自然や人物像に宿るロシア的なロマンを作品から読み取る
国立トレチャコフ美術館に所蔵されている、近代ロシアを代表するクラムスコイ、シーシキン、レヴィタン、レーピンらの作品を中心に、ロシアの大自然や人物像に迫る展覧会です。
12世紀のイコンから約20万点のコレクションで、質、量ともにロシア有数の規模を誇る国立トレチャコフ美術館は、紡績業で多額の財を築いた創設者パーヴェル・トレチャコフ(1832〜1898)によって基礎が築かれました。モスクワの商家に生まれたトレチャコフは、公共美術館として「ロシアの芸術家によるロシア美術のための美術館」の設立に取り組み、約40年かけてコレクションを充実させていきます。特に同時代の作品の収集に力を入れ、レーピン、クラムスコイ、ペローフなどの芸術家と親交を深め、支援も行いました。自宅の庭に建てたギャラリーから始まった美術館は、ロシア革命後、国に移管。現在も収集を続けています。
トレチャコフが生きた19世紀後半から20世紀初頭にかけて、チャイコフスキー、ムソルグスキーら作曲家、トルストイ、ドストエフスキーに代表される文豪など、ロシア文化が大きく花開きます。美術分野ではクラムスコイらが組織した「移動派」グループが、制約の多い官製アカデミズムに反旗を翻し、ありのままの現実を正面から見据えて描くことを目指したほか、モスクワ郊外のアブラムツェヴォのマーモントフ邸に集まったクズネツォフ、レヴィタン、コローヴィンらの画家たちは懐古的なロマンティシズムにあふれた作品を創作しています。
本展では、ロシアの広大な大地が感じられる《正午、モスクワ郊外》や、深い森の中を歩くカップルを描いた《雨の樫林》などを描いた風景画の名手イワン・シーシキン、伝統的な建築の都市風景が見られるニコライ・グリツェンコ《イワン大帝の鐘楼からのモスクワの眺望》といった風景画に加え、日本では人気の高いイワン・クラムスコイ《忘れえぬ女(ひと)》や《月明かりの夜》のように印象的な女性が登場する作品、ワシーリー・コマロフ《ワーリャ・ホダセーヴィチの肖像》のような愛らしい子どもを描いた作品も展示されます。当時のあのままのロシアの生活を知ることができる、見所の多い企画展です。
展覧会名 | 国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア |
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会期 | 2018年11月23日(金・祝) 〜 2019年1月27日(日) |
休館日 | 11月27日(火)、12月18日(火)、1月1日(火・祝) |
時間 | 10:00〜18:00(毎週金・土は〜21:00まで) ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | Bunkamura ザ・ミュージアム 渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F |
観覧料 | 一般 1,500円、高大生 1,000円、小中生 700円 ※学生券は要学生証提示(小学生は除く) |
公式サイト | http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_russia/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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