近代以降の日本画壇を牽引した日本美術院の軌跡を4人の画家を中心に振り返る
岡倉天心が新時代に相応しい新たな日本画の創造を目指し、1898(明治31)年に創立した日本美術院。創立120年の節目にその軌跡を横山大観、菱田春草、小林古径、速水御舟の作品を中心に振り返る企画展です。
明治時代に入り、西洋文化の流入と共に洋画が広く普及。国内の日本画家たちは、そんな新時代に相応しい日本画を模索していました。その状況の中、東京美術学校(現・東京藝術大学)を辞職した天心が、追随した横山大観らを率いて日本美術院を創立します。茨城県五浦での低迷期を経て1914(大正3)年に再興され、現代まで新たな日本画に挑む画家を多く輩出しました。日本美術院の創立に参加した横山大観は、再興後も日本美術院の中心的な存在となり、同じく創立から参加した菱田春草は16年の短い画業の間に秀作を多数制作、小林古径は謹直な線描と清澄な色彩による格調高い画風を確立し、次世代の速水御舟は既存の枠に捉われない斬新な表現に挑みました。日本画壇において常に先導的な役割を担い、古典を規範としながら新しい局面を切り拓く積極的なチャレンジが現代まで続いています。
本展では、同院の歴史に名を残した大観、春草、古径、御舟の作品を中心に、各時代の参加画家の作品が一堂に集結。明治、大正期では、橋本雅邦《不老門・長生殿》、横山大観《蓬莱山》、菱田春草《雨後》、下村観山《不動明王》などが展示されます。昭和期では、小林古径と共に日本美術院を牽引した安田靫彦(やすだゆきひこ)《平泉の義経》、前田青邨(まえだせいそん)《大物浦》、奥村土牛《城》、小倉遊亀(おぐらゆき)《涼》、速水御舟《昆虫二題 葉蔭魔手・粧蛾舞戯》などが登場。昭和から平成にかけての画家にもフォーカスし、片岡球子《北斎の娘おゑい》、平山郁夫《バビロン王城》、宮廻正明《水花火(螺)》らの作品も並びます。特に、小林古径の代表作で第17回院展に出品した《清姫》は、修復後初めて連作8点全点が一挙に公開となり、必見です。また、映画「散り椿」公開を記念して、原作小説の表紙を飾った速水御舟 《名樹散椿》も期間限定ながら特別出品され、見逃せません。約50点の優品で新しいスタイルを模索した色彩や線描などの表現を間近で展観できます。
展覧会名 | [企画展]日本美術院創立120年記念 日本画の挑戦者たち ―大観・春草・古径・御舟― |
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会期 | 2018年9月15日(土) 〜 11月11日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし9月17日、24日、10月8日は開館)、 9月18日(火)、9月25日(火)、10月9日(火) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 山種美術館 渋谷区広尾3-12-36 >> 会場の紹介記事はこちら |
入場料 | 一般 1,000円、大高生 800円、中学生以下無料 |
公式サイト | http://www.yamatane-museum.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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