古代の中国から幕末・明治時代まで!時代も地域も多様な酒器の数々
お祝いや別れの席だけでなく、日々の暮らしの中に溶け込んでいる酒。古代から神と人とをつなぐ神聖なものとされた酒を盛る酒器に注目し、古代から幕末・明治時代までの東洋の酒器や酒に関わる美術を展観する企画展です。
「天の美禄」や「百薬の長」と称えられてきた酒は、古代から東洋で神聖なものとして扱われてきました。そのため、神に捧げるに相応しい器として、酒器も厳かで重々しくデザインされ、祭りや儀式で重要な役割を果たしています。時を経るにつれ、神と人をつなぐ酒から、四季を愛でたり、人生の節目を祝ったり、人をもてなしたりする際にも酒がふるまわれるようになり、さまざまな趣向に合わせた多彩な酒器が登場しました。
本展では、酒を盛る、注ぐ、酌み交わす器と、呑む人々をテーマに関連作品を紹介。時代や地域に根付く技術の粋を凝らして作り上げた酒器の美しさ、宴に相応しい遊び心が組み込まれた工芸品などのほか、殷時代の青銅酒器などが初公開されます。
佐賀藩鍋島家が最高の技術と材料を集めて、将軍家への献上品や諸大名への贈答品として作らせた鍋島焼。その中でも完成度の高い「色絵牡丹文水注」は、8代将軍・徳川吉宗による私的な注文品の可能性も指摘されています。14世紀の朝鮮で作られた「青磁象嵌蓮池水禽文龍頭盃」と、「青磁象嵌水禽双魚文龍頭盃」は、高麗青磁を特徴づける繊細な象嵌技法を駆使。景徳鎮窯「豆彩八仙文盃」には、中国の女神である西王母の誕生日を祝うために、8人の仙人が海を渡る図が鮮やかに描かれ、江戸時代の「和漢人物蒔絵三つ組盃」には、三国志の劉備、関羽、張飛の3人、虎渓三笑の故事にちなんだ僧侶、詩人、道士の3人、笑い上戸、泣き上戸、怒り上戸の3人が描かれるなど、酒にまつわるエピソードが図柄に。重ねると茶壺の形になる「色絵松竹牡丹文壺形段重」や、重箱と徳利をまとめた弁当セットの「山水菊蒔絵提重」など、形に工夫が凝らされた工芸品も並びます。15年ぶりに展示される、柿右衛門の名品「色絵桐鳳凰文徳利」や、国宝「曜変天目」も展示され、春らしい華やかな作品が集う内容となっています。
展覧会名 | 酒器の美に酔う |
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会期 | 2018年4月24日(火) 〜 6月17日(日) ※会期中、一部作品の展示替えあり 前期:4月24日(火) 〜 5月20日(日) 後期:5月22日(火) 〜 6月17日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし4月30日は開館)、5月1日(火) |
時間 | 10:00〜16:30 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 静嘉堂文庫美術館 世田谷区岡本2-23-1 |
入館料 | 一般 1,000円、高大生 700円 |
公式サイト | https://www.seikado.or.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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