人々が七宝にこめた憧憬を七宝技術の伝来とともに辿る
中近東からシルクロードを通って、日本に伝来した七宝の技法。鮮やかな色彩の釉薬をまとった姿は艶があり、古代から現代に至るまで人々の心を魅了してきました。紀元前から、近代までのガラス・貴石を象嵌した装飾品や七宝の作品を鑑賞しながら、その歴史や技術が革新されてきた道筋を振り返る企画展です。
伝統工芸の一つで、金、銀、銅、鉄などの金属に釉薬を高温で溶着した七宝。釉薬によって艶やかな色合いが生まれます。
中近東など西方で登場した七宝の技法は、シルクロードの交易によって、唐時代には中国に到達。15〜16世紀の明時代には、盛んに生産されるようになり、精緻を凝らした技巧で美しい青藍を発色させた「景泰藍(けいたいらん)」を生み出しました。
7〜8世紀に入ると、日本でも七宝が登場。瑠璃や玻璃と呼ばれた貴石やガラスを金属に嵌め込む象嵌技術と併せて、身分の高い人々の装身具や室内装飾に用いられました。中世以降は、中国製の七宝が茶道具でも人気となり、「唐物」として珍重されます。一度は下火となった日本製の七宝も復興し、調度品、刀装具、文房具などを艶やかに飾りました。
本展では、紀元前の戦国時代から、前漢、唐、明、清と、各時代の中国製作品のほか、飛鳥時代、室町時代、江戸時代、明治時代などの日本製作品も集結し、象嵌、古代、茶、調度と装身具のテーマごとに展示します。奈良県明日香村にある古墳から出土した日本最古の七宝作品《花文入亀甲形座金具》、中国で制作された七宝鉢を、日本で塗蓋を合せて水指に見立てた彦根藩井伊家伝来の《荒磯花文七宝水指》、抱えるほど大きく、有線七宝で緻密に赤龍が描かれた《龍文七宝大香炉》、江戸幕府お抱えの七宝師として活躍した平田家の初代、平田道仁作の《花雲形文七宝鐔》など、約100の名品で装飾技術の軌跡を展観します。
展覧会名 | 特別展 光彩の巧み―瑠璃・玻璃・七宝― |
---|---|
会期 | 2017年10月21日(土) 〜 12月3日(日) |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 五島美術館 世田谷区上野毛3-9-25 |
入館料 | 一般 1,200円、高大生 900円 |
公式サイト | http://www.gotoh-museum.or.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。