線の造形、線の空間 飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸

大正から現代までの竹工芸作品が勢ぞろい!その造形の魅力を追う

  • 2018/03/28
  • イベント
  • アート

技を競う職人的な位置付けから、アートの一環として個人の表現が追及されるようになった大正時代以降の竹工芸に焦点を当て、飯塚琅玕齋と初代田辺竹雲斎の2つの家系による作品から、編み込んだ竹の立体的な造形美を探る企画展です。

しなやかで強靭な竹の特性を生かし、竹工芸は編組技術を駆使して形作られます。竹を割り、削って加工した「線」は様々な表情や質感となり、空間を包んだり、透かしで抜け感を表したり、装飾となったり、作家によって作品として組み上げられていくのです。
 江戸時代末期から明治にかけて、大坂を中心に煎茶道が流行。初代田辺竹雲斎は、その精神をベースに、大坂の堺で精緻に編んだ唐物風の制作で有名になりますが、独自の制作も追求し、新しい竹工芸の表現を模索しました。東京で活躍した飯塚琅玕齋は、初代竹雲斎の次世代の作家として、20代半ばで独立。芸術としての竹工芸を追求し、二代竹雲斎、小玕齋らの制作に影響を与えました。代を継いでいくごとに、竹の造形表現を大きく飛躍し、現代へとつながっていきます。

本展では、飯塚琅玕齋と初代田辺竹雲斎の2つの家系に連なる作家7人の作品120点余りによって、大正、昭和、平成の竹工芸作品を包括的に展観します。初代飯塚鳳齋の長男である二代飯塚鳳齋の「花籃」(大正初期)、飯塚鳳齋の七男で作品の様態に真・行・草の三態の概念を導入した飯塚琅玕齋の「盛籃 雲龍」(194年)、琅玕齋の二男で史上2人目の重要無形文化財「竹工芸」保持者に認定された飯塚小玕齋の「華籃 氷裂」(平成初期)がそろって展示されるほか、目の粗い編み方や古い竹製の矢を用いるなど独自の制作を追求した初代田辺竹雲斎の「古矢竹鎧綴花籃」(1930年)、初代の長男で透かしを用いたシンプルな造形などで独自の作風を確立した二代田辺竹雲斎の「螺旋紋花籃」(1952年)、二代の長男で用途のない造形を打ち出した三代田辺竹雲斎の「未来への歓喜」(1972年)など、代々の竹雲斎の作品も紹介します。
 特に、竹を素材としたインスタレーションなどの造形を追求している四代田辺竹雲斎は、同館の展示室へとつながる螺旋階段にインスタレーションを制作し、必見です。現在の竹工芸の革新性をじっくりと感じ取れる内容です。

  1. 飯塚琅玕齋 「花籃」1936 年頃 H31.5×33.0×32.5 cm (撮影:渞忠之)
  2. 初代田辺竹雲斎 「柳里恭花籃」1925 年 H58.5×31.5×31.5 cm (撮影:渞忠之)
  3. 三代田辺竹雲斎 「未来への歓喜」2009 年 H69.0×81.5×26.5 cm (撮影:渞忠之)
  4. 四代田辺竹雲斎 「CONNECTION−根源−」2018年 ショーモン城(フランス)高さ5.0メートル (撮影:渞忠之)
  1. 飯塚琅玕齋 「花籃」1936 年頃 H31.5×33.0×32.5 cm (撮影:渞忠之)
  2. 初代田辺竹雲斎 「柳里恭花籃」1925 年 H58.5×31.5×31.5 cm (撮影:渞忠之)
  3. 三代田辺竹雲斎 「未来への歓喜」2009 年 H69.0×81.5×26.5 cm (撮影:渞忠之)
  4. 四代田辺竹雲斎 「CONNECTION−根源−」2018年 ショーモン城(フランス)高さ5.0メートル (撮影:渞忠之)

開催概要

展覧会名 線の造形、線の空間
飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸
会期 2018年4月14日(土) 〜 7月16日(月・祝)
休館日 月曜日(ただし4月30日、7月16日は開館)、5月1日(火)、6月5日(火)
時間 11:00〜18:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 菊池寛実記念 智美術館
港区虎ノ門4-1-35 西久保ビルB1F 
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 1,000円、大学生 800円、小中高生 500円
公式サイト https://www.musee-tomo.or.jp/
問合せ 03-5733-5131

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