扇の国、日本

日本生まれの扇が持つ、多面的魅力に迫る

宗教祭祀や生活での用具として、広く認知されている扇。実用品ではなく、美術品としての魅力に着目し、平安時代から江戸時代までの幅広い時代での役割や、贈答品やコミュニケーション・ツールとしても活躍した扇の世界に迫る企画展です。

日本で生まれて発展した扇ですが、その起源は詳らかになっていません。10世紀末には中国や朝鮮半島に特産品としてもたらされ、中国の文献にも登場します。大きく2種類に分けられ、1つは奈良時代に発生した薄い板を綴じ重ねた「檜扇(ひおうぎ)」、もう一つは平安時代初期に作られるようになった竹骨に紙や絹を張った「紙扇(かみおうぎ)」です。涼をとる道具以外に、儀礼や祭祀の場でも使われ、神仏と人を結ぶ呪物としても使われました。平安時代の半ばには、貴族の装束の一部として用いられるようになります。中世から近世に水面に扇を投じてその様を楽しむ「扇流し」が流行した際には、「扇流し図」が描かれました。14世紀半ば頃には、既製品の扇が店頭販売され、貴賤を問わず多くの人に用いられるようになります。江戸時代中期には、「扇売り(地紙売り)」と呼ばれる行商人も登場。1878(明治11)年、パリで開催された万国博覧会にも出品され、日本の文化的象徴としてのイメージが定着していきました。


本展では、序章と終章を含めて7つの章から構成されます。「序章 ここは扇の国」では、1878年のパリ万博で出品された扇を紹介。狩野派や文人画など、多様な流派の日本絵画が見られます。「第1章 扇の呪力」では、神事、祭礼のご神体などとして用いられた重要文化財「彩絵檜扇」(島根・佐太神社)、国宝「扇面法華経冊子」(大阪・四天王寺)などを展示。「第2章 流れゆく扇」では、重要文化財「扇面流図(名古屋城御湯殿書院一之間北側襖絵)」(名古屋城総合事務所)などが並び、「第3章 扇の流通」では、コミュニケーション媒体ともなった扇の役割に着目。「第4章 扇と文芸」では、物語の名場面ダイジェストなど、扇の画面を生かして描かれた物語や和歌の世界が楽しめます。「第5章 花ひらく扇」では、江戸時代の多様な扇絵を紹介。「終章 ひろがる扇」では、絵画だけでなく、工芸や染織などに広がった様を「織部扇面形蓋物」(梅澤記念館)などから展観します。幅広い時代で活躍した扇の多面的な魅力が感じられる内容となっています。

国宝 扇面法華経冊子 巻第一 一帖 平安時代 12世紀 大阪・四天王寺 [展示期間:12/12〜12/24]
織部扇面形蓋物 一合 桃山時代 17世紀 梅澤記念館 [全期間展示]

舞踊図 六面 江戸時代 17世紀 サントリー美術館 [全期間展示](ただし場面替あり)

源氏物語絵扇面散屛風 六曲一双のうち左隻 室町時代 16世紀前半 広島・浄土寺(撮影:村上宏治) [全期間展示](ただし場面替あり)
梅樹扇模様帷子 一領 江戸時代 18世紀 女子美術大学美術館 [展示期間:11/28〜12/10]
開催概要
展覧会名 扇の国、日本
会期 2018年11月28日(水) 〜 2019年1月20日(日)
※会期中、展示替えあり
休館日 火曜日(ただし1月15日は開館)、12月30日(日)〜1月1日(火・祝)
時間 10:00〜18:00
※12月29日(土)をのぞく金・土および、12月23日(日・祝)、1月13日(日)は20:00まで
※入館は各閉館時間の30分前まで
会場 サントリー美術館
港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
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入館料 一般 1,300円、高大生 1,000円、中学生以下無料
公式サイト http://suntory.jp/SMA/
問合せ 03-3479-8600
2018年11月更新