地域色豊か。全国行脚で集めた駄菓子のスケッチや精巧な紙粘土模型が一堂に
かりんとう、ねじりおこし、かるめら焼など、江戸時代から庶民に愛されてきた郷土の駄菓子。約半世紀にわたってこれらの駄菓子を調査研究した石橋幸作氏の資料を元に、各地域の食文化とものづくりの伝統、駄菓子のデザインの魅力に迫る企画展です。
仙台で明治18年から続く仙台駄菓子店「石橋屋」。その二代目である石橋幸作氏は、菓子職人として伝統の郷土菓子を作る傍ら、半世紀にわたって全国の駄菓子を調査。穀物を単純加工した素朴な菓子は、昭和30年代頃まで国内に広く分布し、地域の風土や歴史、季節などを反映したふるさとの味となっていました。集められた記録は冊子に留まらず、1000点を超える紙粘土模型へとまとめられ、庶民の暮らしや菓子文化を考察する貴重な資料となっています。
本展では、全国の多様な駄菓子を、冊子類と、紙粘土で再現した模型約200点を通して紹介。その奥深い魅力に迫ります。
全国行脚の様子を記した冊子は、駄菓子のスケッチや、名前、製法はもちろんのこと、苦労して出会えた喜び、想像と違って落胆する様子など、幸作氏の人となりまで伝わる臨場感のある内容。夫人を伴い、手弁当で西日本、四国、九州と遠方まで足を運んだ足跡もたどれます。旅の記録帳のほか、明治時代の駄菓子の商標ラベル、しおり、引き札(広告)を集めたスクラップブック、各地域の風物詩や菓子研究者との交流を記した絵日記、街道や店先を撮りためた写真アルバム、自筆の図絵なども展示されます。
注目は、パルプにニカワを混ぜた紙粘土による駄菓子模型。飴細工の技量を生かしてこの模型を考案し、民俗学的観点で捉え直し分類しました。門前で売られる縁起菓子、宮中行事に由来する節句菓子、婚礼や法事などにおける引菓子などの「信仰駄菓子」、病人や産婦の栄養補給や薬効をうたった「薬駄菓子」、道中の食料やお土産にされた「道中駄菓子」、子ども用に味、色、形が工夫された「食玩駄菓子」、お茶と一緒に食べる「お茶請け駄菓子」の5つに分け、各地の駄菓子を展示します。また、飴売りを中心とした駄菓子商売風俗姿も、戦前まで見られた行商人の記録として模型化されており、そのユーモラスな姿は必見です。細かく作り込まれた原寸大の駄菓子模型から形や色の豊かさ、各地域の原風景がうかがい知れます。
展覧会名 | ふるさとの駄菓子 −石橋幸作が愛した味とかたち− |
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会期 | 2018年6月7日(木) 〜 8月25日(土) |
休館日 | 水曜日、8月11日(土)〜15日(水) |
時間 | 10:00〜18:00 |
会場 | LIXILギャラリー 中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA 2F |
入場料 | 無料 |
公式サイト | https://livingculture.lixil.com/gallery/ |
問合せ | 03-5250-6530 |
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