7年ぶりの「冨嶽三十六景」全点公開に注目
森羅万象を描き、世界的に知られる浮世絵師の葛飾北斎。70歳を過ぎて刊行された代表作「冨嶽三十六景」を展観しながら、その画業を掘り下げる企画展です。
北斎は1760(宝暦10)年、現在の墨田区付近で生まれました。幼少から絵を描くことを好み、勝川春章に入門します。勝川春朗の雅号で浮世絵に携わるようになり、役者絵などを描きますが、35歳頃に師の元を離れ、琳派などを含んだ多様なジャンルで独自の表現を模索します。摺り物、狂歌絵本や読本の挿絵、肉筆画などを描いた後、50代半ばで後生に知られた絵手本である『北斎漫画』初編を刊行。晩年の70代には、錦絵の「百物語」や、同じく人気の高い「冨嶽三十六景」を発表し、それまでなかった浮世絵による風景画のジャンルを切り開きました。1849(寛永2)年に90歳でなくなるまで絵を描き続けました。
本展では、富士山を日本全国のさまざまな場所から描いた「冨嶽三十六景」を7年ぶりに全点公開。1831(天保2)年頃に制作され、当初は題名の通り36点で構成されていましたが、売れ行きが良く好評だったため10点追加になり、全部で46点となった北斎の最高傑作です。全て異なる構図であることはもちろん、赤富士をシンプルな色合いで描いた「凱風快晴」、ダイナミックな波の「神奈川沖浪裏」など、驚きのアイデアが盛り込まれた作品は北斎がたどり着いた境地とも言え、奇抜なアイデアを読み解くことで作品の魅力や画業を掘り下げます。特に「山下白雨」は、山頂は晴れているものの、裾野は激しい夕立が降っていることを、右下に描いた稲妻を図様化した線で表した作品で、異なる天候が一枚の画面の中に収まる奇抜なアイデアが光ります。また、応為という雅号で浮世絵師として活躍した娘のお栄が描いた「吉原格子先之図」も、2年ぶりに公開されます。
展覧会名 | 葛飾北斎 冨嶽三十六景 奇想のカラクリ |
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会期 | 2017年9月30日(土) 〜 10月29日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし10月9日は開館)、10月10日(火) |
時間 | 10:30〜17:30 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 太田記念美術館 渋谷区神宮前1-10-10 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 700円、高大生 500円 |
公式サイト | http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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