ムンク展―共鳴する魂の叫び

人間の感情を強烈に描いた代表作から晩年の作品まで、画家の全貌を紹介

  • 2018/10/25
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世界的に知られる名画の一つ「叫び」を描いたエドヴァルド・ムンク(1863−1944)。愛や絶望、嫉妬など人間の内面を強く表現した作品は、20世紀における表現主義の潮流の先駆けとなりました。オスロ市立ムンク美術館が所蔵する世界最大のコレクションを中心に展観する大規模な回顧展です。

1863年、軍医の長男として生まれたムンクは、5歳で母、14歳で一つ上の姉と、次々と肉親の死を経験します。17歳で、クリスチャニアの画学校に入学。急進的なボヘミアン運動の影響を受けました。その後、パリに留学しますが、留学中に父も他界。ベルリン芸術家協会の招きで開かれた個展が打ち切られる「ムンク事件」が起こりつつも、ボヘミアンたちの影響を受けながら、次第に人間の内面性が現れた象徴的な作風を確立していきました。30歳から、後の代表作となる《叫び》、《吸血鬼》、《マドンナ》などを制作。次第に欧州各地で個展を成功させるようになっていきます。私生活では恋人と破局した際に、銃の暴発で左手の中指の一部を失いますが、女性たちとの愛憎を作品の重要なモティーフとしました。神経衰弱とアルコール依存症に悩まされながらも克服し、40代で祖国での評価を確立。晩年は、鮮やかな色彩と軽いタッチによる平面的で明るい作風を生み出し、初期作品の再制作なども行いました。

本展では、約60点の油彩画に版画などを加えた約100点を展示。幼年期に肉親を失いつつも、国民的画家となり、孤独な死を遂げるまで制作し続けた60年の画業を、「第1章 ムンクとは誰か」、「第2章 家族―死と喪失」、「第3章 夏の夜−孤独と憂鬱」、「第4章 魂の叫び−不安と絶望」、「第5章 接吻、吸血鬼、マドンナ」、「第6章 男と女−愛、嫉妬、別れ」、「第7章 肖像画」、「第8章 躍動する風景」、「第9章 画家の晩年」とテーマごとに9章に分けて紹介します。特に、テンペラ・油彩画の《叫び》(1910年?)は、初来日となり必見です。約60年にわたる画業を、画家の生涯とともにじっくり展観できます。

  1. エドヴァルド・ムンク《自画像》1882年 油彩、紙(厚紙に貼付) 26.5×19.5cm
    エドヴァルド・ムンク
    《自画像》1882年
    油彩、紙(厚紙に貼付)
    26.5×19.5cm
  2. エドヴァルド・ムンク《叫び》1910年? テンペラ・油彩、厚紙 83.5×66cm
    エドヴァルド・ムンク
    《叫び》1910年?
    テンペラ・油彩、厚紙 83.5×66cm
  3. エドヴァルド・ムンク《星月夜》1922-24年 油彩、カンヴァス 120.5×100.5cm
    エドヴァルド・ムンク
    《星月夜》1922-24年
    油彩、カンヴァス 120.5×100.5cm
  4. エドヴァルド・ムンク《夏の夜、人魚》1893年 油彩、カンヴァス 93.5×118cm
    エドヴァルド・ムンク
    《夏の夜、人魚》1893年
    油彩、カンヴァス 93.5×118cm
  5. エドヴァルド・ムンク《生命のダンス》1925年 油彩、カンヴァス 143×208cm
    エドヴァルド・ムンク
    《生命のダンス》1925年
    油彩、カンヴァス 143×208cm

  6. 作品はすべてオスロ市立ムンク美術館所蔵 All Photographs ©Munchmuseet

開催概要

展覧会名 ムンク展―共鳴する魂の叫び
会期 2018年10月27日(土) 〜 2019年1月20日(日)
休室日 月曜日、12月25日(火)、1月15日(火)
※ただし11月26日(月)、12月10日(月)、24日(月・振休)、1月14日(月・祝)、は開室
年末年始休館 12月31日(月)、1月1日(火・祝)
時間 9:30〜17:30
※金曜および、11月1日(木)、11月3日(土・祝)は20:00まで
※入室は各閉室時間の30分前まで
会場 東京都美術館 企画展示室
台東区上野公園8-36
観覧料 一般 1,600円、大学生・専門学校生 1,300円、高校生 800円、65歳以上 1,000円
※12月は高校生無料
※11月21日(水)、12月19日(水)、1月16日(水)はシルバーデーにより、65歳以上の方は無料(当日は混雑が予想されます)
公式サイト https://www.tobikan.jp/
問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル)

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