薩立像 運慶・湛慶作 鎌倉時代・正治3年(1201)頃 愛知・瀧山寺蔵 写真:六田知弘
重要文化財 聖観音菩薩立像
運慶・湛慶作
鎌倉時代・正治3年(1201)頃
愛知・瀧山寺蔵 写真:六田知弘

生きているような写実的な彫刻で一世を風靡し、平安時代末期から鎌倉時代にかけて活躍した仏師 運慶。貴族、東国武士らから支持され、工房を率いて多くの仏像を制作した運慶の作品の魅力を探るとともに、父、子の作品も交えて作風の樹立から継承も辿る、大規模な企画展です。縁の深い興福寺の中金堂が約300年ぶりに再建されるのを記念して開催されます。

運慶はおおよそ1150年頃に生まれたと考えられています。平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像を制作した定朝から分かれた3つの系統で仏師集団は活動しており、運慶の父・康慶は、興福寺周辺を拠点にした奈良仏師に属していました。他の二派が保守的な作風であったのに対し、奈良仏師は進取の造形に取り組む傾向にありました。1180(治承4)年の焼き討ちにより焼失した興福寺は、奈良仏師によって写実性に基づく躍動感や、仏教世界の寂静を表現した、北円堂の無著・世親の菩薩立像などに代表される独創性のある仏像が安置されていきます。

本展では、第1章 運慶を生んだ系譜―康慶から運慶へ」、「第2章 運慶の彫刻―その独創性」、「第3章 運慶風の展開―運慶の息子と周辺の仏師」の3つの章で展観。運慶の父・康慶や運慶の師匠の作品、運慶の若年から晩年までの作品、湛慶ら息子たちの作品と、三代の作品を時系列で辿れる点が特徴です。会場である東京国立博物館平成館の広さを生かして、国宝「無著菩薩立像・世親菩薩立像」の側に国宝「四天王立像」が立ち並ぶほか、国宝「八大童子立像」などの作品は全方位での展観が可能。お寺では見られない角度からの表情も楽しめます。特に、愛知県瀧山寺蔵の重要文化財「聖観音菩薩立像」は寺外初公開。京都府浄瑠璃寺に伝来し、現在は静嘉堂文庫美術館と東京国立博物館の2カ所で所蔵されている重要文化財「十二神将立像」は、42年ぶりに12躯が勢ぞろいし、貴重な機会となります。また、今も続く運慶作品の調査研究の最新知見も公開。新たに加えられた運慶作品やX線CT調査による像内納入品映像などが紹介されます。

  1. 国宝 大日如来坐像 運慶作 平安時代・安元2年(1176) 奈良・円成寺蔵 写真:飛鳥園
  2. 国宝 毘沙門天立像 運慶作 鎌倉時代・文治2年(1186) 静岡・願成就院蔵 写真:六田知弘
  3. 国宝 四天王立像のうち多聞天 鎌倉時代・13世紀 奈良・興福寺蔵(南円堂安置) 写真:飛鳥園
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  1. 国宝 大日如来坐像 運慶作 平安時代・安元2年(1176) 奈良・円成寺蔵 写真:飛鳥園
  2. 国宝 毘沙門天立像 運慶作 鎌倉時代・文治2年(1186) 静岡・願成就院蔵 写真:六田知弘
  3. 国宝 四天王立像のうち多聞天 鎌倉時代・13世紀 奈良・興福寺蔵(南円堂安置) 写真:飛鳥園
  4. 国宝 天燈鬼立像 鎌倉時代・建保3年(1215) 奈良・興福寺蔵 写真:六田知弘

開催概要

展覧会名 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
会期 2017年9月26日(火) 〜 11月26日(日)
休館日 月曜日(ただし10月9日は開館)
時間 9:30〜17:00(金曜、土曜、11月2日(木)は21:00まで)
※入館は各閉館時間の30分前まで
会場 東京国立博物館 平成館
台東区上野公園13-9 
>> 会場の紹介記事はこちら
観覧料 一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 900円
公式サイト http://unkei2017.jp/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

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