北斎とモネやドガらの共演から覗く!西洋近代芸術の革新
19世紀後半、日本が開国すると、多くの西洋人が訪れて日本の文化を自国に紹介し、日本ブームが起こります。芸術分野でも、日本美術の表現方法を取り入れた“ジャポニスム現象”が発生。特に注目された葛飾北斎に焦点を当て、西洋の芸術家から見た北斎像、その表現や技法の踏襲といった影響について、浮世絵と西洋美術を見比べながら展観する、新しい切り口の企画展です。
江戸時代後期を代表する浮世絵師である葛飾北斎(1760〜1849)は、当時から非常に人気があり、狂歌本や読本挿絵、『北斎漫画』に代表される絵手本などの版本、錦絵版画、肉筆画などを制作。代表作の「冨嶽三十六景」は、歌川広重の「東海道五十三次」とともに、浮世絵に風景画というジャンルを確立させるきっかけとなります。90歳で亡くなるまで、人物、動植物、建物など幅広く描いた多才な人物でした。一人で広範囲なジャンルを網羅していたため、西洋に浮世絵が持ち込まれた際にほかの絵師と比べて引用される頻度がアップ。モネやモローらも北斎作品を収集しました。「Hokusai=浮世絵」を意味するまで名声は高まり、1998年には、アメリカ『LIFE』誌で“この1000年でもっとも重要な功績を残した世界の100人”に日本で唯一選ばれています。
本展では、北斎の浮世絵作品と、モネ、ドガ、セザンヌなどの絵画作品、ティファニーやガレの装飾工芸を共に展示することで、ジャポニスムという新しい創造活動を生み出した西洋美術のエネルギーを体感し、北斎の魅力を再確認。西洋芸術約220点、北斎の錦絵約40点、版本約70冊の計約110点(出品点数は予定、会期中展示替えあり)が展示されます。
挿図として作品の図を使用、作品の一部を模写、装飾モティーフとして作品の一部を転用などのほか、版本『富嶽百景』の「竹林の不二」の構図を参考にしたモネの《木の間越しの春》やバカラの《花器:竹林》などを紹介。また、遠景に主題である山、手前に木を配して俯瞰的に眺める視点を取り入れたセザンヌの《サント=ヴィクトワール山》、野生の植物という新たなモティーフを展開したゴッホの《ばら》、昆虫や爬虫類を装飾に取り入れたティファニーの《ランプ:トンボ》など、構図、造形、アイコン的なモティーフを参考にインスピレーションを沸かせ、個々の作品に投影していった近代西洋絵画の巨匠たちの試みがじっくり展観できます。
展覧会名 | 北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃 |
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会期 | 2017年10月21日(土) 〜 2018年1月28日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし1月8日は開館)、12月28日(木)〜1月1日(月・祝)、1月9日(火) |
時間 | 9:30〜17:30(11月18日を除く金・土曜日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立西洋美術館 台東区上野公園7-7 |
観覧料 | 一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円 |
公式サイト | https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html |
問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
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