コレクションで最も多い広重!晩年の代表作からたどり着いた境地を覗く
葛飾北斎、喜多川歌麿など、著名な浮世絵師の中で風景画の巨匠として知られる歌川広重(1797 〜 1858)。没後160年を記念した2回の企画展の第1弾です。最晩年の代表作「名所江戸百景」を全点公開し、構図の妙、技巧に迫るとともに、幕末の江戸の空気感を感じる魅力的な内容となっています。
幼少のころから絵が上手く、1811(文化8)年に15歳で歌川豊広に入門し、翌年に広重の画号を許されたと考えられています。初期は美人画や役者絵なども手掛けますが、連作錦絵「東都名所」を発表したころから風景絵師として本格的に活動。1833〜36(天保4〜7)年頃に代表作「東海道五十三次」を刊行して人気を博しました。最晩年に3年を費やし「名所江戸百景」を制作。1858(安政5)年に亡くなります。
本展では、目録と弟子による作品を含めた120図からなる「名所江戸百景」を、前期後期に分けて全点紹介します。同館のコレクションが中心の作品群は、保存状態が良好で早い時期の摺りのため、広重の意図が色濃く反映された点が特徴です。
「名所江戸百景 亀戸天神境内」(後期展示)、「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」(前期展示)など、今でも名所となっている場所の当時の姿を眺められるほか、手前にモチーフを大きく描いた「名所江戸百景 深川万年橋」(後期展示)のような奇抜な構図も見どころとなっています。60歳を超えても挑み続ける大胆な構図は、時に江戸の町に入り込んでしまったような臨場感も生み出しており、必見です。細く鋭い線で表現された雨を版木に彫り出す技術、空や水面を表現する際に駆使される「ぼかし」や絵の具を使わず強くすることで凹凸を出す「空摺(からずり)」など、彫師、摺師の技も見逃せません。
また、ポスト印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホが浮世絵から影響を受け、「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」(前期展示)などを油彩で模写し、大きな関心を寄せていたことが知られています。西洋の画家にとってもインパクトのある大胆な構図や色づかいを全点通してじっくりと展観できます。
展覧会名 | 広重 名所江戸百景 |
---|---|
会期 | 2018年4月1日(日) 〜 5月27日(日) ※前後期で全点展示替え 前期:4月1日(日) 〜 26日(木) 後期:5月1日(火) 〜 27日(日) |
休館日 | 4月2日(月)、9日(月)、16日(月)、23日(月)、27日(金)〜30日(月・振休)、 5月7日(月)、14日(月)、21日(月) |
時間 | 10:30〜17:30 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 太田記念美術館 渋谷区神宮前1-10-10 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 700円、高大生 500円 |
公式サイト | http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。